栗野宏文が語るギフトにまつわるストーリー|MARGARET HOWELL
MARGARET HOWELL|マーガレット・ハウエル
栗野宏文が語る
ギフトにまつわるストーリー
Photographs by JAMANDFIXText by ITO Yuji(OPENERS)
ブレない軸とこだわりが愛されるギフトの秘訣
ぼく自身、圧倒的なギフト好きなんです。ふだん、なにげなく街を歩いていても“これをあの人にあげたら喜んでくれるかな”と考えてしまうくらい。これはいまにはじまったことではなく、かつてマーガレット・ハウエル、ご本人に彼女が好きそうな曲を編集したカセットテープをプレゼントしたこともあります。要は、人のことを考える のが好きなんでしょうね。おせっかいなヤツなんです。
マーガレット・ハウエルの服というのは、一見シンプルではありますが、無個性ではない。上質であり、品があり、変わらないようでいて、時代の空気をしっかりと吸い込んデザインされている。ぼくもここ数年続けてクルーネックのニットを買っていますが、着丈や身幅といったバランス感が絶妙で、とても気に入っています。
このギフトブックのなかでいえば、コットンカシミヤのクルーネックニットはとても欲しいと思いました。自分で服を選んで着るようになって、50年くらい経ちますが、これまでニットはシャツの上に着るものだ、という概念があって、頑なにそれを守っていたのですが、マーガレット・ハウエルのニットに出会って以来、素肌やTシャツの上にクルーネックという着こなしを楽しめるようになりました。もともと肩に力の入ったようなお洒落は好きではないのですが、ハウエルの商品はいまのファッションの気分である、がんばらない、リラックスした、というようなエフォートレスな気分ともマッチして、そういった飾らない着こなしを楽しめます。同時に、素材は上質なものを選んでいるし、デザインにも品があるから、くつろいでいてもルーズには見えないのが、ここの服の特徴なのではないでしょうか。
そして、マーガレット・ハウエルは世界一、とびきり色にこだわりをもっているブランドでもあると思います。ベーシックなベージュやブルーといった色も、遠くから見ても、このブランドであることがわかるのです。たとえば黒の使い方も絶妙で、重い印象を与えずに黒を使える数少ないデザイナー。今シーズンも穏やかなヘリンボーン柄のコートがとても良かったですね。
栗野宏文|KURINO Hirofumi
株式会社ユナイテッドアローズ クリエイティブディレクション担当 上級顧問。和光大学人文学部 芸術学科卒業後、ファッション業界へ。スズヤ、ビームスを経て、1989 年ユナイテッドアローズ設立に参加。2008 年、取締役を退任後は上級顧問に就任。現在はバイイング、ブランド・ディレクション等のほか、エッ セイ等の執筆も手掛ける。2004年には英国王立美術学院より名誉フェローを授与された。
アングローバル
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