ジャケットやボタンダウンシャツのセミオーダーも

「東京は著しい発展をみせるアジア地域のゲートウェイです。アジア初、そしてアジア最大の旗艦店をオープンすることを考えたときに、中国の上海でも、香港でも、韓国のソウルでもなく、東京という場所が一番ふさわしかった。なかでも表参道は世界一のファッション・シティ。あらゆるラグジュアリーブランドの旗艦店が軒を連ね、そのいっぽうでファストファッションの大規模なお店も並んでいます。また一歩路地裏に足を踏み入れれば、クリエイティビティにあふれたブランドのオンリーショップや、セレクトショップもあります。世界に類を見ないファッションの交差点です。トミー ヒルフィガーというブランドが拡大し、次のステージに進むためには、こうしたすばらしい場所で、あらたな挑戦を仕掛けることが必要でした」

と、世界のカジュアルファッションを牽引してきたデザイナー、トミー・ヒルフィガー氏は語った。そんな絶好の場所に居を構えるフラッグシップショップは、これまでのイメージを一新する店だといえるだろう。

ショップは地下1階にデニム、1階にメンズ、2階にはウィメンズと、3フロア構成となっている。フロアごとに変化をつけた内装に仕上げられており、トミー ヒルフィガーが内包するあらゆるテイストを、ひとつのショップのなかで存分に堪能することができるはず。なかでも1階のメンズフロアは、ラギッドで重厚、見ごたえのあるインテリアとなっている。

「この店には、私が長年表現してきたこと、追い求めるテイストやファッションをすべて詰め込みました。とくに気に入ってるのは、昔の洋品店のようなクラシックな雰囲気のメンズフロアです。ここではカジュアルラインから日本初のコレクションラインがそろうほか、ジャケットやボタンダウンシャツをセミオーダーできるコーナーもあります。幅広い選択肢のなかから好きなものを選び、それでももの足りなかったら自分の好みに合わせてオーダーする。私の理想とする“クラシック・アメリカン・クール”なメンズショップの姿が、ここにあります」

“クラシック・アメリカン・クール”を表現するために

そして自慢の服をより魅力的に引き立てるよう配置されているのが、ヴィンテージの什器である。これら味のある什器類も、すべてトミー・ヒルフィガー氏のディレクションのもと、同ブランドのヴィンテージバイヤーチームが世界中から集めてきたものだという。

「クラシックなテイストの什器は、トミー・ヒルフィガーが標榜する“クラシック・アメリカン・クール”に欠かせないものです。でも、ただ置くだけではつまらない。例えば、レジ横に配置されたクラシックなキャビネットのなかには、ヴィンテージのネクタイやタイピンなどに混じって、オープン記念として作ったプレッピーなトラベルポーチやブレスレットなどを並べています。最新アイテムとクラシックなプロダクトを組み合わせることが、ファッションにあらたな刺激と魅力をもたらしてくれるはずです」

相反するものをミックスするという感覚は、トミー・ヒルフィガー氏の提案しつづけるスタイリングにも表れている。

「ブランド設立当初から、つねにカジュアルとドレスをミックスしたスタイルを提案してきました。たとえば、私がはいているピンクのチノパンは、Tシャツを合わせればカジュアルに、ボタンダウンシャツとネイビーのジャケットを組み合わせればドレッシーにも着ることができる。ここに並べられたすべての服や小物は、すべてそうしたことを意識して作られたものです。この店で服を選ぶときは、その感覚をぜひ忘れないでほしいですね」

アメリカン・カジュアルの最新形であり、トミー・ヒルフィガー氏のアイデンティティそのものといってもいいほど彼のこだわりが詰まった、トミー ヒルフィガー 表参道店。この店を拠点として、アジア全土に“クラシック・アメリカン・クール”の哲学を啓蒙していくのであろう。

TOMMY HILFIGER｜トミー・ヒルフィガー
ニューヨークのエルマイラ出身。1985年に初のシグネチャーラインを発表。以後20年以上にわたって、世界中の人々に“クラシック・アメリカン・クール”なファッションを提供しつづけている。自身が手がけたモダンクラシックなボタンダウンシャツやチノパンなどは、定番として幅広い層から支持を集めている。