シューズデザイナー勝川永一が語る“靴づくりの原点”|H? Katsukawa from Tokyo
FASHION / MEN
2015年11月2日

シューズデザイナー勝川永一が語る“靴づくりの原点”|H? Katsukawa from Tokyo

H? Katsukawa from Tokyo|エイチ カツカワ フロム トウキョウ

オリジネイターであることの大切さを学んだ英国での修行

デザイナー勝川永一が語る“靴づくりの原点”

シューズデザイナーの勝川永一氏が主宰する東京発シューズブランド「H?Katsukawa From Tokyo(エイチ カツカワ フロム トウキョウ)」。勝川氏は、英国・ノーザンプトンの職業訓練校で靴づくりを学んだが、「もし自分がノーザンブトンで生まれていたら、チャーチかジョンロブの職人になっていました」と笑う。

Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)

靴のコンフォートを具現したオールデン

勝川氏の靴づくりの原点を尋ねると、白の靴を探し出してきた。「これは自分が20歳のとき、御徒町の古着屋で1万2000円で買ったオールデンです。本当に偶然見つけたんですが、手にとってみると左右の踵(かかと)の高さが違っていた。そこで古着屋の店主に訊くと、『オールデンは矯正用の靴で、もともとこういう靴だから』と言われ、その話に興味をもって買いました」と語る。

このオールデンは実際によく履いたそうで、今シーズンローンチさせた新レーベル「CITY CLIMBING(シティ クライミング)」の履き心地の構想を練っているとき、「そうだ、オールデンがあった」と思い出して、そのつくりをあらためて確認したという。

「よく見るとコンフォートの基本が全部詰まっていたんです。インソール、ロングカウンター、中底に巻かれたリブ、ウエストの締まり方など、じつに忠実につくられていて、実際に履くと軽い」。イギリスへ渡るまえ、日本の靴メーカーに勤務し、グッドイヤーウェルテッド製法の靴をつくっていたので、たとえば踵(かかと)を横からホールドするロングカウンターなどの難しさはよくわかっていたそうだ。

H?Katsukawa From Tokyo|伊勢丹

H?Katsukawa From Tokyo|伊勢丹

ポール・ハーデンから学んだこと

勝川氏が24、25歳のとき、中目黒で出合ったのがポール・ハーデンの靴。「靴メーカーで真面目なビジネスシューズをつくっていたので、とてもセンセーショナルな靴でした。その後、ノーザンプトンの職業訓練校でチャーチの先生やトリッカーズのビズポークの先生に教わったあと、ポール・ハーデンで修行しました」と勝川氏。

ポール・ハーデンから教わったことを尋ねると、「靴づくりそのものより、こういう生き方があるんだということですね。自分がかんがえる表現をして、ぶれずに生きるひとがいるということ」。

さらに、「デザインというより世界観、画家でいう作風。オリジネイターであることの大切さを学びました」とつづける。

H?Katsukawa From Tokyo|伊勢丹

H?Katsukawa From Tokyo|伊勢丹

ニベ革へのこだわり

「さまざまな靴と出合い、履いてみて、自分のスタイルをかんがえたとき、僕が追っていたのはブリティッシュと、ブリティッシュから派生したアメリカだということに気づきました。革は好きでしたが、たとえばエルメスやジョンロブが使う最高品質の若い仔牛(カーフ)との真逆にあるものは何か。ヨーロッパの皇族が愛したモノの対極は何か。教科書に載らない美しさ、まだ誰も見出していない革の美しさを、ニベ革に見つけました。ボサボサした革も美しいはず、と」

「スタイルを超えた根源的な美しさを求めて、ニベ革に行き着いた」という勝川氏は、ドレスシューズをつくりはじめた2006年からニベ革を使用している。2007年のブランドデビューのときにもコレクションに登場し、同年の春夏コレクションで発表した作品はユナイテッドアローズに並んだ。

「ニベ革も当時に比べると進化していて、摩耗に強くなり、エイジングが楽しめる革になっています。その“究極のニベ革”を使ったのが、イセタンメンズ『JAPAN靴博2015』に出展した土に還る靴」です。

H?Katsukawa From Tokyo|伊勢丹

H?Katsukawa From Tokyo|伊勢丹

問い合わせ先

H? Katsukawa From Tokyo

Tel. 03-3467-8766

http://hkatsukawafromtokyo.net

           
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