LACOSTE|ラコステ スポーツウェアとしての来歴
FASHION / MEN
2015年2月23日

LACOSTE|ラコステ スポーツウェアとしての来歴

LACOSTE|ラコステ

Episode 2: History of the Crocodile

スポーツウェアとしての来歴

ラコステがポロシャツを発明し、いまなお高いクオリティの製品を輩出しつづけていることは前回記した。ここでは「L1212」開発の理由について、ラコステ創業時のブランド史とともに振り返っていきたい。現代のテニスプレーヤーが着るポロシャツのデザインは、誕生当初の「L1212」と変わらない――この事実こそ、「L1212」の完成度の高さを物語っている。

Text by KASE Tomoshige(OPENERS)Photographs by LACOSTE

仏テニス史上最も偉大なプレーヤー

テニスウェアというアイテムは、「ラコステ以前」と「ラコステ以降」で大きく姿を変える、と言っていいだろう。ごく簡単に述べればラコステ以前は“ドレスシャツ”であり、ラコステ以降が“ポロシャツ”である。

ラコステが発明したポロシャツ(=「L1212」)は、センセーションを巻き起こした1933年の発売当時はもちろんのこと、現代においても、スポーツウェアとして、またファッションアイテムとして大きな影響を市場に与えつづけている。この画期的なスポーツウェアの来歴について語るためには、まずは生みの親であるルネ・ラコステその人について書くべきであろう。

1904年、フランス・パリに生まれたルネ・ラコステ。父ジャンは若い頃からスポーツに親しみ、富裕な事業家として成功を収めていた(この経歴は後年のルネを見るようで面白い)。14歳でラケットを握りテニスの魅力に目覚めたルネは、父に「テニスをするなら5年以内に世界チャンピオンになるように」と言われたという。その言葉のとおり、1923年にデビスカップ(男子国別対抗戦)のフランス代表に選出され、1925年には全英オープンを制覇。自身初の世界チャンピオンを経験することになる。

結論から言えば、ルネ・ラコステはフランスのプロテニス史上、最も偉大なプレーヤーのひとりであった。1924~29年までの短い現役生活の間、全仏選手権で3度、全英オープンで2度、全米選手権で2度のチャンピオンに輝いており、この数字は現在までのプロテニスの歴史においても傑出したものである。

ちなみにラコステのトレードマークである“ワニ”は、ルネの現役時代のエピソードに由来する。1925年、アメリカのボストンにおいてオーストラリアのアンダーソンと対戦することになったルネ。街の旅行用品店にあったワニ革のスーツケースを見て、フランスチームのキャプテンであるピエール・ジルーに「もしアンダーソンに勝ったら、このスーツケースをプレゼントしてくれないか」と冗談半分に言ったのだとか。

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結局試合はアンダーソンの勝利に終わったのだが、この話を聞きつけていた地元ボストンのジャーナリスト、ジョージ・カレンスが「若きルネ・ラコステはワニ革のスーツケースを手に入れることはできなかったが、その戦いはワニのように粘り強かった」と報じた。ここからルネの愛称“ワニ”が生まれ、広く親しまれるようになったのである。

1930年、健康上の理由と、家族と過ごす時間を増やしたいという希望、そして事業経営に専念したいという思いから、ルネ・ラコステは現役を退く決意をする。当時のフランスのテニス界において大きな事件であったと推察するが、このことが“ポロシャツ”というアイテム誕生のきっかけであるならば、ともかくも歴史とはじつに不思議な巡り合わせで成立している、と言わざるをえない。

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「L1212」の誕生

「試合で私はよく風邪をひいていたが、あるときそれは、ダブダブのシャツを着てプレイするからではないか、と思い当たった。その頃は前立てにも袖口にもボタンがある、白い普通のドレスシャツを着てプレーしていたんだ。もっと動きやすい、もっと快適なシャツが必要だと思った。そこでポロ競技の選手が着ている、柔らかい生地でできた半袖の襟なしシャツに目を付けた。さっそくこの“ポロシャツ”に襟をつけてくれるよう、シャツ屋に頼んだのさ」

上記はのちの1970年、新聞のインタビューとして掲載されたルネのコメントだ。1927年のアメリカで、ルネ自身がテニスコートでプレーするために着用したこの“襟付きポロシャツ”こそ、「L1212」の原点であり、いまあるすべてのポロシャツの源流なのである。もっとも出来上がったシャツに対して、当時のフランステニス連盟は「カッティングが体にぴったりしすぎている」ということで難色を示したそうだが……この汗をよく吸いとる快適なニット地のシャツは、選手たちの間で瞬く間に話題になっていったのである。

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そして現役引退後の1933年、フランス北部の都市トロワにて、ルネはニット生地製造工場のオーナーであるアンドレ・ジリエとともに「シュミーズ・ラコステ社」を創業する。現役時代に発案、製作した“ポロシャツ”が、いよいよビジネスとして展開していくのである。ちなみにルネは――実業家である父ジャンの血のなせる業か――積極的なアイデアマンであり、現役時代も引退後も、テニスにおける数かずの発明を実現している。練習用ボールマシンの製作、スチール製ラケットの開発など、数えきれないほどの“新製品”をつくり出した人物なのである。

こうして世に出たポロシャツの元祖「L1212」は、テニス界はもとより、そのほかのスポーツにおいてもウェアとして高く評価されていく。その過程においてはルネ・ラコステの最も近しい人物、すなわち彼の妻について少々触れておかねばならない。

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のちにルネの妻となるシモーヌ・ティオン・ド・ラ・ショームはゴルファーであり、1927年のイギリス世界選手権においてチャンピオンとなったのち、13回にわたってフランスチャンピオンのタイトルを獲得している。ルネ同様、あるいはそれ以上の偉大なスポーツプレーヤーだったのである。妻のシモーヌが優秀なゴルファーであったことは、シュミーズ・ラコステ社が、創業時にゴルフというフィールドに進出するにあたって、製品開発においてもプロモーションにおいても有利に働いたであろうことは、想像に難くない。

テニスウェアとしてスタートし、ゴルフ、ヨットなどさまざまなフィールドで世界的な地位を確立したブランド、ラコステ。そして「L1212」は1933年の誕生以来、今日にいたるまで、数多くのスポーツ選手に、そしてファッションに関心をもつたくさんの人びとに、高く評価されつづけている。

ラコステが培ってきた技術とスポーツに対する敬意こそ、より優れた製品を生み出すための原動力であることは間違いない。たんなるファッションアイテムではないスポーツウェアとしての来歴は「L1212」の背骨であり、世界中のカスタマーに信頼される機能性を支えている、アイデンティティなのである。

新作シリーズ、続々登場!

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“FLAGS”
ロンドン五輪が開催される2012年、さまざまな国旗をモチーフにしたシリーズが登場。ボディで国旗をイメージしたタイプと、白無地のボディにワニマークで国旗の色、柄を表現したタイプを展開。

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“MARINE”
大人のマリンスタイルを楽しむための、ビビッドカラーのボーダー柄や大胆なカラーブロックを用いたシリーズがこちら。初夏から夏にかけて、コーディネートのアクセントとしてご活用を。

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“AQUARLLE”
タイダイ(絞り染め)をモチーフにした、アジア限定のカプセルコレクション。水彩画やボーダー柄を表現した、淡く柔らかい、独特なタッチの色と柄が印象的だ。

ラコステ公式通販サイト
http://shop.lacoste.jp/

ファブリカ
Tel.03-6894-0318
http://www.lacoste.co.jp

           
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