谷尻 誠|新連載|第1回 ミラノサローネに参加します
Design
2015年3月6日

谷尻 誠|新連載|第1回 ミラノサローネに参加します

第1回 ミラノサローネに参加します

ミラノサローネ──デザインを業としている方は、ご存知だとおもいますが、毎年ミラノの街をあげての大きな祭典ですが、僕は毎年、参加してみたいとは心のどこかで考えていたけれど、行動にうつすことのできない数年を過ごしていました。それが、参加してみたいという強い思いが届いたのか、今年のミラノサローネにおける、東芝さんの会場を担当させていただくことなりました。

文=谷尻 誠(サポーズデザインオフィス)

光とはいったいなんなのか

忘れもしませんが、去年のデザインタイドの期間中、2009年11月1日に面接がおこなわれ、年末に正式な依頼をいただき、数週間後にはプレゼンという、いつものんびりな僕にとっては、激的なスピード感でプロジェクトが進んで行ったことを思い出します。

内容としては最初に東芝さんから、あたらしい光の価値づくりにおいて、LED光源がもつ潜在的な魅力を引き出してくださいというお題が我われに与えられ、それに対して建築家としてなにができるのかを考えはじめました。

第1回 ミラノサローネに参加します

まず、はじめに考えたのは、光とはいったいなんなのかということです。言葉にはするものの、光の形を見たことも触ったこともないわけですから、まずはどんな空間をつくるかということよりも、光について深く考えました。

光という形、距離、色、音、感覚、などなど。

その結果、たどり着いたのは、私たちが光を説明するのではなく、光を感じ、気づいていただける場をつくるべきだと。

空間としては、光のみが感じられる場として、空間を抽象化することを提案させていただきました。光以外のさまざまな要素を排除することで、光だけが浮かび上がり、本当の意味で光と向き合える場をつくることを考えました。
なにもないということが、ある意味、強度になるのではないかと。

また光を感じてもらう要素として、可能な限り自然に近い状態に近づけるため、我われの力では制御できないマテリアル“気体”をつかって、光の形や色を、ここでは具現しています。

会場での音にかんしても光同様に、音環境がどうあるべきかを考え、音、空間ともに主張のない場とし、空間と音とが密接に結びついた状態を設計しています。

照明デザイナーの岡安 泉さん、テクニカルアドバイザーとしてグラフィカの坂本眞一さんにご協力をいただきながら、ここ数ヵ月は実験の日々でした。また音響エンジニアのオノセイゲンさんにも協力をしていただき、空間の強度は更なるものとなりました。

私たちは、普段日常で光をつねに見ていますが、あらためて光のもつ美しさ、豊かさ、情緒などを再確認できる、そんな空間によって、ひとそれぞれの記憶のなかにある光ある風景と結びつき、本来の光のもつ美しさを感じていただける、そんな場所になれば私たちはうれしく思います。

第1回 ミラノサローネに参加します

Fuori Salone 2010 in Milan
TOSHIBA NEW LIGHTING
~新しい光の価値づくりに挑戦

4月14日から19日までの6日間、イタリア・ミラノ市で開催される世界最大規模のデザインエキシビジョン、「ミラノサローネ」に東芝が参加。ミラノ市内トルトーナ地区のスタジオを会場に、「Lucèste : TOSHIBA NEW LIGHTING」と題した、光のインスタレーションを実施する。東芝が本展示会に参加するのは、昨年につづき2度目となる。
東芝関連サイト
http://www.toshiba.co.jp/lighting/jp/ad/milano.htm

           
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