Car
2019年8月8日
Lamborghini GIRO JAPAN 2019リポート|Lamborghini
Lamborghini GIRO JAPAN 2019 |ランボルギーニ ジロ ジャパン2019
30台以上のランボルギーニが北の大地をツーリング
昨今、オーナーや潜在顧客を対象に世界各国であらゆるタイプのイベント主催しているランボルギーニ。彼らの狙いは何なのだろうか。6月に北海道で開催された「Lamborghini GIRO JAPAN 2019」にプレスとして参加したモータージャーナリスト、金子浩久氏がリポートする。
Text by KANEKO Hirohisa
世界各国で自らイベントを主催
ここ最近のランボルギーニのイベントへの取り組み方には眼を見張るものがある。
世界各国で、あらゆるタイプのイベントをランボルギーニ自らが主催している。
少数台数生産の、ましてやスーパーカー専業メーカーにとって、イベントを開催する意味はどこにあるのか?
オーストラリア・メルボルン、四国・道後温泉などで開催された顧客や潜在顧客のためのイベントに同行取材したことがあり、今回、北海道の道東で行われた顧客向けイベント「Lamborghini GIRO JAPAN 2019」にも出掛けてきた。
メルボルンでのイベントは、郊外のフィリップアイランドにあるサーキットで行われたドライビングレッスンだった。
アジア太平洋地域の顧客と潜在顧客が対象で、半日のイベント。中心街のホテルに集合し、近くのヘリポートからサーキットへは数機のヘリコプターで移動。移動手段からしてラグジュアリーなのだ。
参加費は、1人2000USドル。移動代、ランチ、サーキットでのランボルギーニのインストラクター陣によるドライビングレッスンなどがすべて含まれている。フィリップアイランドのフルコースを使った周回レッスンには発表されたばかりの「アヴェンタドールS」が6台も用意されるという大盤振る舞いだった。他にも、「ウラカン」を使ったジムカーナコースでのレッスンなども充実してた。
参加者に感想を聞いてみた。
「アヴェンタドールSを買うつもりでディーラーに行ったら、このイベントへの参加を勧められた。参加して、余計に欲しくなったよ」(香港から参加の30歳代の男性)
「ランボルギーニなんて買えないから参加した。サーキットを走るのは初めてなので、とても楽しかった」(シドニーから参加した40歳代の男性)
参加費が2000USドルと聞いた時には“高いかな”と思ったが、参加してみて逆に“安い”と感心した。
開会式には釧路市長が臨席
四国・道後温泉のイベントはツーリング型だった。対象は、顧客限定。大阪の港に自分のクルマで集合し、瀬戸大橋のたもとで記念撮影したり、楽焼を教わったりしながら道後温泉へ。メルボルンのイベントとは違って、ノンビリとした雰囲気のものだった。
今回のJIRO JAPAN 2019は、道後温泉に続く日本国内2回目のツーリングイベント。阿寒湖畔のホテルを拠点に6月7日から9日までの2泊3日の行程で開催された。
顧客限定のイベントで、参加台数は27台。参加費は一名50万円、2名で65万円。参加者は日本全国からで、あらかじめ陸送業者に自らのランボルギーニを運ばせ、自らは北海道まで飛行機でやって来ていた。
参加しているクルマは、アヴェンタドール系とウラカン/ガヤルド系が半々ずつ。
初日は釧路から阿寒湖へのドライブ。広場で行われた開会式には、なんと釧路市長までが臨席。旅の安全を祝ってくれた。
しばらくは釧路近郊の市街地を走ったが、主催者側のクルマも併せて30台以上のランボルギーニが連なって走る様子は壮観らしく、オフィスや店舗、住宅などから見物人がスマートフォンを手にして表に出てくる。
休憩を取るために寄った道の駅などでもそれは変わらない。そして、見物している人たちの表情がみんな朗らかだ。笑顔とはまた違って、あまりにも日常から離れたようなクルマがたくさん集結していることの非日常感が気持ちを高揚させているのだろう。
