Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート|あたらしい時代における環境との共生のあり方
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2015年3月16日

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート|あたらしい時代における環境との共生のあり方

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート
Chapter2 Passat × 建築家 西森陸雄

あたらしい時代における環境との共生のあり方

現代における自動車はもはや環境を抜きにしては語れない存在である。そんななか、あたらしく登場したパサートは最新のテクノロジーと思想によって圧倒的な環境性能を実現しつつ、走る楽しさも両立させた。パサートがクリエイトしたあたらしい時代のプレミアムカーの価値とは、どういったものだろうか。欧州でも活躍し、長年、都市生活と環境について取り組んできた建築家 西森陸雄氏に登場いただき、これからのひとと環境との共生、そして自動車を所有するという意義について語っていただいた。

文=松尾 大写真=吉澤健太

アノニマスなデザインとパサート

「パサートに乗って感じたことは、とても乗り心地がよく、経済性も高いということ。そして、過給器付きとはいえ、たった1.4リッターのエンジンで、この大きなボディを軽々と引っ張る力があるというのは意外でした。中低回転域でのトルクに厚みがあってどこからでも加速するし、視界が広いのも運転していて安心できます」

今回紹介するクリエイターは建築家の西森陸雄氏。世界的な建築家、マッシミリアーノ・フクサス氏に師事したのち1997年に自身の事務所を設立。環境を意識した建築作品を多く発表したほか、軽井沢や河口湖、奈良などで開催された食のイベント「Cu-cal」の産みの親でもあり、何より、自動車にたいする造詣が深い人物である。

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート 02

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート 03

こんかい、市街地や首都高などでパサートに乗っていただいた感想をたずねると、「これは時代が求めているクルマだと思います。けっして個性が強いわけではないけど、それも求められていること。どんな場所でも、誰が乗ってもさまになる。誰にでも優しいクルマですね。コンピューターの世界におけるMacのようなもの。さまざまなデザインの世界がアノニマスにシフトしていることを考えても、このパサートはインターナショナルなあたらしいかたちだと思う」とパサートのデザインを評した。

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート 04

アノニマスなデザインとは、すなわち、製品の主導権がつくり手から使い手に移ったことを示す。「使い手が自分のもつものにカラーをいれていく、というのが社会的なニーズです。さいきん、建築の世界で多く見られるスケルトン・インフィルもそうです。建物を構造体と内装・設備に分けて設計することで、家族構成の変化などのライフスタイルの変化に合わせられる長く暮らせる住宅をつくることができるというものです」。

時代のシフトと環境

ところが、そこにいたるまでの道のりが長かった。「環境と共生」ということばが叫ばれて約20年が経とうとするなか、CO2排出量の半分は建設業界が出しているにもかかわらず、建築業界は有効な手立てを打ってこなかったと西森氏は語る。「50年、あるいは100年経ったときに、そこで営まれる社会生活にそぐう建築ができていたかというとそうではない。その時代にもっとも望まれるものでしかなかった。古い建築物に手を入れると余計にコストがかかってしまうからと、スクラップアンドビルドを繰り返してきていたんです」。

しかし、時代は大きくシフトした。変化の原因は、時代の流れであり、多くの人びとが経済・科学技術至上主義に疲れたからだろうという。石油資源が枯渇しようとするなかでも無駄な経済活動がおこなわれているというイメージ。環境とは、イコール、肩の力が抜けることではないかと西森氏は考える。「子どもたちが昔のように一生懸命勉強しないことやエッジの効いたとがったものが長つづきしないこととおなじような気がする」とも。

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート
Chapter2 Passat × 建築家 西森陸雄

あたらしい時代における環境との共生のあり方

豊かな生活とは

「豊かな生活とはストレスのない生活のことだと考えています」。東西冷戦のイデオロギーが明確だった時代でも、現代でも、どんな時代でもストレスのない時代こそが豊かな時代であると西森氏は語った。そして、「自動車の役目はただ移動するための道具というだけではありません。クルマに乗ることでほっとすることだったり、生活のリズムを生むことであったりと、なにかべつのエネルギーを私たちにあたえてくれる。つまり、ストレスのない豊かな生活を演出してくれるものだと思っているのです」。

だから、西森氏は内燃機関の効率を徹底的に高めたパサートを評価する。「ただ燃費がいいというだけならハイブリッド車という選択もあるかもしれないけれど、クルマに乗ることで得られるエネルギーは、やはりパサートのようなクルマに強く感じます」。そして、パサートという自動車をつくり上げることを可能にしたテクノロジーについても、建築の世界とおなじ変化を感じている。

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート 06

建築の世界においても複雑なオーガニックデザインを生み出すことができるようになったのも、最近のことだという。コンピューターによる解析やシミュレーションが容易になったことで、3次元モデルの図面から3次元を作れるようになったという。「パサートもたんに形をつくるというデザインだけではなく、製造にかかわるCO2排出量やリサイクル可能なパーツなどすべて計算して設計しているのだろうということが感じとれます。そういったインテリジェンスがにじみ出ていますね」。

環境をいう力を手にしたパサートと建築

「建築デザインの立場からいうと、これからは必ず環境と対峙しないといけないから活動の幅が限定されたと思われがちだけど、私たちは環境という力を手に入れたんです。だから、デザイナーはそのあたらしい力を積極的に使うべきだと考えている。そして、さまざまなことが可能になったからこそ、こんどはアイデアが大切になってくる」。それはまさにパサートにもいえることだ。環境という課題に、ダウンサイジングやDSG、そしてBlue Motion Technologyというさまざまなアイデアを駆使し、環境性能という大きな力をもった。

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート 07

あたらしいパサートは、1.4リッターTSIユニットにより、平成17年排出ガス基準75%低減をクリアし、平成22年度燃費基準値プラス25%を達成することで、エコカー減税対象車(75パーセント減税)となった。そして、モダンでシャープ、上質なデザインと高い環境性能をもつ動力装置が組み合わされることで、まったくあたらしい時代のプレミアムサルーン像を生み出した。これからの豊かな生活のあり方を提案してくれる一台といえるだろう。

Volkswagen Passat|フォルクスワーゲン パサート 08

西森陸雄|NISHIMORI Rikuo
1961年生まれ。早稲田大学大学院修了。株式会社AUR建築・都市・研究・コンサルタントを経て、一級建築士 事務所フラグメンツを設立。その後、文化庁芸術家在外研修員としてイタリアのMassimiliano FUKSAS Association Romaを経て、1997年に西森事務所設立。現在、工学院大学建築都市デザイン学科准教授。「カーサリベラ」「戸田整形外科胃腸科医院」「近江邸」「3COINS仙台店」など、受賞多数。設計活動以外にも、軽井沢「cu-cal」をはじめ、食文化にかんするさまざまな活動も展開。

           
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