TOMORROWLAND|バイヤー特集|伝統×クリエイションの融合と革新
TOMORROWLAND|トゥモローランド
トゥモローランド メンズ事業部長 中城大祐氏
伝統×クリエイションの融合と革新
今シーズンのトゥモローランドのメンズは、「トゥモローランドの考え方のベースになっている伝統や文化を大切にしながら、そこにくわえられているクリエイションに注目しています。バイヤーはどうしてもマニアックになりがちですが、もっとピュアな目で、すごく欲しいとかカッコイイ、あたらしいと思う消費者的な視点ももって提案していきたいと思っています」と中城大祐氏。モノが生まれてくる場所や、モノづくりに携わっているひとをとおして、後世に残っていくマスターピースを熱く語る。
文=OPENERS写真=原恵美子
モノづくりの現場を見て、感動して、納得した、今シーズンの傑作!
「洋服は気分を高揚させてくれるもの。色や柄、素材感などで、あたらしい気分を感じたり、完成度の高さを知って、着こなしを楽しんでください」と中城氏。さらに、「大きなトレンドがなく、洋服がシンプルになってくると、素材やカットが際立ってきます。そのなかで「~ふう」「~スタイル」にこだわらない、クリーンなスタイルや、素材の良さがもたらす着心地の良さに注目してください」と語る。
Purchase01
「QUAI DE VALMY」レザーブルゾン
思わず「うまい!」と唸った、鮮度のあるクリエイション
スペイン人のイザック・レイナ氏がデザインする「QUAI DE VALMY(ケ・ドゥ・ヴァルミ)」は、最高級ラグジュアリーレザーファクトリーのセラファン社のレザーを使用していることで有名ですが、このブルゾンのゴートレザーは、レザーを特殊な溶剤を使って色を落とすプラーク加工を用いて、特殊な色を出しています。極めてシンプルなデザインのブルゾンですが、袖口のリブの短さや、首もとのわざと甘いリブなど、とてもうまい。完成度の高さをディテールでも物語っています。
パリのセラファン社を見てきたのですが、超ベテランの職人が縫っていて、彼らの“世界トップレベルのいいものをつくっているんだ”という気概が伝わってきて、そのレベルの高さに驚かされ感動しました。モノづくりの確かさに現代のクリエイションが入って、思わず「うまい!」と唸ったブルゾンです。これは、とくに着方は限定されませんが、白のシャツにロールアップしたストレートデニム、足もとはジェイエムウエストンのローファーなどと合せるといいですね。レザーはトレンドというよりコレクションしていくアイテムだと思うので、バリュー感はとても高いと思います。
QUAI DE VALMYレザーブルゾン18万9000円(トゥモローランド)
Purchase02
「J.M. Weston」エナメルローファー
着こなしを邪魔しない、収まりのいい不思議な靴
今シーズンは、きれいな革靴を履きたい気分です。この「J.M. Weston(ジェイエムウエストン)」のローファーは定番ですが、これを履くとすべていまの気分になります。パンツのシルエットもいろいろ出ていますが、不思議とどんなバランスにも合う靴ですね。ぜひトゥモローランドで扱いたいとウエストンにお願いして、特別に、通常はオーダーでしか買えないエナメルのローファーを扱えるようになりました。スタイリングをモダンにしたいときにぜひ。
もちろんフランスのリモージュの工場にも行ってきました。以前から肉厚な感じがするソールを不思議に思っていたのですが、革の状態からなめし工場まで説明していただき、作業風景を見て納得しました。それと驚いたのが、5万足分の木型をストックしている体育館のような広さの保管場所や、年間1万足以上のリペアを請け負う工場内のリペア部門やリペア専門の職人の存在です。ウエストンの靴が世界中から愛されていることに感動しました。
J.M. Westonエナメルローファー7万6650円(トゥモローランド)
Purchase03
「MACKINTOSH」×「KITSUNÉ」ドリズラー
まさに、今回のメインテーマである伝統×クリエイションの最新作
「KITSUNÉ(キツネ)」は、基本的にベーシックなんですが、洋服のバランスが不思議で、着てみるとちがいを感じます。トラッドでスクール的な匂いがありながら、いちばんあたらしいクリエイションを発していて、旬なブランドですね。このドリズラーも、KITSUNÉらしい色づかいが新鮮です。
トゥモローランドでは「MACKINTOSH(マッキントッシュ)」と20年以上お付き合いがあるのに、スコットランドの工場に行く機会がなくて、この冬やっと実現しました。工場に入って驚いたのが、工場内にミシンの音がしないこと。ゴム引きのコートを職人がひとりで一着つくっていきます。それは組み立てていくという感じで、彼らがみなプライドをもって楽しそうに働いているようすに感動しました。それと、錚々たるブランドのアーカイブが大量にあって、どれもカッコイイ。各デザイナーやメゾンがなぜここまでMACKINTOSHを使うのかがわかりました。
MACKINTOSH×KITSUNÉドッグイヤーブルゾン9万9750円(トゥモローランド)
Purchase04
「Pierre-Louis Mascia」ストール
カジュアルな時代に、アーティスティックな巻きものを
トゥモローランドは前から巻きものがよく売れて、毎シーズンさまざまなバリエーションを揃えていますが、この「Pierre-Louis Mascia(ピエール・ルイ・マシア)」はデビューコレクションから扱っています。ひと目惚れでしたね。デザイナーはイラストレーターでデザイナーという多才なひとで、独特の色づかいがきれいで、柄のセンスがいい。ありそうでない絵画的なセンスが活きています。クラシックな柄がもつ安心感があって、一見バラバラな色柄をまとめてしまうセンスがすばらしい。
このストールをつくっているイタリアのプリント工場とは以前に仕事をしたことがあって、定評のある技術に、あたらしいクリエイションがくわわっているのがとてもいい。カジュアルな時代でリラックスな服が多くなっても、エレガンスは大切な要素で、それは内からでてくるもの。カジュアルでもエレガンスを求めるときには、靴と巻きものでバランスをとってみてください。うまく使いこなせば個性になっていきます。こういうストールは、男女兼用で使えるし、コレクトしていくアイテムですね。
Pierre-Louis Masciaストール 左/2万8350円、中/2万8350円、右/3万1500円(トゥモローランド)
Purchase05|「ANNAPURNA」ニット
今シーズンの気分にマッチする、コットンのローゲージニット
「ANNAPURNA(アンナプルナ)」はイタリアのニットブランドです。このローゲージニットは、“春物をすぐ着たい”という気分にぴったりで、メンズはじまって以来の大ヒットアイテムになっています。
まだアウターは必要だけど、あたらしい気分ですぐ着られるのがヒットの要因ですね。色と素材感に独特な素朴感があって、いまの気分を反映した大きい柄も新鮮です。タイトすぎず、オーバーサイズすぎない、ちょっとゆとりがあるサイズ感もいいし、細身のボトムですっきり見せたり、太いボトムをロールアップさせたり、いろいろ着こなしが楽しめます。デニムのワークパンツにローファーを合わせるのもおしゃれですね。
ANNAPURNAローゲージニット5万7750円(トゥモローランド)