ROLLS-ROYCE GHOST|伝統の名の復活
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2015年4月17日

ROLLS-ROYCE GHOST|伝統の名の復活

ROLLS-ROYCE GHOST|ロールス・ロイス ゴースト

伝統の名の復活

ロールスロイスは上海モーターショーにおいて、開発コード『RR4』の仮称で開発が進められている新型車のネーミングを「ゴースト」とすることを発表した。

文=ジラフ

ロールスのラインナップ中、最強のエンジン

このモデルは現行のファントムよりもひと回り小さいボディをもつ新シリーズで、そのサイズは、全長5399×全幅1948×全高1550mm、ホイールベース3295mmとなる(ファントムのサイズは全長5835×全幅1990×全高1655mm、ホイールベース3570mm)。

ボディは小さくとも、搭載されるエンジンは新開発の6.6リッターV12ターボで、最高出力はなんと507ps。これはファントムの460psを誇る6.75リッターV12エンジンを上回り、現在リリースされるロールスのラインナップ中でも最強のものになるという。それでいながら、ZF社と共同開発した8速ATのトランスミッションを組み合わせたことなどにより燃費は向上し、CO2の排出量も低減。環境問題にも眼が向けられた開発が進められている。

写真を見てわかるとおり、そのルックスは間違いなくロールスロイスのそれ。インテリアに使用されるレザーやウッド類は、最高級のものをさらに吟味して採用。逆ヒンジで開閉するリアドアは、ラグジュアリーで特別な雰囲気を醸し出している。

ロールス・ロイスの伝統的なネーミングである「ゴースト」を冠されたニューモデルは、今年の後半から生産が開始され、早ければ9月のフランクフルトショーでお披露目される予定だという。

BRAND HISTORY
ヘンリー・ロイスとチャールズ・ロールスが初めて会ったのは1904年のこと。イギリスでモーターなどを手がけていたロイス社が、新しいビジネスとして自動車を試作したところ、評判を聞きつけたロールスがこのクルマを試乗に訪れる。その仕上がりの良さに感銘を受けたロールスが、ロイスがつくるクルマの販売を申し入れたのがロールス・ロイスのスタートになった。

高級車ブランドとしてその名を知らしめたのは、1906年に生産を開始した「40/50HPシリーズ」。6気筒エンジンを搭載したこのモデルは、後に「シルバー・ゴースト」と呼ばれるのだが、そのエンジンの滑らかさや静粛性、クルマとしての高い信頼性、そして、質の高い素材による仕立の良さから、上流階級から大きな支持を得ることとなった。ロールス・ロイスのマスコットとして知られる“スピリット・オブ・エクスタシー”が生まれたのもこの時代だった。

その後、1929年には「ファントム」を世に送り出し、1931年には同じイギリスのベントレーを買収するなど順調な歩みを進めた同社。第二次世界大戦中は航空機エンジンなどに専念する時期もあったが、1947年から自動車の生産を再開。ファントムシリーズをはじめ、「シルバークラウド」「シルバーシャドウ」といった名車をつくりだしていく。しかし、1971年に航空機エンジン部門の不振から会社が倒産。この際、航空機エンジン部門は切り離され、残された自動車部門は一時政府の管理下へ。そして1980年にはヴィッカーズ社の傘下となった。

さらに1990年代後半にはフォルクスワーゲン(VW)とBMWによる買収劇が巻き起こる。混乱の末、工場とベントレーのブランドはVWの手に渡り、一方、BMWはロールス・ロイスの名前だけを手に入れる。そして2003年、新体制のもとで開発が進められてきたファントムにより、ロールス・ロイスは新しい歴史を踏み出すことになった。

           
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