MUSIC|協和発酵キリン『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』 オープンイノベーションの可能性
LOUNGE / MUSIC
2015年3月3日

MUSIC|協和発酵キリン『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』 オープンイノベーションの可能性

MUSIC|研究開発型ライフサイエンス企業「協和発酵キリン」によるプロジェクト
音楽家たちが10のテーマを聴覚化する『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』 Vol. 5公開

シンガポールで感じた“オープンイノベーション”の可能性

バイオテクノロジーを音楽で表現するユニークな試みが話題の『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』。12月19日に記事が公開された第5回のテーマは「オープンイノベーション」。DJ KAWASAKIとともに、シンガポールにある協和発酵キリンの研究施設を訪れた本プロジェクトプロデューサー、川上シュン氏が見たもの、感じたこととは。

Text by Miho Yokozuka

「組織の規模の大小が、結果に与える影響の差異が小さくなっている時代」

『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』は、バイオ技術を駆使する研究開発型の製薬企業「協和発酵キリン」のフィロソフィーや取り組みを10のキーワードに切り取り、10組のアーティストが音楽に変換する意欲的なプロジェクト。

第5回のテーマ「オープンイノベーション」というキーワードに込められた協和発酵キリン社のビジョンを探り、音楽制作のためのインスピレーションをつかむため、DJ、サウンドプロデューサーのDJ KAWASAKI氏と川上シュン氏は、シンガポール・バイオポリスにある協和発酵キリンの研究施設を訪れた。

バイオポリスは、シンガポールのワン・ノースに位置する国際的なバイオメディカル分野の研究開発拠点。政府主導のもと、経済開発庁や保健省などが連携し、科学・臨床研究のための環境や施設の整備が進められているエリアだ。主要な製薬会社が開発拠点を置くほか、教育省やシンガポール国立大学、各種医療機関が近くに並んでいることもあって、各国の研究者同士、産学官間の交流が盛んなことも大きな特徴である。

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「世界の人びとの健康と豊かさに貢献する」ことをビジョンに掲げる協和発酵キリンは、国内外に研究開発拠点をもち、新薬の開発に取り組んでいる。シンガポールでは、精度の高い研究を行なうだけでなく、“オープンイノベーティヴ”な環境を生かし、国際レベルの研究者と交流したり、シンガポール国立大学との産学協同を進めるなど、研究から臨床への橋渡し、研究の生産性向上、臨床試験の成功率向上を実現するための重要な拠点として機能している。

「オープンイノベーションというテーマは、実はぼくの音楽のスタイルと共通することが多い」というDJ KAWASAKI氏。「DJとしてさまざまなアーティストの楽曲をリミックスすることもそうだし、アーティストとして誰かとコラボレートして音楽をつくることで、あたらしい音楽だけでなく、思ってもみなかった可能性が広がることもある」と共感する。

デザイン・アートの分野で国際的に活躍する川上シュン氏も「分野を超えてなにかを共有するという意味では、デザインの分野でもおなじことがいえるかもしれない。いまは組織の規模の大小が、結果に与える影響の差異が小さくなっている時代。バイオポリスのようにさまざまな知識や経験をもつユニットが連携しやすく、また自分たちのスペシャリティに集中できる環境があれば、逆にミニマム(最小限)なほうがスピード感をもってあたらしいなにかを生み出せる可能性がある」とつづける。

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(左から)DJ KAWASAKI、川上シュン両氏

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DJ KAWASAKI氏

両氏とも、「知識や経験を共有し、それぞれのスペシャリティを最大限にいかすオープンイノベーションという考え方は、とてもクリエイティブで有意義」と再認識したようだった。

12月19日公開の「10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE」vol.5×DJ KAWASAKIのインタビュー映像は、シンガポール・バイオポリス内で撮影されており、普段はなかなか目にする機会のない研究施設の雰囲気も感じられる。「音楽」×「バイオテクノロジー」、このプロジェクトでどんな「奇跡」が生まれるのか。その瞬間に期待したい。

<About 10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE>
『10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE』は、生命をみつめ、生命に向き合いつづける研究開発型ライフサイエンス企業「協和発酵キリン」が、10の視点から10のアーティストとともに10の音楽に紡ぐプロジェクト。その有機的な営みを、美しい音にのせてお届けする。「世界一、いのちにやさしい会社になる」という情熱と志を胸に、抗体技術を核にした最先端のバイオテクノロジー技術を駆使して画期的な新薬を創出、グローバルな展開を通して世界の人びとの健康と豊かさに貢献している。本企画は、アートディレクター/アーティストの川上シュンが代表を務める「artless Inc.」によるプロデュースのもと、展開される。

10 SOUNDS OF LIFE SCIENCE
http://www.kyowa-kirin.co.jp/10_sounds/

DJ KAWASAKI|DJ カワサキ
DJ/リミキサー/サウンド・プロデューサー/作曲家。2005年、ニューヨークのレーベル「King Street」より12インチシングルで世界デビュー。2006年、日本コロムビアよりメジャー・デビュー。これまでリリースしたシングルが、iTunesダンス・チャートにて通算8曲連続でNo.1を獲得。リミックスを手がけたローランド・アッペルの「Dark Soldier」がDJ 3000、DJ Hellにプレイされ、アルバム『PARDISE』に収録された「Galactic Love」がジョー・クラウゼルやカリズマにプレイされるなど、国際的にも高い評価を得ている。2014年7月『You And The Music Compiled by DJ KAWASAKI』をリリース。9月にはジャザノヴァが主宰する「Sonar Kollektive」と「Especial Records」によるコラボレーション・レーベル「SKESP」から、新作とリミックスがリミテッド・アナログ化された。現在、ホームグラウンドの渋谷・The Roomでは毎週第3土曜日におこなわれる自身のパーティ「MAGiC」のレジデントDJを務めている。
www.extra-freedom.co.jp/artists/dj_kawasaki/

川上シュン|KAWAKAMI Shun
artless Inc. 代表。1977年生まれ、東京都江東区深川出身。アートとデザインを基軸に、ブランディング、デザインコンサルティング、企業やブランドロゴ、映像、建築まで、ジャンルやカテゴリーに縛られない活動を続けている。ポンピドゥー・センター(パリ)、ルーブル宮内フランス国立装飾美術館、ミラノサローネ、TENT LONDON、BODW(香港)など、国内外でのフェスティバルやエキシビション、カンファレンスにも多数参加するなど、グローバルな活躍が目覚ましい。 http://www.shunkawakami.jp
http://www.artless.co.jp

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