Truefitt and Hill|トゥルフィット&ヒル|モニターレポート|松尾健太郎(世界文化社『MEN’S EX』編集長)_Vol.2
Beauty
2015年3月10日

Truefitt and Hill|トゥルフィット&ヒル|モニターレポート|松尾健太郎(世界文化社『MEN’S EX』編集長)_Vol.2

トゥルフィット&ヒル モニターレポート

松尾健太郎 世界文化社『MEN’S EX』編集長_Vol.2

ウェットシェービングの魅力を語る

トゥルフィット&ヒルのモニターをはじめてから、1ヵ月が経った。自他共に認める瞬間熱中症で、異常に飽きっぽい私にしては珍しく、ウェットシェービングは、朝の習慣としてすっかり根づいた。トゥルフィット&ヒルの製品とウェットシェービングという行為が、それだけ魅力的な証拠だ。

文=松尾健太郎写真=関 夏子

ウェットシェービングの魅力ポイントその1「上達の楽しみがある」

ウェットシェービングの大きな楽しみとして、“上達を実感できる”ということがある。初めてカミソリを握った日は、使い方すらわからなかったが、毎日練習するにつれて、確実にうまくなっていく。これは結構な快感だ。シェービングの手順は、まずひげの毛並みと同一方向(順目)に剃り、それが終わってから今度は毛並みと反対方向(逆目)に剃る。最初は両手を使ってゆっくりとカミソリを持ち替えていたのだが、慣れてくると指先でくるりとカミソリを回転させて、すばやく逆目に移れるようになる。シェービングクリームも、最初にトライしたときはべっとりとまとわりつき、ちっとも泡立たなかったのが、今ではもくもくと気持ちよく泡立つ。あっという間にサンタクロースのような顔になれる。時間も短縮されている。今ではすべての工程を終えるのに3分半ちょっとで済む。以下いろいろやって辿り着いた、松尾流ウェットシェービング。不精な人に特におすすめの方法だ。

1.まずシャワーを浴びる(朝シャワーを浴びる習慣のない人はごめんなさい……)

2.一通り終わったら、濡らしたブラシに直接シェービングクリームをつける(直接というのがポイント。ボウルなんか使わない!)。そしてそのまま顔へブラシを当て、円を描くように動かす。するとアラ不思議、もくもくと泡が立つ。

3.そのままシェービング。シャワーヘッドからお湯を出しっぱなしにして、刃の間に詰まったひげは常に洗い流すこと。

4.終わったら、シャワーですべて洗い流す。その後、浴室を出たら顔のみ冷水で引き締める。

5.仕上げはアフターシェーブローションよりも、アフターシェーブバームがおすすめ。乳液状のバームはローションに比べて刺激が少なく、痛いのが苦手な人でも大丈夫だ。トゥルフィット&ヒルのバームは、程よい刺激と保湿感で誰でも“違い”が感じられる。乳液なんか使ったことない人ほど、「ああ、やっぱり高級品はいいなぁ」と思うはずだ。

ウェットシェービングの魅力ポイントその2「自分の顔をよく見る機会に恵まれる」

ファッションにはこだわっても、グルーミングにはあまり手をかけない人が多い。私もその一人だった。しかしウェットシェービングをはじめると、毎朝一定時間、嫌でも自分の顔と対峙することになる。するといろいろなことがわかる。たとえば鼻毛はすぐ伸びるという事実。鼻から鼻毛がコンニチハしているのを、シェービング時にたびたび発見した。NGアイテムとして、鼻毛は非常に強力だ。どんなに高いスーツを着ていても、鼻毛一本ですべてが台無しだ。それまでは鼻毛を切るのは一週間に1度ほどだったが、今では毎日切っている。

T字カミソリを使って、眉毛の手入れもするようになった。といっても若い人たちのように細く整えたりはしない。眉間と眉周りに生えてくる産毛を軽く剃るだけだ。プロのヘアメイクによると、特に眉の下部分(まぶたとの間)をすっきりさせると印象がよくなるらしい。ついでに顔の他部分の産毛も剃ると完璧だ。ちなみに現在のカミソリの安全性能は素晴らしく、ややラフな使い方をしても、肌を痛めることがない。前述のように、シェービングをはじめて1ヵ月が経ったが、その間血を流したことは一度もない。

またトゥルフィット&ヒルには、プレシェーブオイルなるものがある。文字通り、ひげ剃り前に塗るオイルだ。日本ではあまり馴染みがないが、英国ではポピュラーな品だという。これによってひげが一段とやわらかくなり、スムーズなシェービングが可能となる。しかもこれが顔面マッサージにちょうどいい。シェービング前に塗って、こめかみや眉間をぐりぐりやると、実に気持ちいい。マッサージは目元や口元のシワに有効らしいので、シェービングとセットでやることをおすすめする。大流行の小顔マッサージにも、そのうちトライするつもりだ。

ウェットシェービングの魅力ポイントその3「道具に凝る楽しみがある」

ウェットシェービングで使用する道具は、機能美にあふれている。トゥルフィット&ヒルの製品は、男の所有欲を満足させる逸品が多い。まずホルダー(カミソリの柄部分)は、象牙様の樹脂でできており、ずっしりと重い。これはある程度の重さがないと、安定したカミソリ運びができないためだ。市場にはシルバー、ブライヤー(バラの根)、ホーンなど、高級素材のバリエーションも多い。ブラシはアナグマ製が最高だ。アナグマの毛は一本一本が独立しており、毛自体がまとまることがなく、太いひげも立ち上がりやすい。また絶えず穴を掘っているので、毛先が自然に磨耗し、細くなっている。だから毛穴の中の汚れを掻きだせる。このほかにも泡立て用のボウル、各種道具をセットしておくスタンドなどを揃えたい。予算の目安は入門用ならセットで3万円程度から揃うが、本格的なものは10万円近くなる。トゥルフィット&ヒルの他、有名ブランドとしては、英トランパー、テーラー・オブ・オールドボンドストリート、伊チェッポ、仏ジョリスなどが挙げられる。この手はやはりヨーロッパ製がいい。

T字カミソリが他の愛好品と違うのは、クラシックなホルダーの先に、最新技術で作られた替え刃がセットされていることだ。私が使っているトゥルフィット&ヒルの製品には、米ジレットの三枚刃が使われている。これは世界的規模でセールスされている一大工業製品で、専用ホルダーだけでも10億本売れたそうだ。発売前にはあらゆる人種の肌質に合わせた膨大な実験が必要で、開発費は800億円以上かかったらしい。ジレットは世界のカミソリ・マーケットで圧倒的なシェアを誇っているが、カミソリに使われている鉄自体は、日本産が強い。島根県の日立金属安来工場で作られている安来鋼(やすきはがね)が世界のカミソリ鋼材シェア60~70%を占めている。安来鋼は古くは日本刀に使われていた砂鉄鋼で、理想的な強さとしなりを持っているという。このようにカミソリにまつわる薀蓄は数多く、調べだすときりがない。このような“知の楽しみ”があるのもウェットシェービングの大きな魅力だ。

─了─

松尾健太郎さんのブログ
BEST DRESSER’S RECON
MEN’S EX編集長が出会ったベストドレッサーたち

http://blogs.yahoo.co.jp/mens_ex_sekaibunkasha

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