Vacheron Constantin|メティエダール―ラ・サンボリック・デ・ラック
Metier d'Art La Symbolique de Lac|メティエダール―ラ・サンボリック・デ・ラック
日本伝統の漆蒔絵技術とスイス伝統の機械式時計技術の融合から
生まれたアートなタイムピース
文=渋谷康人
毎年、手仕事による芸術と自らの芸術的な時計技術を融合させたアートな時計コレクション「メティエダール(職人の手仕事による芸術、という意味)」を発表しているヴァシュロン・コンスタンタン。今年のテーマは「蒔絵」。そしてコラボレーション・パートナーとして1611年創業の京都の漆器製造元「象彦」が選ばれた。合わせて600年の歴史を持つ2つの偉大なメゾンのコラボレーションから生まれた「腕に着ける芸術品」は、3本のセットで全世界20セットのみ販売される。なお搭載ムーブメントは、手巻きの1955にも使われているキャリバー1003のスケルトンバージョンである。
すべて手巻き、直径40mm。写真左から、ピンクゴールドケース(梅と鶯)、ピンクゴールドケース(松と鶴)、ホワイトゴールドケース(竹と雀)。3本セットで2772万円(予価)、2010春発売予定
BRAND HISTORY
日本でいえばまだ江戸時代半ば、1755年に創業したジュネーブの名門ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン。当時のスイス・ジュネーブは、「キャノビチェ」と呼ばれるエリート時計師が活躍する時代であり、同ブランドの創業者ジャン-マルク・ヴァシュロンもそのうちの一人だった。
1819年、創業者3代目に当たるジャック・バレテレミーが、フランスワ・コンスタンタンを共同経営者に迎え、現在のブランド名に改称される。また彼らは積極的に海外進出を行うなど、同ブランドの名を不動のものにした。ここに天才的な発明家のジョルジュ・A・レシューが加わり、新しいレバー式脱進機の開発、組織的な分業システムの確立など、さまざまな面でブランドを支えた。
当時はまだ高価なイギリス時計に対して、チープなスイス時計という考え方が支配的だったが、ヴァシュロン・コンスタンタンの台頭は、やがてはその図式を払拭するほどの勢いで伸びていく。そして20世紀初頭には懐中型のコンプリケーションを発表。スイス三大時計ブランドの一角を担う、世界最高峰のステイタスを掌握していた。第2次世界大戦後のジュネーブ平和会議に列席した米・ソ・英・仏の首脳陣にも、記念品として同社製品が寄与される。
懐中時計から腕時計へとシフトしていった時代、多くの名門が歴史の狭間に消え去ったが、同ブランドの名声はあいからず鳴り止まなかった。1970年代から続くクオーツショックも乗り越え、今年で創業252周年。この記録は継続する時計ブランドの中では世界最古のものである。そして2004年には、ジュネーブ郊外に巨大な自社工房を完成させ、意欲的に自社製品の拡充を図っている。
【創業年】1755年
【創業地】スイス、ジュネーブ
【主なシリーズ名】マルタ、オーヴァーシーズ、パトリモニー
【問い合わせ先】ヴァシュロン・コンスタンタン 03-3288-6597
公式サイトhttp://www.vacheron-constantin.com/