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2019年10月1日
(後編)BE@RBRICKは究極のキャンバス。ミッキーマウス同様、時代を反映するアイコンです|MEDICOM TOY
MEDICOM TOY|メディコム・トイ
DR. Romanelli デザイナー、ダレン・ロマネリが語るミッキーマウス90周年
Photographs by GETTY IMAGES FOR DISNEY|Text by SHINNO Kunihiko|Edit by KAWASE Takuro
ミッキーマウスのスクリーンデビュー90周年を記念したディズニーのアートエキシビション「Mickey: The True Original Exhibition」が、昨年11月から今年2月までニューヨークにて開催。会場内にはさまざまなアーティストが手がけた絵画や立体物、デビュー作「蒸気船ウィリー」の実物大レプリカなどミッキーマウスをテーマにした作品が多数展示され、アニバーサリーを盛り上げました。
同展のキュレーターを務めたのはナイキがリメイクの許可を与えた唯一のアーティストとしても有名なリメイクファッションブランド「ドクター・ロマネリ((DRx Romanelli)」のデザイナー、ダレン・ロマネリ(Darren Romanelli)。彼自身も長年活動を共にしてきたメディコム・トイとのコラボレーションにより、ビンテージの古着を使った3000%サイズの Mickey BE@RBRICKを製作展示しました。今回はそのダレン・ロマネリにメールインタビューを敢行。ミッキーマウスへの思いやメディコム・トイの印象など、知られざる素顔に迫ります。
──ロマネリさんはリメイクブランド「ドクター・ロマネリ」のデザイナーとして世界的に有名です。ぜひOPENERS読者にブランド誕生までの経緯を紹介していただいてもよろしいですか?
私は1976年にサンフランシスコで生まれ、1984年の夏季オリンピックの時期にロサンゼルスに引っ越しました。当時は街のいたるところに公式スポンサーのコカ・コーラのアイコンが溢れ、とても感動したのです。人生で初めて本格的にコレクションを始めたのがコカ・コーラのピンズでした。それがきっかけで、毎月第2日曜日にローズボール・フリーマーケットに行くようになり、ビンテージの調達と収集を通じて審美眼を養いました。
その後、幸運にもオレゴン州ユージンの大学に通うことができました。オレゴン州はナイキの米国本部の本拠地でもあります。週末になるとユージンの古着の店を見て回り、大学4年間の間にビンテージのナイキの宝物を見つけながら過ごしました。頻繁に日本を訪れるようになると、日本人のコレクターが色、素材、年ごとに細心の注意を払い、どのように整理するのかを目の当たりにしたことにより、さらに私の審美眼を高めることになりました。ビンテージに関して日本人は完璧主義者です。
2000年、私にとって最初のオフィシャルなコラボレーション相手となったのがナイキでした。私が友人のために作っていた製品がナイキの目に留まり、ヴェニスビーチのナイキ・ブルーハウスで一緒にショーをおこないたいとお声掛けいただきました。その後、セレクトショップのMaxfield(マックスフィールド)がショーの商品すべてを購入し、私にとってとても大きな機会を得ました。これがドクター・ロマネリの始まりです。
──メディコム・トイとの最初の出会いについて教えてください。
初めて日本へ来た頃、私はビニールトイのカルチャーが日本のライフスタイルの重要な要素であるように感じていました。日本の文化は常にアメリカのポップカルチャーの歴史と並行して、フランチャイズキャラクターのコレクションが盛り上がっています。メディコム・トイがBE@RBRICKで幅広いライセンサーとご一緒し、その他さまざまな細かなディテールに拘った商品を見てきて、私にとってメディコム・トイは大事なブランドになりました。
──ロマネリさんはこれまでもメディコム・トイとのコラボレーションでBE@RBRICK、FABRICKのデザインを数多く手がけています。中でも特に気に入っているもの、印象に残っているもの、開発に苦労したものは何でしょう?
一番好きなコラボレーションは「BE@RBRICK DRx NAVY POPEYE THE SAILOR MAN」と「BE@RBRICK DRx ARMY beetle bailey」(2011年10月発売)です。コミックブックのキャラクターを通して、NAVY vs. ARMYのクラシックなライバル関係を表現することができたので、非常に気に入っています。
一番印象に残ったのは「BE@RBRICK DRx Spirit of 76」(2011年5月発売)です。私は1976年生まれ、パッケージに子どもの頃の家族写真が使用されています。この商品は一種の自画像として表現したものです。
一番チャレンジングだったのは「BE@RBRICK DRx ONE OF KIND COLLECTION - Moroccan Rug drop」です。ラグは楽しい素材ですが、扱いは非常に困難でした。業者に依頼して、ダメージのあるラグを探すところから始めなければいけなかったし、調達と交渉においてまったく新しいシステムを開発する必要がありました。
──ロマネリさんは「BE@RBRICK」について、どのようにお考えですか。
BE@RBRICKはなんでもデザインすることができる究極のキャンバスです。ミッキーマウス同様、BE@RBRICKは時代を反映するアイコンになっています。メディコム・トイは長年に渡って、とても素晴らしいコラボレーションをしてきました。現代美術、ファッション、建築、ビンテージトイ、有名ブランド、ミュージシャン、その他たくさん。それらはいつも驚きを与えてくれます。彼らのキュレーションはファンを飽きさせず、常にユニークなコラボレーションで楽しませてくれます。BE@RBRICKはトイではありますが、その時代の文化の代表でもあります。
──10年以上一緒に仕事をして、メディコム・トイという会社にどのような感想をお持ちですか?
日本で最も長く協力している会社のひとつとしてメディコム・トイはとても近い存在であり、長年に渡って友情関係を築いてきました。彼らのことは非常に尊敬していますし、常に驚きを与えてくれます。ファンを飽きさせないということは非常に重要であり、とても難しいことです。彼らとご一緒することができて非常に光栄です。
「Mickey: The True Original Exhibition」のために一緒に製作した3000% Mickey BE@RBRICKも、とても嬉しく思います。ミッキーマウスのアイコンをBE@RBRICKと自分らしいパッチワークスタイルでひとつに結びつけることができた素晴らしい作品です。
──最後に、これからメディコム・トイとどういうことを一緒にやってみたいですか?
楽しみにしているプロジェクトのひとつは、今回展示したMickey BE@RBRICKを商品化することです。あとはジェリー・ガルシア(Jerry Garcia)のBE@RBRICK、屋外に置くことができるセラミックBE@RBRICKも手がけてみたいです。それらの3つのプロジェクトが実現することを今から楽しみにしています!