サーキットでめぐり会う、ランボルギーニとブランパン|Lamborghini
Lamborghini Blancpain Super Trofeo Asia Series|
ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ
サーキットでめぐり会う、ランボルギーニとブランパン
プレミアムスポーツカーメーカーのランボルギーニと、高級機械式腕時計メーカーのブランパン。老舗や伝統というキーワードがもたらす地位に甘んじることなく、最先端の技術を恐れることなく取り入れ、常に挑戦と革新をつづける両社がタッグを組んだ。コラボレーションの舞台は、サーキット。世界中の猛牛使いたちがエントリーする「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」と呼ばれるレースは、ブランドそれぞれのこだわりと英知を注ぎ込んだ特別なステージである。
Text by SAKURAI Kenichi
ガヤルドによるガヤルドだけの熱い戦い
「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」はイタリアのプレミアムスポーツカーメーカーであるランボルギーニが、「ガヤルド」のワンメイクレースとして今から4年前に欧州でスタートさせた。世界でも稀なマニュファクチュールとしても名高い高級時計メーカーの「ブランパン」をパートナーに、イタリア モンツァや英国 シルバーストーン、ドイツ ホッケンハイムなど、欧州の名だたるグランプリコースで、ガヤルドによるガヤルドだけの熱い戦いが繰り広げられてきた。
このレースではプロのドライバーだけでなく、多くのアマチュアドライバーもレーシング・ガヤルドのステアリングを握る。ランボルギーニは「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」を“ジェントルマンドライバーのためのレース”と呼んでいるが、なかには世界有数のスーパーカーコレクターもいて、そうしたカスタマーのために、レースという形式を取りながらガヤルドのポテンシャルを存分に味わえる場所とプログラムを提供しているのである。
振り返れば、ランボルギーニがワンメイクレースを開催するのは、1996~1999年におこなっていた「ディアブロ・スーパートロフィー」以来のこと。今、マシンはガヤルドに代わったが、欧州で4シーズン目を迎えるこの「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」シリーズは、世界中の猛牛使いたちが長い間待ち望んでいた輝けるステージともいえるだろう。
Lamborghini Blancpain Super Trofeo Asia Series|
ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ
サーキットでめぐり会う、ランボルギーニとブランパン(2)
共通する挑戦と革新のDNA
いっぽう、ランボルギーニのパートナーとなるブランパンの歴史は、1735年にまで遡る。長い歴史の中で、ブランパンは伝統的な手法を守りながら、もっとも洗練された複雑機構を備えた稀代の機械式時計を提供。ビスの一本に至るまで完全自社開発にこだわるマニュファクチュールとして、世の好事家に愛されつづけている。
ブランパンは2009年に「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」のメインスポンサーとなったのをきっかけに、翌年からは「FIA GT1世界選手権」、2011年からは「ブランパン耐久シリーズ」、「ADAC GT マスターズ」の公式パートナーとして、モータースポーツに深く関わりつづけている。こうした動きに合わせるように、最近のブランパンはモダンデザインのラインナップも豊富になり、スポーティなコレクションを数多くリリースしている。しかも、単なるラグジュアリーウォッチの域にとどまらず、モータースポーツをモチーフにした作品では、カーボンを多用するなど、先進素材にも積極的に取り組む。
ランボルギーニとブランパン。両社は、自社製のエンジン/ムーブメントやデザインへのこだわりと、軽量化のために最先端の技術を恐れることなく取り入れるという、挑戦と革新のDNAに共通項を見いだし、この世紀のコラボレーションを実現させた。
お互いブランドのロゴを取り入れるというイージーな製品作りはおこなわず、たとえば新作「L-エボリューション スプリットセコンド フライバック クロノグラフ」では、リアルカーボンの多用や数字のデザイン、ランボルギーニのエンブレム形状をモチーフとして取り入れることで、そのイメージを作品に投影する。
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サーキットでめぐり会う、ランボルギーニとブランパン(3)
徹底的にこだわるブランパン・イズム
来日したブランパンのアラン・デラムラ副社長は「他のブランドとちがって、クルマのエンブレムを付けただけでコラボモデルです、というような作品にはしない。ブランパンはそんな安直な時計は決してつくらない」と断言する。ムーブメントもケースも、そしてデザインも、すでに持っていたパーツの流用などではない。マニュファクチュールとしてのこだわりと英知が、このシリーズにも注ぎ込まれているのだ。
そう彼が強調する理由は、ブランパンの社長兼CEOであるマークA・ハイエックが「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」の欧州シリーズを2年間にわたり戦っていたことと無関係ではなさそうだ。
