小林ひろ美さんに習う_1
Fashion
2015年5月15日

小林ひろ美さんに習う_1

さて、いよいよ「香りに出会う、香りをつくる旅」に出ます。オウプナーズ編集室から対談相手として推薦いただいたのは、同じオウプナーとして参加されている小林ひろ美さん。とにかく美容全般についての見識が高いとお聞きして、素人考えで立ち向かっていいのかと戸惑いましたが、とても面白いお話が聞けました。では、さっそくご教授いただきましょう(吉田十紀人)

小林さんの「美・ファイン研究所」にて。photo by IDEGUCHI Keiko

すれ違って、個性を知るのが理想

吉田十紀人:はじめまして。今日はよろしくお願いします。

小林ひろ美:こちらこそ。楽しみにしていました。

吉田:恐縮です。香りに関してはまったくの門外漢で、私が言うのもおこがましいですが、女性と男性では、匂いに限らず美容に関して受け取る情報の質と量にものすごい差があると感じています。

小林:そうですね。私は普段からフレグランスのアドバイスもしていますが、やはりほとんど女性で、男性はまだまだ香りをつける習慣がありませんね。

吉田:私は高校1年生の頃からオードトワレなどをつけていましたが……。父親が割とおしゃれだったんです。

小林:それは素敵なお父様ですね。日本で香りが誤解されやすいのは、日本は欧米に比べて高温多湿で、しかも通勤ラッシュなど人と人の距離が非常に近いので、匂いがこもりやすいんですね。香りが自分の“個のオーラ”になればいいんですが、日本の風土気候と距離感では、どうしても匂いが鼻につきやすいですね。「うっ、臭い!」って経験は誰にでもあると思います。

吉田:今のお話を聞いて匂いが強すぎるのかとドキッとしました(笑)。香りのつけ方のわかりやすいたとえってありますか。

小林:すれ違って1メートルぐらい経って「あれっ?」って匂うレベルでつけるのが最も理想的です。

吉田:なるほど。今回のこの企画の発想は、たとえば香り一つをとっても、男性は女性ほどアレンジが効かないし、コーディネーションの幅も狭いんですね。だったら何かイメージしやすい基準というかルールというか、商品説明よりも明確なイメージがあったほうが男性は香りを楽しめると思ったわけです。

小林:はい。

はじめの1歩 私が思うこと

photo by IDEGUCHI Keiko

吉田:例えばですけど、グレイ・フランネルのスーツに茶色の靴を履いたときにつけるコロンですよとか、スティーブ・マックイーンのようにスウェット・シャツにチノパンツにはこのトワレですよとか。スーツがシガーバーに似合うように、ネクタイやシャツを選ぶように、香りをセレクトできたらもっと楽しめるはずです。

小林:そうですね。吉田さんは何を使われているんですか。

吉田:僕は現在販売中止になった「ダビドフ」を長い間使ってきました。今は「サンタ・マリア・ノヴェッラ/RUSSA」を使っています。一つこれって決めるとずっと使いますね。

3つの香水をもっているといい

小林:吉田さんは香水の種別ってご存知ですか。私は、気に入った香りが見つかったらパルファムとオードトワレの2本を買うことをお薦めしています。オードトワレはパルファムよりソフトな香りで4時間から半日ほど香りがもちます。朝出かけるときはオードトワレがいいですね。それでアフターファイブにグッと匂いの幅を深くしたいときはパルファムをちょっとずつたくさんの箇所につけます。ベースが先にあるので、ちょっとつけるだけで匂いがしっかり固定しますし、その匂いは10時間以上、朝まで続きます。香りを重ねづけするという感じですね。

吉田:オーデコロンというのは?

小林:オーデコロンの香りの持続は1~2時間ぐらいなので、スポーツの後とかにたっぷり使うイメージですね。よく「パルファムは点」でつけろといいます。本当にペン先ぐらいでいいので、少しずつたくさんの箇所に。「オードトワレは線」でつけます。スプレーでシュッシュッと。そして「コロンは面」ですね。

吉田:なるほど。わかりやすいです。

小林:私はよく「これだ!という香りに巡り会えたら、3つ香水を持っているといい」と話します。それを、昼の匂い、夜の香り、肌の香りと言っています。

吉田:はい。

はじめの1歩 私が思うこと

photo by IDEGUCHI Keiko

小林:昼はご自分の定番の香りで、ビジネスでもOKなもの。その濃度をたとえばレベル1とします。夜はデートだったり、オーラを強めたかったり、印象的に過ごしたいので、昼の香りをベースにレベル2の濃度のものを。肌の香りは、ウィークエンドとか就寝前とかのホッとしたいときに。レベルで言えばマイナス1。石けんとかクリーム、アフターシェイブなどバスラインのアイテムという意味ですね。

吉田:男性はどこまで香りが許されるでしょうね。女性としていかがですか。観劇とかレストランとかでは。

小林:つけ方を間違わなければ楽しんでいただいていいと思いますよ。お寿司屋など和食は気をつけた方がいいと思いますが。

吉田:スーツで葉巻を嗜んだ残り香、映画のワンシーンで、飲んでいるコニャックを自分の首筋につける男とか、粋な遊び心も本当はあると思うんですけどね、男性も。

小林:吉田さんはどんなつけ方をされていますか。

吉田:僕は、スプレー式で、1、2回、脇に。

小林:脇ですか!? ダメですよ、やめたほうがいいです。

吉田:え、ダメなんですか!? 知らなかった。じゃあ、どこにつければいいんですか?

<小林ひろ美さんに習う_2>に続く

           
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