プロに愛されつづける理由~『Begin』編集長 波多和久氏 LACOSTE|ラコステ
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Episode 3: I love Lacoste
プロに愛されつづける理由『Begin』編集長 波多和久氏
メンズファッション誌が若者文化に大きな影響を与えはじめた1970年代以降、ラコステのポロシャツはいわゆる定番アイテムの座から外れたことは一度もない、といえるだろう。プロダクトとしての完成度、スポーツウェアとしての機能性にくわえて、「L1212」は普遍のデザイン性を獲得しているのである。なぜラコステは“すたれない”のか。プロダクト&ファッションの分野をリードする月刊誌『Begin(ビギン)』の編集長、波多和久氏に話をきいた。
Text by KASE Tomoshige(OPENERS)Interview photographs by OZAKI MakotoStill photographs by LACOSTE
「1万円で買える最高峰だと思います」
――雑誌コンテンツとしても、「L1212」は人気があるのでしょうか。
「ウチでよくやる『傑作モノランキング』などでは、絶対上位に入ってきますね。まあ、ウチくらいでしかやらない企画なんですが……。見た目の安心感というのもあると思いますが、ランクインの理由はおそらく、価格に対する圧倒的なクオリティですよね。たとえば最高の靴を買おうとしたら、10万、20万の世界じゃないですか。でもポロシャツの最高って、1万円かからない――つまりコレ(「L1212」)が最高だと思うんですよね」
――具体的にどのような点が優れていますか。
「ほかのポロシャツと違うのは、色褪せしない、ヘタらないというところ。このあたりの品質は素晴らしくて、いつまでも(ポロシャツとしての)“顔”が維持できるという。また昨今はドレスとカジュアルをつなぐアイテムというのが非常に重宝されています。やはりそういう製品を作るブランドが愛され続けているというか。たとえばオールデンだったり、ホワイトハウスコックスだったり……。つまり仕事でも使えて、どカジュアルにもハマってしまうという。そういう意味でも頼りになる存在なのかなあ、と」
――それでいて古臭くならないですよね。
「基本的な設計は変わらないんですが、微妙に進化、変化をつづけていて、クオリティを追求する姿勢がやはりすごい。手を休めないですよね。生地にしても縫製にしても、どんどん良くなっているんです。1ミリでも先に進もうとする――ベーシックではあるけどクラシックではないというか。いつの時代もニューベーシックでありつづけている。1万円で買える最高峰だと思います」
――やはり染色については他のポロシャツと一線を画していますか?
「とくに濃い色、黒やネイビーなどは褪色したり色焼けしたりするものなんですが、それがほぼないという。いつまでもキレイに着られますよね」
――ラコステとそのプロダクトについては、『Begin』で何度も取材されていますよね。
「それはもう何度も何度も。素材はもちろん縫製の糸にいたるまで、その“芸細(げいこま)”っぷりには毎回驚かされます。そしてもう取材し尽くしただろうと思っていても、知らないエピソードがいくらでも出てくる。語っても語り尽くせないブランドなんですね」
LACOSTE|ラコステ
Episode 3: I love Lacoste
プロに愛されつづける理由『Begin』編集長 波多和久氏
「ワニを“飼っている”編集部員は多いです」
――私物の「L1212」についてきかせてください。
「こっち(赤)は古着で購入した1980年代ごろのもの、こっち(パープル)は90年代だと思います。いずれの年代も発色の良さは圧倒的ですよね。ちなみに初めて買ったラコステがコレ(着用している白の「L1212」)で、じつは世界文化社の入社試験は、このポロシャツを着て受けたんです。周りはスーツの人ばかりだったのですが(笑)」
――かなり異彩を放っていたんじゃないでしょうか。
「どうせ受からないと思ったんで、一か八かじゃないですけど(笑)。フレンチラコに、バリー・ブリッケンのチノ、ウォークオーバーの靴を履いて。逆にいまどきですよね(笑)」
――当時どちらで購入されていましたか?
「やっぱり、上野の『玉美』(インポートを中心にしたカジュアルウェアのセレクトショップ)さんで買っていましたね。ズラリと色が揃っていて。キャプション(ポップの説明書き)も多くて楽しかったです(笑)」
――やはりBegin編集部でも愛用者は多い?
「たしかに“ワニを飼っている”編集部員は多いですねえ(笑)。一人すごい好きなヤツいるんですけどね。たとえが難しいんですが……本当に座り心地のいい椅子というのは、“座り心地がいい”と意識させないんですね。あ、座り心地いいな、と思った椅子は結構疲れたりするんです。言ってみればラコステのポロシャツは、朝起きた時に無意識に着てしまうイメージで、着ることにプレッシャーを感じない、という。そういう服なんですよね」
――ちなみにポロシャツ以外でリクエストしたいアイテムはありますか?
「個人的には、『L1212』に合うベストなVネックセーターとか、『PH051E』にピッタリくるジャケットとか……ある意味ポロシャツをハブにした商品展開を期待したいですね。ここまでこだわったポロシャツなので、合わせるベストな服もぜひ作ってほしいです」
――着こなしの提案は?
「提案というわけではないんですが――先日ある人が、白のポロシャツの下に、5分丈袖くらいのサーマルシャツを着ていたんですよ。それがすごくカッコよくって。そういった大人っぽい“こなし”が、ポロシャツのあたらしい魅力を引き出すんじゃないかな、と思います」
――ありがとうございました。
波多和久|HATA Kazuhisa
1971年千葉県生まれ。成城大学卒業。1995年に世界文化社に入社、『Car Ex』編集部、
『Begin』編集部、『MEN’S EX』編集部を経て、2009年より『Begin』編集長に就任、現在にいたる。http://www.e-begin.jp/
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