「ブランパンのハイエックCEOは、元々クルマ好きだったが、当然レースは未体験。最初はおもうようにタイムを出せていなかった。いかにCEOとはいえ、レースの世界はタイムがすべて。しかしレースに真剣に取り組み、練習を重ね、ひとつひとつステップを上がっていき、最終的にはトップ争いをするまでになった。
これは、物事に徹底的にこだわり突き詰める“ブランパン・イズム”がレースでもおなじように発揮されたことにほかならない」とアラン・デラムラ副社長はCEOのエピソードを語った。両社が単なるビジネスパートナーの域にとどまらない深いつながりを持っているのも、ここから理解できそうだ。
欧州で4シーズン目を迎えた「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」の成功につづき、今年から開催されたのが、7月14日~15日に富士スピードウェイで第2戦をおこなった「ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ」だ。
5月にマレーシアのセパンで開催されたシリーズ初戦につづき、2台をエントリーさせた日本をはじめとする、7つの国と地域から計18台の“レーシング・ブル”がこのレースに参戦する。
初のアジアシリーズに日本から2台が参戦
腕に覚えのあるランボルギーニの顧客も参加するジェントルマンレースとはいえ、このシリーズは、一度の開催で2レースをおこなうというタフな面も持っている。アジア各国を転戦するため、サーキットに慣れる時間も限られていて、単なるリッチマンたちのお遊びに終わってはいない。その証拠にレース車両「ブランパン・スーパートロフェオ」のポテンシャルは高く、富士スピードウェイの場合、人気レース「SUPER GT」におけるトップクラスのタイムとさほど変わらない1分44秒台で周回する。
Lamborghini Blancpain Super Trofeo Asia Series|
ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ・アジアシリーズ
サーキットでめぐり会う、ランボルギーニとブランパン(4)
レースは完全なイコールコンディション
肝心のマシンは、「ガヤルドLP560-4」をベースに、10psパワーアップさせた最高出力570psを発揮する、5.2リッターV10 エンジンを車体中央に搭載。レース用に軽量化をほどこし、車両重量はノーマル比でマイナス110kgとなる、わずか1,300kgにとどまる。アウトモビリ・ランボルギーニのR&Dダイレクター、マウリッツィオ・レジャーニ氏は「空力特性に優れた大型のリヤスポイラーを採用したため、市販車両の約4倍ものダウンフォースを得ています。ブランパン・スーパートロフェオは4WDのアドバンテージと合わせて、安定して扱いやすく、しかも速いマシンです」と語る。
すべてのマシンは、ランボルギーニによって管理、メンテナンスされるため、完全なイコールコンディションのもとでレースをおこなう。ドライバーがセッティングできるのは、タイヤの空気圧調整程度。今回のレースでは小雨がパラつくコンディションだったため、チームによってはレインタイヤを選択するところもあった。
逆に言えば、チーム戦術はその程度で、厳格なまでにイコールコンディションが保たれているということにほかならない。シーズンごとに投入される新車と性能差が生まれないように、つねに全車でアップデイトもおこなわれる。
ストラダーレは全世界150台限定
このレースイベントの前日、全世界150台限定の「ガヤルド・スーパートロフェオ・ストラダーレ(価格3136万8750万円)」を発表したランボルギーニ・ジャパン。代表を務めるエジナルド・ベルトリ氏は、「ランボルギーニ・ブランパン・スーパートロフェオ」を「ランボルギーニのDNA、すなわちスーパースポーツカーとしての歴史、ポテンシャル、そしてブランド認知度を一層向上させるためのレース。サーキットでつちかった技術やイメージを市販車にフィードバックさせる役割も担う」と紹介した。
事実、ロードバージョンの 「ガヤルド・スーパートロフェオ・ストラダーレ」は、ここで戦うワンメイクマシンがベース。まさしくサーキットをルーツとした史上最強のガヤルドは、わずか15台のみの日本発売となる。
Lamborghini Gallardo LP 570-4 Super Trofeo Stradale|
ランボルギーニガヤルド LP570-4 スーパートロフェオ・ストラダーレ
ボディサイズ|全長4,386×全幅1,900×全高1,165mm
ホイールベース|2,560mm
トレッド 前/後|1,632mm / 1,597mm
車輌重量|1,340kg(乾燥重量)
エンジン形式|90度V型10気筒
総排気量|5,204cc
ボア×ストローク|84.5 × 92.8mm
圧縮比|12.5:1
最高出力|419kW(570ps)/8,000rpm
最大トルク|540Nm(55.0kgm)/6,500rpm
トランスミッション|6段ロボタイズドMT(eギア)
サスペンション 前/後|ダブルウィッシュボーン
ブレーキ|カーボンセラミックブレーキ
タイヤ 前/後|235/35 ZR19 / 295/30 ZR19
ホイール 前/後|8.5×19 / 11×19
最高速度|320km/h
0-100km/h加速|3.4秒
燃費|13.5ℓ/100km(約7.4km/ℓ)
CO2排出量|319g/km
価格|3,136万8,750円