日本人デザイナーの最新ルックの先鋭
FASHION / FEATURES
2015年5月15日

日本人デザイナーの最新ルックの先鋭

特集|日本人デザイナーの最新ルックの先鋭

2011年秋冬注目メンズコレクションを順次公開!

パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークのコレクションで、世界の歴史がある 錚々たるメゾンの新作もたしかに気になる。しかし、消費者も世界のデザイナーたちも衆目しているのが、日本人デザイナーのクリエイション だ。リアルなスタイルを展開しつつ、モードなエッセンスを忘れないその服づくりは、もはやグローバルスタンダードとして認識されているのだ。とくにそのサイジング、時代性、ディテール、巧緻な技術などは、おなじ日本人だからこそ共感を 呼び感性にしっかりと響く。アイテム単体でもトータルなスタイルでも魅力に溢れている。そんな日本人デザイナーたちのルックを、順次公開しご紹介しよう。

Text by OPENERS

nonnative

nonnative
“洋服とは、人生を投影するための道具である”がノンネイティブのコンセプト。ワーク、ミリタリー、アウトドアのウェアのように、明確な目的をもって生まれた道具には、 作為のない美しさと普遍性が宿ると考える。そんな普遍的なアーカイブ(道具)のなかから、用途に合った生地や丈夫な縫製、実用的なディテールといった“機能”を抽出。 動きやすさや着心地に象徴される“快適性”にこだわり、抽出した“機能”を時流にあったシルエットに再編集している。

都市生活のみならず、さまざまな場所やシチュエーションに適応する、東京発の新スタンダードだ。今季は“IT DOESN’T MATTER(=そんなの関係ない)”がテーマ。世紀末真っ只中の1990年代のある種の“なげやり”“終末感”をイメージ。ベージュ、ネイビー、チャコールの3色のキーカラーを軸に、代表的スタイルであるミリタリー、アウトドア、ワークに捕われない、独自のレイヤードやサイジングで唯一無二のスタイルを表現している。

FUJII Takayuki|藤井隆行
1976年生まれ。武蔵野美術大学中退後、いくつかのショップスタッフを経て、2001年にnonnativeのデザイナーに就任。そして今年で10年目を迎える。2005年、鋭敏な審美眼が高く評価されている中目黒のセレクトショップ、vendorをオープン。

vendor Tel. 03-6452-3072
http://www.nonnative.com/
http://vendor.co.jp/


TAKAHIROMIYASHITATheSoloIst.

TAKAHIROMIYASHITATheSoloIst.
タカヒロミヤシタザソロイスト.の軸は、“モノを知りつくした大人のためのリラックスウェア”。そのものづくりの姿勢は継続し、デザイナー宮下貴裕がみずから袖をとおし、さらなるクォリティを高めるために試行錯誤を繰り返している。それは芯地を一切省いて生地の伸縮性を活かしたり、ベース地にカバー地をたたきつけたりする手法にあらわれる。定番的なアイテムは継続しつつ、フィット感、利便性、デザイン面の追求はとどまることをしらない。ブランドを象徴するホースライディングジャケットやチェスターフィールドコート、代表的なアイテムであるパジャマシリーズには、ダブルフェイスのウールジャージーを用い、快適な着用感とともに保温性も考慮してあるなど多様な素材づかいがされている。今回、あたらに登場したクラシカルなフォーマルシリーズにも注目したい。

MIYASHITA Takahiro|宮下貴裕
「NUMBER(N)INE」脱退後1年の沈黙を破り、2010年「Soloist,Inc.」を設立、「TAKAHIROMIYASHITATheSoloIst.」としてふたたび洋服づくりを始動させる。”TheSoloIst.”とは、洋服に携わる各個人が、”独奏家”として孤高の精神をもち合わせてほしいという宮下の願いであり、またふたたび洋服の世界へもどってきたという自分への不退転の決意のあられである。

Pred PR Tel. 03-5428-6484


suzuki takayuki

suzuki takayuki
メンズは“時間の経過”がコンセプト。実験的なアプローチとリアリズムが同居する、上質なワークウェアを提案している。今季は“社会との距離”“ひととの距離”について考え、服づくりをしている。そのため、着るということは、ただ服に袖をとおすということだけではなく、服をまとい、まわりとの関係をつくっていくということを意識したコレクションとなっている。

