SUEHILLO│デザイナー末廣美子インタビュー

SUEHILLO│スエヒロ

2010 SPRING&SUMMER COLLECTION

「SUEHILLO」デザイナー末廣美子インタビュー

YOHJI YAMAMOTO、ISSEY MIYAKE、JUNYA WATANABEでコレクションにかかわり、フリーランスの企画・パタンナーとして活動をはじめ、2009春夏コレクションでブランドデビューした末廣美子さん。2010春夏から、ブランド名もあらたに「SUEHILLO」として、展示会を開催した。

文＝オウプナーズ写真＝原恵美子

自分磨きが大好きな女性が“見せたい”願望を服として表現しました

──前シーズンまでは「HACHI」というブランド名でのコレクションでしたが、今回から「SUEHILLO」になりました。2010春夏のテーマは？

今季からブランド名を新しくしたこともあり、テーマは「HELLO!」です。
いま、女の人は、私も含めて、自分磨きが生活の一部になっていて、それは自分だけにとどまらずにその成果を公表したいんだと思うんです。
それが、腕を出したり、胸を強調したり、脚をきれいに見せたりすることにつながっていて、知的かつきれいに見られたい。そんなときに自分だったらこんな服を着たいなと思う服をつくってみました。

──今シーズンのデザインポイントや見てほしい部分は？

今回は、ランニング型をベースにデザイン展開していきました。
ジャケットは袖下をくり抜いた型にしたり、袖付けを思いっきり肩の内側に入れたりしました。
袖のない形──ベスト、ワンピース、ランニング型のアシメトリーなカットソーを多く展開しています。
女性は、同じ身長の人でも身幅の差がいろいろあるので、今回、ジャケットとベストのほとんどは前開きをボタンではなく、少し開いた設定にしてチェーンや革紐で留めるデザインにしました。閉め方によってサイズ調節ができるんです。
また、素材もデニム＆カツラギの樹脂加工や形状記憶素材、ワッフル、インド綿ピンタックリボン加工の生地など、生地表面の表情のあるものをメインとしました。

──「SUEHILLO」が理想としている女性像は？

見た目の理想像はありませんが、クールで「あきらめない」人……、私でしょうか（笑）。

──末廣さんの好きなデザイン・素材・色は？

デザイン要素は強いけどシンプルにまとまっている服が好きです。
パターン的＆素材的にすばらしいできあがりの服って、いくらごちゃごちゃしていてもシンプルな印象になると思っているので……、それが目指すところですね。
素材は基本的には自然なものが好きでしたが、最近、「これいいな」と選んでみると、化学繊維のことが多く、とくに偏見はありません。
色はグレーがいちばん好きで、「SUEHILLO」のネームとプライスタグはもちろんグレーです。展示会もグレー一色でやりたいと思ったこともありましたが、営業的に難しいようです（笑）。一度はトライしてみたいと思っています。

──服を通してメッセージしたいことを教えてください

ブランドを説明するとよくターゲット年齢を聞かれますが、必ず「ターゲットはありません」と答えています。
展示会を見に来てくれた男の人が「これ着られるね」と何着か試着してくれました。
たくさんの人に着てもらうのは無理だとは思うのですが、「SUEHILLO」の服を気に入ってくれる人には「YES」を伝えたいです。
年齢がいくつだからダメとかこういう条件だから難しいとか、そんなことがとても多くて……。
めげないで頑張っていると、いつか「YES」に到達するはずです。

──ありがとうございました