History of MACKINTOSH
マッキントッシュの栄光の軌跡
ハイテク素材「マッキントッシュクロス」の誕生は1822年。その特別な生地はコートに仕立てられ、またたくまにヨーロッパ全土に広がった。そのゴム引きコートは今なお一着一着が職人の手によりつくられている。伝統を守りながらも日々進化しているマッキントッシュとは、どのようなブランドなのか。
1822年、ハイテク素材の誕生
英国を代表するアウターウェアブランド、マッキントッシュ。その起源は、1822年に、チャールズ・マッキントッシュが「マッキントッシュクロス」を発明したことにさかのぼる。
当時の防水布といえば、キャンバス地に油を塗って撥水性を高めるくらいがせいぜい。それだけに防水性にすぐれたマッキントッシュクロスの登場は、英国じゅうに衝撃をあたえた。そして1830年、チャールズ・マッキントッシュはその特別な生地とコートを製作する会社を設立。そのゴム引きのコートは瞬く間にヨーロッパじゅうに広がることになる。なかでも英国の上流階級の人々のあいだでは、乗馬用コートとして人気を博し、その高い機能性から英国陸軍や英国国有鉄道でも採用されたほど。
時を超えて息づくクラフツマンシップ
マッキントッシュのゴム引きコートはいまも当時の製法のままに作られている。縫製を施した縫い目の裏にすべて防水テープを張り、ライニング、ポケットも接着により取り付けられ、完全防水になる。この工程は、職人が指に特殊なグル“Glue(接着剤)”をとり、伸ばして、貼り付けて、ローラーをかけ、乾かすという作業を繰り返して行われる。すべてのコートは一着一着この工程を通じて完成されるため、いうまでもなく限られた数しか生産することができない。
マッキントッシュのさらなる進化
時代は移り、さまざまなスタイル、素材のコートが、ファッションが生まれては消えていったが、マッキントッシュが消え去ることはなかった。マッキントッシュだからこその独特な匂い、風合いや素材感は、世界じゅうで本物(マスターピース)を愛する人々に支持されつづけている。最近ではさまざまなグランメゾンとのコラボレーションによりさらに輝きを増し、ゴム引きコートをラインナップの核とした、モダンブリティッシュを体現するブランドとして、不動の地位を確立している。
マッキントッシュの美意識を表現するのにふさわしいことば、それは“Classic&Contemporary”だろう。伝統と現代性のバランスのうえに成り立つものづくりには、これ見よがしの装飾性は見られない。さらにゴム引きコートのみではなく、英国の服飾史を反映したブルゾン、パルマカーン(ステンカラー)コート、キルティングジャケットなども、マッキントッシュならではの解釈で再構築され、人気を博している。
マッキントッシュはこれからも伝統を守りながら進化し続ける。