阿寒湖のホテルでのディナーは、特設の大きなテント。テントでも、食事はフルコース。北海道の素材を用いたイタリアン。ソムリエも控えており、逸品のワインや日本酒、各種アルコールが振る舞われた。アイヌの伝統舞踊も披露された。
2日目は最も距離を走った。摩周湖、標津、知床、清里と回って阿寒湖に戻って来た。知床峠では空いた峠道を思う存分に走り、ランチの後のウトロ港からは知床半島沿いのクルージングも楽しんだ。鮭博物館の見学など、距離も走ったが、北海道ならではのアトラクションなども楽しむことができた。
神奈川県の藤沢からアヴェンタドールSで参加した夫妻は、クルマで走るだけでないところが楽しいと言っていた。
「自分たちでも来ることはできるが、こうやって提案してもらえると喜びが増します」
阿寒湖に戻り、今晩のディナーは和食。カニやエビ、ホタテなどの北海道の新鮮なシーフードがたっぷりと供された。
最終日は網走方面を回って女満別空港で閉会式。この日も、あちこち回った。PR会社の準備が入念なのだろう。訪れる先々で沿道の人々が小さなランボルギーニの旗を振って出迎えてくれる。もちろん、迎えられるこちらはうれしくなる。手を振ってそれに応え、駐車してからは会話の輪が広がっていく。
「同じランボルギーニのオーナー同志、このイベントで知り合っていろいろと話ができるのが楽しいです。地元の人と交流できるのも、自分たちだけだったらできないので参加してよかったです」(ウラカンで東京から参加した夫妻)
ランボルギーニで楽しむ機会を提供することが重要
ランボルギーニ・ジャパンのフランチェスコ・クレシ社長と話すと、イベントの意義を次のように強調していた。
「確かに、少し前まで、あなたの言うようにランボルギーニはスーパーカーを造るだけだった。しかし、現在はそれだけではダメなのだ。こうしたさまざまなイベントをランボルギーニ自らが開催し、顧客や潜在顧客にランボルギーニで楽しむ機会を提供することが重要な時代になった。また、まだランボルギーニに興味のない人々にもランボルギーニを見てもらって、知ってもらいたい」
そのためには多額の予算が必要になって、とても参加費だけではペイしないのではないだろうか?
「もちろんその通りだ。参加費だけではペイしていない。顧客にランボルギーニで楽しむ機会を提供することや、顧客以外の人々にランボルギーニと触れる機会を設けるためには必要な費用は惜しまない」
それは他の国でも変わらないのか?
「変わらない。本国イタリアだけでなく、ヨーロッパやアメリカ、アジア、中国でそれぞれさまざまなイベントを行っている。今後、さらに充実させていく予定だ」
メルボルンのようなサーキットでのドライビングレッスン、今回の北海道や2年前の四国のようなエクスペリエンツァと呼ばれるツーリング、さらには今年7月にはノルウェーの北極圏を走るアヴェンチュラなどが行われた。
ランボルギーニのこの試みは示唆に富んでいると思う。多彩なイベントを開催するというのは、第一義的にはランボルギー二のブランド認知を高め、購入に結び付けるのが目的だ。しかし、“いかに買ってもらうか?”がこれまでの自動車マーケティングの課題だったとすれば、“買ってもらった顧客にどれだけ満足してもらうか?”という新たなテーマが追加され、それが新局面を切り開くことになる。ひょっとすると、シェアリングとも関連することになるかもしれない。
顧客は自分たちのクルマで走ったが、我々取材陣はスーパーSUV「ウルス」で同行した。さまざまな道路環境の中を500km以上を走ったが、ウルスの動力性能と快適性、コネクティビティなどの能力高さには舌を巻かされっ放しだった。
問い合わせ先
ランボルギーニ
公式サイト
https://www.lamborghini.com/jp-en
公式facebook
https://www.facebook.com/LamborghiniJapan/