「それはクローゼットの中身をつくっていくような感覚でした。好きなもの、必要なものが、自然と集まっていく感覚」と、デザイナーのスズキタカユキは語っている。

SUZUKI Takayuki|スズキタカユキ
1975年愛知県生まれ。東京造形大学在学中に友人と開いた展示会をきっかけに映画、ダンス、ミュージシャンなどの衣裳を手がけるようになる。2007年より東京コレクションに参加。オーガニックコットンに特化した「ikkuna/suzuki takayuki」や、企画・コラボレーションライン「toha」をスタート。2009年には、Milano Unicaでのイベント「オン・ステージ」に世界の新鋭デザイナー10名のなかの一人として選ばれ、合同ショーに参加。同年9月、渋谷パルコパート1に直営店「 suzuki takayuki placed」 をオープン。

suzuki takayuki Tel. 03-3783-5813
http://www.suzukitakayuki.com/


HOWL

HOWL
1970年代のビート族から絶大な支持を受けた詩人 Allen Ginsberg(アレン・ギンズバーグ)の書籍『HOWL』がブランドネームの由来。ギンズバーグの綴る詩はまさに「ロック」であり、その書籍のタイトルとおり「HOWL」=「吠える」ものだった。彼を支持した有名なミュージシャンは、ボブ・デュラン、パティ・スミス、ジョン・レノンなどであり、当時の音楽を牽引する者たちが彼のもとに集まったのは有名な話である。「HOWL」は、ものづくりの根底部分に「ロック」の精神をもちつつカルチャーを発信しつづける、というコンセプトを掲げ展開している。2011年秋冬コレクションは、1980年代から1990年代にかけて流行したパンク、ニューウェイブ、グランジなどを経て「2011年はなんだろう?」という疑問から生まれた。今季より、デザイナー、プロダクトマネージャーが加入し、デザイン性、機能性のさらなる強化を実現。

MOCHIZUKI Tadashi|望月 唯
1969年静岡県生まれ。スタイリスト井嶋和男氏に師事。94年スタイリストとして独立。2002年に自身プロデュースのSHOP『RICO』をオープン。翌年、KOROMO BY RICOオープン。05年、フェニックス Robe di KAPPA クリエィティブデレクターとして参加。ファッション雑誌はもちろん、アドバタイジングや写真集のスタイリング、ミュージシャン&タレントのCDジャケットのスタイリングも多数手がける。

SUN'S & RAINBOW Inc. Tel. 03-6804-9619
http://howl.jp/





TOGA VIRILIS

TOGA VIRILIS
2010年よりメンズラインであるTOGA VIRILIS(トーガ ビリリース)がスタートしたが、この2011-12FWより展示会場にて本格的に発表され話題に。意味はラテン語で“成人男性が着る服”。1950年代からインスピレーションを得たショート丈のジャケットなど、クラシックとモダニズムをミックス。素材にかんしても、シルクジャカート、オーガンジーウール、モヘアなどのドレス素材を、日常におきかえて使用したフォーマルスタイルを提案している。

FURUTA Yasuko|古田泰子
1997年ブランドを立ち上げ、99年春夏より展示会形式にてコレクションを発表。2001-02秋冬より東京コレクションに参加。パターンのおもしろさや、オリジナルでつくりつづけている生地も注目を集め、国内外問わず評価が高い。“過去”“未来”“アヴァンギャルド”などあらゆる感覚が混在したフェミニンで複雑な女性像を表現。2011年秋冬、満を持してメンズコレクションを発表。
TOGA ARCHIVES Tel. 03-5475-7031


MIHARAYASUHIRO

MIHARAYASUHIRO
2011年秋冬は『The Nihilists』がテーマ。“耽美的”“退廃的”“懐疑的”といった言葉で語られるオスカー・ワイルドからインスパイアされ、彼のもつアイロニックな思想とユーモアに溢れる作品を対比させることで、2つの相反する状態 (緊張と緩和)を服に置きかえた実験的なコレクション。

