doinel|モノのなかに存在する豊かなストーリーに触れる
Design
2015年3月6日

doinel|モノのなかに存在する豊かなストーリーに触れる

doinel|ドワネル

使えば使うほど愛着がわく 「モノたち」 との幸福な出会い

モノのなかに存在する豊かなストーリーに触れる

地下鉄銀座線・外苑前駅から徒歩3分。青山ベルコモンズ前の交差点からキラー通りをほんの少し登った路地の左側に、ひっそりとたたずむ『doinel(ドワネル)』。学芸大学で北欧ヴィンテージを扱っていた人気雑貨店『biotope(ビオトープ)』が、店名もあらたに青山へ引っ越してきた。新店では雑貨のほか、東京でもあまり見かけない輸入食品や、ビオのワインを豊富に取り揃えている。

取材・文=戸川フユキ写真=高田みづほ

オーナーのたしかな目が選んだ「最小単位のプロダクト」

白を基調としたすっきりとした店内。ドアを開けると手前のゾーンは、北欧のヴィンテージアイテムが気持ちよくディスプレイされており、ときにはプロダクトの作家を紹介するギャラリースペースとして、フレキシブルに姿を変える。

店内奥には、雑貨類とともにずらりとならんだワインの瓶。扱っているのは、フランス産のビオのワインだ。ビオとは無農薬栽培のブドウを用い、酸化防止剤を使わずに(または極力使用を控えて)つくったワイン。からだに優しく、飲み口が爽やかな健康的なワインだ。棚に近づいてよく見ると、ブドウの産地や種類、つくっているひとの顔写真まで添えられているではないか。なかには、ワイン農家が自らラベルのイラストを描いたものもあり、ひとつひとつユニークで、眺めているだけでじつに楽しい。ディスプレイとしても美しく、まさに雑貨店ならではのセレクトだ。

ドワネル|青山|ワイン 03

ドワネル|青山|ワイン 05

繊細で美しい、オリジナルギフトボックス

なぜ雑貨の店でワインも扱うようになったのかをうかがうと、オーナーの築地雅人氏は、“モノができるまでの歴史やストーリー”に非常に興味があり、自分の店にならべる品物を選ぶポイントも、つねにそこにあるという。築地氏にとっては、ワインも「モノづくり」の点で「プロダクト」の延長線上にあるわけだ。無名のワイン農家でも、つくり手の個性や、生産者の精神そのものにおもしろさを感じてしまったら、もう紹介したくてたまらなくなるということだ。

また店内で目を惹くのは、オリジナルのギフトボックス。ドイツの「Carta Pura(カルタ プラ)」というステーショナリーメーカーが、クラシックな柄が魅力のイタリア・フィレンツェ製のラッピングペーパーを扱っていて、それを『ドワネル』が日本の箱職人に発注し、ここでしか手に入らない繊細で美しいギフトボックスに仕上げている。ワインだけにとどまらず、あれこれ小物を詰め合わせてのプレゼントに仕立てても、きっと歓声があがるにちがいない。

ドワネル|青山|ワイン 06

ドワネル|青山|ワイン 08

雑貨から食材まで、なるほどと思わせる品揃え

さらに店内には、ワインとよく合う食材の数々がならぶ。フランスの老舗グローサリーの瓶詰めやマスタード、パッケージデザインもすてきなオイルサーディンやオリーブ、クラッカー、オーガニックのジュースなどなど。どれも東京の輸入食品店であまり目にしない希少なものばかりだ。もちろん、築地氏のこだわりによって選び抜かれた雑貨類も充実。堅牢なつくりのドイツ製ガーデニング用品や、自然分解して土に返る洗濯洗剤、天然成分でつくられたバス用品など、どれもなるほどと思わせるラインナップだ。『ビオトープ』で人気だった北欧のヴィンテージ食器類は、現在は控えめな数だが、10月からは2階であらたな展開をはじめるそうなので、そちらにもぜひ期待したい。

『ドワネル』のコンセプトは「最小単位のプロダクト」。大量生産ではなく、土地に古くからあるものを使い、代々受け継がれてきたつくり方で、ひとつひとつ丁寧につくられたモノ。使えば使うほど愛着がわく「モノたち」が、ヨーロッパから遠くはなれた青山の店内で、つぎの出番を待っている。

ドワネル|青山|ワイン 09

doinel(ドワネル)
東京都港区北青山3-2-9
Tel. 03-3470-5007
営業時間|13:00~21:00
水曜休
http://www.doinel.net/

           
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