Elephant*|北欧デザイン本来のフォルムの美しさと存在感に出会う
Design
2015年4月22日

Elephant*|北欧デザイン本来のフォルムの美しさと存在感に出会う

Elephant*|エレファント

北欧デザイン本来のフォルムの美しさと存在感に出会う

地下鉄表参道駅から徒歩約4分。伊藤病院の角から表参道を一本入った裏通りは、洒落たレストランや小さなブティックなど、個性的な店が軒を連ねる。そんな“そぞろ歩き”にもってこいの通りのなかほどにあるのが、北欧ヴィンテージの食器などを揃える『Elephant*(エレファント)』だ。

取材・文=戸川フユキ写真=高田みづほ

買い付けが楽しくてたまらない、オーナー渾身のセレクト

『Elephant*』はアパート一階の突き当たり、一番奥の部屋でひっそりと営業している。外からはなんの店なのかわかりにくいため、外廊下を突き進むにはやや勇気を必要とするかもしれないが、一歩足を踏み入れれば、オーナーのこだわりが随所に感じられる、不思議と居心地のよいショップである。扱っているのは、主に北欧モダンデザインの黄金期、1950年代から1960年代のヴィンテージ食器類だ。

オーナーの吉田安成氏と北欧デザインの出会いは、まだ氏が郷里に住んでいたころ、それと知らずに買い求めた「黒いマリメッコのバッグ」だったそうだ。のちに東京でグラフィックデザイナーとして活躍し、北欧デザインの魅力に引き込まれ、いまでは北欧ヴィンテージを扱う店のオーナーとなった吉田氏であるが、北欧との結びつきはずいぶんと前に運命づけられていたようだ。

エレファント|インテリアショップ 02

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『Elephant*』は2006年、ウェブショップからスタートした。しかし品物のやり取りだけでは、お客さんの生の反応を聞くことができない。またサイズや質感は実際に手に取ってみてはじめてわかるものと感じた吉田氏は、『Elephant*』の世界観をより明確に伝えようと、2008年に実店舗をオープンした。

吉田氏は、柄のあるモノよりも、どちらかというとシンプルなモノ、無地のモノがもつ、色のきれいさ、かたちの美しさ、質感の豊かさに惹かれるそうだ。そのため店にならぶアイテムも「雑貨」という意識はなく、「男目線で選んでる感じですよね」と笑う。しかし、女性が好みそうないわゆる「かわいらしさ」を排除したぶん、北欧デザイン本来のラインの優美さや、モノの存在感が強調され、それらが『Elephant*』店内に独自のやすらぎを与えている。

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数あるプロダクトのなかで目を引くのは、スウェーデンのガラス作家、エリック・ホグラン(Erik Höglund 1932-1998)の一連の作品群だ。ホグランは、BODA社でデザイナーとして活躍し、25歳で北欧デザインの権威あるルニング賞を受賞、1973年からはアーティストとして活動し、1998年に66歳で世を去ったガラス工芸作家である。その作風は北欧の伝統や土着文化に根ざし、プリミティブで既成概念にとらわれない、ユーモラスで楽しいものだ。

吉田氏が感じるホグランのガラスの魅力は、計算され尽くした「ゆるさ」で、またその“さじ加減”が絶妙なのだそうだ。たしかによく見ると、量産されているプロダクトなのに手づくり感が満点で、ひとつひとつが微妙にちがう。ぽってりとしているのに決して野暮ったくはないホグランのガラス作品は、ぜひ店で手に取ってみてほしい。

年に3回は、北欧へ買い付けに出かける吉田氏。有名作家の作品でなくとも、モノ選びに鋭敏なアンテナを張る吉田氏の琴線に触れた品は、これからぞくぞくと入荷するであろう。『Elephant*』は今後も要チェックの一軒である。

Elephant*(エレファント)
東京都渋谷区神宮前4-14-6
表参道ハイツ#103
営業時間|12:00~19:00
火曜休
Tel. 03-5411-1202
http://www.elephant-life.com/

           
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