Vacheron Constantin|ヒストリーク・エクストラフラット 1955
Historique Ultra-fine 1955|ヒストリーク・エクストラフラット 1955
外観も中身もエレガントな“世界最薄の”ドレスウォッチ
文=渋谷康人
1955年、創業200年を迎えたヴァシュロン・コンスタンタンは、これを記念して開発された直径21.05mm、厚さ1.64mの当時で世界最小の機械式手巻きムーブメント「キャリバー1003」を搭載する、レファレンスナンバー6099という当時世界最薄のエレガントな名作を発表した。このモデルはそのデザインとメカニズムを忠実に継承しながら、3気圧の防水性能を新たに加えつつ、オリジナルの4.54mmよりもさらに薄いケース厚4.1mmを実現したもの。オリジナル同様に、現時点で世界最薄の手巻きウォッチである。搭載されているキャリバー1003は、同じ名称ながらパワーリザーブ時間を延長し、ブリッジ及び地板にゴールドを用いたり、ジュネーブシールを取得するなど、こちらも大きく進化している。
手巻き、ピンクゴールドケース、直径36mm、シースルーバック、268万8000円(予価)、2010秋発売予定
BRAND HISTORY
日本でいえばまだ江戸時代半ば、1755年に創業したジュネーブの名門ブランド、ヴァシュロン・コンスタンタン。当時のスイス・ジュネーブは、「キャノビチェ」と呼ばれるエリート時計師が活躍する時代であり、同ブランドの創業者ジャン-マルク・ヴァシュロンもそのうちの一人だった。
1819年、創業者3代目に当たるジャック・バレテレミーが、フランスワ・コンスタンタンを共同経営者に迎え、現在のブランド名に改称される。また彼らは積極的に海外進出を行うなど、同ブランドの名を不動のものにした。ここに天才的な発明家のジョルジュ・A・レシューが加わり、新しいレバー式脱進機の開発、組織的な分業システムの確立など、さまざまな面でブランドを支えた。
当時はまだ高価なイギリス時計に対して、チープなスイス時計という考え方が支配的だったが、ヴァシュロン・コンスタンタンの台頭は、やがてはその図式を払拭するほどの勢いで伸びていく。そして20世紀初頭には懐中型のコンプリケーションを発表。スイス三大時計ブランドの一角を担う、世界最高峰のステイタスを掌握していた。第2次世界大戦後のジュネーブ平和会議に列席した米・ソ・英・仏の首脳陣にも、記念品として同社製品が寄与される。
懐中時計から腕時計へとシフトしていった時代、多くの名門が歴史の狭間に消え去ったが、同ブランドの名声はあいからず鳴り止まなかった。1970年代から続くクオーツショックも乗り越え、今年で創業252周年。この記録は継続する時計ブランドの中では世界最古のものである。そして2004年には、ジュネーブ郊外に巨大な自社工房を完成させ、意欲的に自社製品の拡充を図っている。
【創業年】1755年
【創業地】スイス、ジュネーブ
【主なシリーズ名】マルタ、オーヴァーシーズ、パトリモニー
【問い合わせ先】ヴァシュロン・コンスタンタン 03-3288-6597
公式サイトhttp://www.vacheron-constantin.com/