メンズファッションに対する根本的な考え

わたしは、1970年代に、コート、ジャケット、トラウザーはすべて、メンズ用に仕立てられたものがウィメンズ用にも適していると感じました。わたしは、ブラウスよりシャツを好んで着用しました。底が平らな靴とジーンズは、スカートやドレスよりも実用的に着用できます。メンズ用衣服の機能性は、活動的で仕事をする上の生活スタイルにより適していますが、わたしはメンズ用衣服の表、裏、両面のつくりにも魅了されました。テーラリング、シャツ、ネクタイ、すべてが伝統的な手法で作られています。

わたしは、専門的な技術をもつ工場を探しはじめ、彼らのスキルを楽しみながら仕事に取り組みました。物づくりは、デザインにおいて多くの部分を占めることです。それ以外の部分とは、もちろん、コンセプトです。コンセプトがデザインを刺激し、デザインに存在理由を与え、そしてデザインの個性も与えるのです。

メンズ（あるいはウィメンズ）の衣服をデザインする際のわたしの基準は、ほかの製品デザインにも同様に当てはまります。つまり、素材、機能、感覚的においてふさわしいか、ということです。しかしながら、わたしの表現形式はおそらく、個人的な価値観を反映しているようです。

これらは、考慮を重ねた上で編集された手法で表現されるのかもしれません。そこでは品質が数量よりも重要であり、そして「粋であること」よりも重要であります。それは、生地を触ったときの感覚と、生地の特性に対しての打ち解けた姿勢でもあり、たとえば、上質なコットンやリネンに含まれている粗糸やシワを感じたり、ハリス・ツイードやウーステッド服地のような伝統的な織りのよさを味わうことです。

これらは、カラー、着心地、そして今、着るにふさわしいとされる衣服に対する直感的な感覚に加わる、根本的なことです。わたしが衣服をデザインしたいと思っている人たちは、1、2シーズンを経ると時代遅れに見えるような、流行を追った衣服を求めておらず、現代的なセンスにおいて「正しく」見せる衣服を求めているのです。

「シャツ」の意味

仕事をはじめた初期のころに、わたしはヴィンテージシャツを見つけました。そしてわたしは、その完璧なつくりとコットン生地の質のよさに感銘を受けたのです。イギリス中のシャツを捜したい、そして、わたしがデザインしたシャツをヴィンテージシャツと同等な品質基準で製作してもらうために、熟練したマシーニストに仕事部屋を提供したい、という気になりました。今日では、シャツはメンズコレクションの中で定評のあるアイテムとなっています。

MARGARET HOWELL Brand History

1969年
ロンドンのゴールドスミス・カレッジを卒業後、アクセサリーのデザイン、製作をスタート
1970年
メンズシャツを発表。『UK版ヴォーグ』などに取りあげられ脚光を浴びる
1977年
サウスモルトン・ストリートに初のメンズショップオープン。パリにもテナント売場がオープンする。
デザイナー・オブ・ジ・イヤーにノミネートされ、コスチュームミュージアム、ヴィクトリア＆アルバート ミュージアムのコスチューム部門にアウターが展示される
1991年
イギリス、日本、アメリカ、フランス、ドイツ、オランダなどに80軒の卸先をもつ
1992年
ブルークストリートにロンドン2店舗目の直営店オープン。その後英国内ではリバティ、ハーヴィ・ニコルズ、リッチモンド、 ストラトフォードに出店、パリではボン・マルシェにテナント売場を再オープン
1995年
ロンドンコレクションに初参加
1998年
サヴィル・ロウに女性デザイナーとしてはじめてメンズのショップをオープン。また、ハウスホールドグッズの扱いが始まる
1999年
セルフリッジ店オープン。東京・渋谷に初のライフスタイルショップをオープン
2002年
ロンドン ウィグモアストリートにフラッグシップ ショップがオープン
2005年
OPEN HOUSE（ロンドン市内で開催される建築のエキシビジョン）へのチャリティサポートをスタート
2006年
ロンドン フルハムロードにロンドン市内2店舗目となる路面店をオープン
2007年
英国におけるファッション産業への永年に渡る功績が評価され、英国王室よりCBE(大英帝国3等勲章)を受勲
2008年
王立芸術協会より、英国においてデザインに関する表彰の中で最高の栄誉であるRoyal Designer for Industory（通称RDI）に選出される
2009年
フランス・パリに初の路面店をオープン予定

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