「R」にもダウンサイジングコンセプト

フォルクスワーゲン・ゴルフＲは従来のゴルフR32の後継モデル。6世代目のゴルフに通じるイメージを与えられたモデルチェンジを受けての登場となった。専用フロントグリルをはじめ深くなったエアダムやリアのスポイラー、さらに225/40というプロファイルをもつ大径タイヤが外観上の特徴だ。専用スポーツサスペンションに専用ブレーキシステム、そしてアダプティブシャシーコントロールシステムDCCも採用されている。内装面では、専用のレザーシート、専用デザインのステアリングホイール、それに青いニードルのメーター類が特別感を演出している。

もうひとつゴルフRの大きな特徴がエンジン。従来のゴルフR32の3.2リッターV6にかわり、今回は2リッター4気筒が採用されている。これはフォルクスワーゲンが推し進めているダウンサイジングコンセプトによるもので、排気量を抑えることで燃費の低減と車重の軽量化をはかるとともに、エンジン燃焼技術の高効率化と車種によっては過給化（ターボチャージャー装着）で高性能を確保する。

専用サスペンションに大型化されたディスクブレーキ

ゴルフRのパワーユニットはR32に対して排気量が38パーセントもダウンサイジングされた一方、最高出力は6psアップの256psとなり、同時に最大トルクも10Nm増大しているのが注目点。組み合わされるトランスミッションは湿式6段DSGで、伝達効率を高めることで燃費は22パーセントも向上したと発表されている。

専用スポーツサスペンションキットにより車高はノーマルのゴルフより25mmローダウン。ダンパーとスプリングもスポーティなレシオのものが採用され、さらにスタイビラザーの径は太くなっている。増大したパワーに合わせてストッピングパワーも強化。前後ともディスクのブレーキは大径化されている。

操縦すると、第一印象はたしかにパワフル。2400～5500rpmと広範囲にわたって最大トルクが出る設定ゆえだ。デュアルクラッチシステムはクラッチのつなぎも速く（ただもっと速くなってもいいかなと思わないでもなかったが）、1,530kgの4ドアボディは力強く加速する。

ただ意外というか、このクルマの個性を感じたのは、その加速感。おなじくターボによる過給をもつ2リッターエンジンを搭載するGTI（211ps）と比較すると、Rのほうが大人っぽいというか、マイルド感が強い。「4MOTION」と名づけられた4輪駆動システムのせいなのか。パワーのコントロールが効いている。このあたりの設定はフォルクスワーゲンならではで、ルノーやフィアットといったラテンのメーカーのホットハッチの弾ける感覚とは一線を画している。

日常づかいで楽しめるのはGTI

Rがリアルスポーツといっても、対象は万人向け。おとなしく走ることもできるし、フルタイム4輪駆動ゆえ安定した高速走行性能を求めるむきにも向いている。いっぽうで限界は高く、コントローラブルなシャシー性能とハンドリング設定ゆえ、安心感は高い。ただ日常づかいで楽しめるクルマをいうなら、はっきりいって366万円のGTIでも充分こと足りる。同時に発売されたシロッコRがスタンダード版とは明確に区別されたスポーティさを感じさせることをかんがみると、ゴルフGTIはやっぱり鉄板銘柄なのだと思う。

Volkswagen Golf R
ボディ｜全長4,220×全幅1,790×全高1,495mm　ホイールベース2,575mm
車両重量｜1,530kg
エンジン｜2ℓ 直列4気筒DOHC＋インタークーラー付ターボ
最高出力｜188kW[256ps〕/6,000rpm
最大トルク｜330Nm[33.7kgm〕/2,400～5,500rpm
駆動方式｜フルタイム4輪駆動
トランスミッション｜6段DSG
タイヤ｜225/40 R18
価格｜505万円

Volkswagen Golf GTI
ボディ｜全長4,210×全幅1,790×全高1,460mm　ホイールベース2,575mm
車両重量｜1,400kg
エンジン｜2ℓ 直列4気筒DOHC＋インタークーラー付ターボ
最高出力｜155kW[211ps〕/5,300～6,200rpm
最大トルク｜280Nm[28.6kgm〕/1,700～5,200rpm
駆動方式｜前輪駆動
トランスミッション｜6段DSG
タイヤ｜225/45 R17
価格｜366万円

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