シューズデザイナー勝川永一氏が営む「THE SHOE OF LIFE」|H? Katsukawa from Tokyo
H? Katsukawa from Tokyo|エイチ カツカワ フロム トウキョウ
靴を修理して履くことで、生活に根ざしている靴になっていく
デザイナー勝川永一氏が営む「THE SHOE OF LIFE」
田園都市線・池尻大橋駅北口より徒歩3分のところに、靴とバッグ修理のライフタイルショップ「THE SHOE OF LIFE(シュー オブ ライフ)」はある。東京発シューズブランド「H?Katsukawa From Tokyo(エイチ カツカワ フロム トウキョウ)」を主宰する勝川永一氏が営むリペアショップは、地元にしっかり根づいている。
Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)
元はタバコ屋の3坪のスペース
「自分は靴メーカーからキャリアをはじめていますが、メーカーでは靴のデザイン・製造・修理は当たり前のことでした。イギリスでの修行から帰国したときに、お金もなくて、地元の駅前の修理ショップにアルバイトとして雇ってもらったんですが、たまたまその店が伊勢丹新宿店メンズ館=地下1階靴売場の修理の指定業者で、修理の経験を積むことができました」と勝川氏。
その後、たまたま見つけたのが、元はタバコ屋の3坪のスペース。2010年にライフタイルショップ「THE SHOE OF LIFE(シュー オブ ライフ)」としてスタートした。
店名の由来を訊くと、「自分の人生を振り返ると、靴好きからはじまって、今は靴が生業(なりわい)。手がけた靴、直した靴がそれぞれのひとの“人生の一足”になってくれればいいなと思って命名しました」とのこと。今もほかの仕事がない土日のどちらかには店頭に立って仕事をしているという。
修理は生活に根ざしたデイリーなもの
両親が美容師で、子どものころから店でのサービスは慣れていたという勝川氏。「ローカルな生活の延長にある街で、シンプルな仕事ですが、技術を提供できるのはとてもうれしいこと。ソールの張り替えやゴム貼り、踵(かかと)の取り替え、補強などがほとんどですが、必需品としての靴を直すのは自分にとってもいい勉強になります」と勝川氏。場所柄、高級ブランドの靴の修理も多く、直していて「やっぱりいいなぁ」と思うこともあるという。
勝川氏にとって「いい靴の定義」とは
靴のプロとはとの問いに、プロの料理人をたとえとして話す。「いい靴の条件としては、デザイン、素材、カラー、あたらしい発想、つくりの確かさ、履き心地の良さなどいろいろありますが、いちばん大事にしたいのは、プロとしての心構え。プロの料理人の料理がおいしいのは、そこに普通のひとには出せない味が出せるからで、手を抜かないことでもあるし、精進することでもある。いつでも最高の素材と最高の仕立て、デザインを提供していきたいですね」と答える。
「作り手としての役割は本当にいろんな要素があって、いろんないい要素を提供していきたい。たとえば、履くひとの人生が豊かになるような要素。僕はその要素をいつも探していて、今年ならそれが都市生活者のためのCITY CLIMBING(シティ クライミング)というコンセプトになる。靴という意味では快適に履けるのが一番大事ですが、自分の役割はそこだけでないと思いたいし、ほかにないものを履き心地をふくめて提供したい」
デビューコレクションから取り組んでいる素材、ニベ革は、「実用性を考えたらニベ革ではないですが、この恵まれた時代や環境のなかで、遊びもふくめて東京だからできることが、ニベ革を使うという挑戦。まだまだ追い求めていきます」
「THE SHOE OF LIFE(シュー オブ ライフ)」
東京都目黒区大橋2-22-4 増本ビル
Tel. 03-3467-8766
営業時間|11:00~20:00 水曜定休
http://shoeoflife.blogspot.com/
H? Katsukawa From Tokyo
Tel. 03-3467-8766
http://hkatsukawafromtokyo.net