MIHARA Yasuhiro|ミハラヤスヒロ
1972年長崎県生まれ。1993年 多摩美術大学テキスタイル学部に入学し、翌年独学で靴づくりを開始。1998年、初の直営店「SOSU MIHARA YASUHIRO」を東京・青山にオープ ン。1999年、「SOSU」を設立。同年ウェアラインを東京コレクションにて発表し、大きな話題に。2000年「PUMA by MIHARA YASUHIRO」を国内で発表。2004年、オリジナルブランド「MIHARA YASUHIRO」を海外デビューさせ、ミラノコレクションに参加。2007年 にはパリコレクションに作品を発表。2010年、 表参道のフラッグショップ「SOSU MIHARAYASUHIRO」を『MIHARAYASUHIRO TOKYO』として移転オープン。

MIHARAYASUHIRO TOKYO Tel. 03-5778-0675


JOHN LAWRENCE SULLIVAN

JOHN LAWRENCE SULLIVAN
「人間誰しも善意と悪意、表裏一体の二面性をもっている」とは、デザイナーの柳川荒士氏。トラディショナルな表情を見せる表向きとは異なる、ストリート感を要所に取り入れた今回のコレクション。相反する要素を駆使し、二面性の混乱のまかに潜む反応を映し出している。

YANAGAWA Arashi|柳川荒士
広島県生まれ。プロボクサーとして4年間リングへ上がる。引退後、独学でデザイナーへ。素材とパータンのマッチングから生まれる美しい背中へ執着し、理にかなった エレガントなシルエットを追求しつづけている。現在、パリコレクションにて活躍している。
www.john-lawrence-sullivan.com


kolor

kolor
カラーはとくに、毎回コレクションテーマを設定していない。今季にかんして、デザイナーの阿部潤一氏はこう語っている。「クラッシックな気分を、どれだけモダンに見せるかということに注意して制作しました」。 太めのパンツなど、独特のバランスが絶妙だ。

ABE Junichi|阿部潤一
文化服装学院卒業後、いくつかのブランドを経て、2004年5月に「kolor(カラー)」設立。同年7月に2005年春夏コレクションを発表しスタート。ドレスからカジュアルまでをフォローする幅広いコレクションは、オリジナリティ溢れるカッティングとこだわりの素材選び、時代性を加味することによって、ひとつのアイテムとしての完成形を追求している。海外においても、ますます評価が高まっている。

MORERIDE Tel. 03-5351-6277


N.HOOLYWOOD

N.HOOLYWOOD
アンセル・アダムスの一冊の写真集からはじまった今季テーマ。フォーマルなスタイルと、ザイル一本で登山をしていた1900 年代初頭から、彼がヨセミテを撮りはじめてゾーンシステムを発表する1940 年代くらいまでの、クラッシックな登山スタイルにクローズアップしている。

OBANA Daisuke|尾花 大輔
1974年、神奈川県生まれ。1992年、専門学校中退後、古着屋でバイヤーとショップマネジャーを兼任する。1995年、古着のセレクトショップ「go-getter」の立上げに携わる。2000年「N.HOOLYWOOD」を設立。同年12月、本格的にオリジナルを展開するために原宿に「Mister hollywood」をオープン。2002年にはクラブで初のコレクションを発表。2007年6月には、パリで初の展示会「N.HOOLYWOOD COMPILE」を発表。2008年11月1日、「N.HOOLYWOOD」としての初の路面店を香港にオープン。

Mister hollywood Tel. 03-6447-0977


sacai

sacai
この秋冬はオックスフォードの生地に、ストライプやタッタソールチェックをプリントした生地を裏づかいしたり、ドレスシャツや裾にドローストリングでスポーツの要素をくわえたりと、クラシックで普遍的なアイテムを、複数の要素をもちいることであらたなスタンダードのかたちに再構築している。

ABE Chitose|阿部千登勢
岐阜県生まれ。数社でパタンナー、企画を担当。99年、sacaiを立ち上げる。「日常のうえに成り立つデザイン」をコンセプトに、スタンダードなものを大切にしながらエレガントな要素をくわえ、またクラシックなアイテムにひねりをくわえることで、「ニュースタンダード」を表現している。2010年春夏からはモンクレールの新ライン「MONCLER S」を手がけるなど、世界でも注目を浴びているデザイナーだ。

sacai Tel. 03-5428-6254

           
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