BMW M3 GTS|公道を走るレーシングカー
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2015年4月13日

BMW M3 GTS|公道を走るレーシングカー

BMW M3 GTS|ビー・エム・ダブリュー M3 GTS

公道を走るレーシングカー

BMWは、BMW M3のスペシャルモデル「M3 GTS」を、2010年春よりドイツ本国で発売することを発表した。

文=ジラフ

最高出力450hpの4.4リッターV8

このM3 GTSは、BMWの子会社であるM社によるチューニングがほどこされた受注生産モデル。

搭載されるエンジンは排気量アップがはかられ、ノーマルの4.0リッターから4.4リッターにまで拡大、最高出力は450hpを発生する。またピストンなどのパーツにもGTS専用のものが使用され、クランクケースも軽量化のために、アルミニウムとシリコンの合金が使われるほか、ベッドプレート構造が採用されている。

また、車体の軽量化にも力が入れられ、センターコンソールやドア内張りの軽量化、リアシートの取り外し、オートエアコンの簡素化、防音材の除去、そしてチタン製サイレンサーの採用など、細部にわたって手がくわえられている。

ツーリングカー選手権で培われたノウハウ

また、このモデルはサーキット走行を愉しむエンスージアストに向けに開発されたという側面もあり、独立式スロットルバタフライや、コーナーリング時の高い横Gにも対応するウェットサンプ式のオイル供給システムを採用。さらに、ツーリングカー選手権で培われたノウハウが惜しみなく注ぎ込まれた強化型サスペンションやエアロダイナミクスパーツなどを装備し、ブレーキにもフロント6ポット、リア4ポットの高性能システムがおごられる。

まさに公道を走ることができる、レーシングカーといっても過言ではない仕上がりの1台となっている。

BRAND HISTORY
“キドニーグリル”と丸目四灯ヘッドライトにより、ひと目でそれとわかるフロンマスクが特徴のBMW。日本の輸入車市場においても常に高い人気を誇っているが、その名前が何を意味するのか、即座に答えられるひとは意外に少ないのではないだろうか。

Bayerische Motoren Werke(バイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ)。直訳すれば「バイエルン地方のエンジン工場」という意味だ。前身だったラップ社は、カール・フリードリッヒ・ラップが1913年にドイツのバイエルンに設立した航空機用エンジンのメーカーで、おなじバイエルンの機体メーカーのオットー社と組んで、ビジネスを成功に導く。1916年にはバイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ有限会社と改称。2年後には株式会社に組織変更するとともに、バイエルンの青い空と白い雲をイメージしたプロペラのロゴマークを登録している。

その後も革新的な技術により存在感を高めたBMWだったが、第一次世界大戦の敗戦により、航空機エンジンの製造中止を余儀なくされた。そこでBWMは、もてる技術をモーターサイクルに注ぎ、1923年にはシャフトドライブの「BMW R32」を発表して注目を浴びることに。しかし、それだけでは飽きたらず、オースチンセブンをライセンス生産するディクシー社を買収。これにより自動車ビジネスの足がかりをつかみ、1929年には「BMW3/15 PS」を発売、自動車メーカーとしての歴史をスタートさせている。

ちなみに、BMWと深い関係にあったオットー社は、ガソリンエンジンの理論を確立したニコラウス・アウグスト・オットーの実の息子であるグスタフ・オットーが創立した会社。BMWが内燃機関にこだわるのは、このあたりに理由がありそうだ。

           
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