beautiful people|「beautiful people」デザインチーム インタビュー(前編)
beautiful people|ビューティフル・ピープル
トラッドに遊びを入れたら、おもしろかった
「beautiful people」 デザインチーム インタビュー (前編)
「いま注目の東京ブランドは?」と問われたら、多くのひとが真っ先に名前を挙げるひとつが「beautiful people」だろう。熱い視線を集めながらも、デザインチームの熊切秀典さん、米タミオさん、戸田昌良さん、若林祐介さんの4人はどこまでも自然。話題をさらうキッズサイズのアウターが誕生したきっかけをきいた。
取材・文=津島千佳写真=高田みづほ
4人をバンドのメンバーにたとえると?
──まず、それぞれの役割を教えてください。
熊切 僕はデザイナーと呼ばれる役目。ただ基本的にはみんなと相談するのが前提で、そこで却下されるアイデアもあるし。
米 肩書きは企画・生産です。熊切くんと密にやってることが多いですけど、パターンだったら戸田さんで、値段のことは営業の若林さんで。僕はチームの調整役ですかね。
若林 僕は小売店さんへの別注提案とか、そういったところですね。
──戸田さんはパタンナーさんですね。
戸田 ええ。そうですね。あ、いま録画してるんじゃないんですよね?
──そんな遠慮ぎみに(笑)。スチールなので、もっと堂々としていただいて大丈夫ですよ(笑)。リーダーはいらっしゃいますか?
熊切 僕がしゃべるので、バンドにたとえると……ボーカルというか。
若林 僕はドラム。
熊切 米さんがギターで、戸田さんがベースかな。
トラッドな服をお手本どおりつくっても、おもしろくない
──「beautiful people」は大人も子どもも着られるウェアが特徴ですが、それを打ち出すきっかけは?
熊切 「子どもらしさから一番かけ離れたアイテム、トレンチコートをキッズサイズにして大人に着せるのっておもしろいよね」からはじまりました。でもはじめて袖を通すひとには、わかりづらいみたいで……。だから営業に来る問い合わせは、ほとんどサイズ(笑)。
若林 「130って9号ですか? 7号ですか?」みたいな。すごく言いづらいんですよね、受け取り方に幅のある洋服なので。
──でもキッズ向けってわけじゃないんですもんね。
戸田 パターンは大人向けです。ただ子どもが着ても大丈夫。
米 僕の子どもが120か130くらいのサイズだから、原寸を着せてね。うちの子どもにはジャストフィットするから。
戸田 実際、親子に交互に着せて仮縫いしたりもしますから。手間をかけたぶん、いいものはできてる。
──個人的に「beautiful people」は、モッズやトレンチコート、ライダースジャケットなどアウターのイメージが強いです。それは戦略的に売っていくつもりだったんですか?
若林 あまり意識はしてなかったです。最初の展示会で一部のバイヤーしか買ってくれなくて全然売れなかったんだけど、セレクトショップさんを通じてバイヤーさんやスタイリストさんが買ってくれて。口コミで広がった部分がかなり大きいですね。僕らの戦略でなくて、ファッションリーダー的なひとたちが買ってくれたっていう。
──エポックメイキングなアイテムを挙げるなら、どれですか?
熊切 やっぱりキッズサイズのアイテム。最初にトレンチコートとスウィングトップをキッズサイズで展開したけど、ほとんど売れなかった。売れないとやめちゃうところも多いですけど「これはおもしろいはずだ」って、つづけてよかった。はじめて3シーズン目くらいに、全部キッズのコレクションをやったんですよ。そこから急に火がついて、スタイリストさんや芸能人がブログで紹介してくれて。そこも戦略でやれたのかもしれないけど、お金払った広告じゃなくて、おしゃれなひとに実際に買ってもらったことに意味があったのかなぁ、と思ってる。
──どういったところが受けた要因だと思います?
熊切 ちょっと遊びがあって、さらに意味があってというところかな。トラッドな服でベーシックなものをつくっても、退屈じゃないですか。
──営業面からも、キッズラインが出てからは反響が違いますか。
若林 その前にブログで紹介してもらったとか、ライダースブームにのれたのも大きいですけど、2009年の春夏シーズンからはすごかったです。いま軸になっているのはキッズですけど、あたらしくユニセックスなボーイズラインも立ち上げたので、いまはそちらも軸になっていますね。
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http://www.beautiful-people.jp/