9月末日にいよいよ発売されるツイギーのヘアケアシリーズ 「Twiggy your sanctuary」。イギリスでオーガニックに出会って以来、松浦さんがずっと思い描いていたヘアケア商品の自社プロダクトが、ついに実現しました。オーガニックの意義――自分だけでなく、まわりのひとや環境をも考えて生きることの大切さ――が込められたこのシリーズは、髪の本質を詳細にとらえた、従来のヘアケア商品の概念に一石を投じる、画期的なプロダクトです。

Ｑ.このプロダクトは、松浦さんからの“発信”でもあるとか。

アヴェダでアーティスティック ディレクターをやって商品開発に関わらせていたただきましたが、かなりの好評を得て感じました。こんなちっぽけな人間の言葉にもたくさんの人が集まることに、責任と自信を持たなければいけないんだ、と。

ホースト・ベッケンバッカーという人が立ち上げたアヴェダの商品には、彼の気持ちがそのまま商品に入っていました。私がアヴェダを知ったのは18年くらい前ですが、その頃のアヴェダは、商品数が少なくても、その商品から“ホーストが考える地球”や“ホーストが考える人間”っていうものを感じることができたんです。ホーストさんという人に会ったことがなくても、ホーストさんが言うんだったら、私も乗っかってみようという気持ちになりましたね。それはなんというか……大きいものに巻かれる感じではなくて、少人数で微力でやっていても、その人が言うならきっと真実だよねっていう“信頼”です。ホーストさんの商品を通じて、信頼して動く人の気持ちを味わった。だからこそ、私自身も信頼できる商品を作らなければという自負を強く感じたんです。

例えば｢ヘアカタログ」的な企画があったとします。一企画としてのヘアカタログって、万人に似合うことが前提にありますよね？　でも私は、“私なりに、この人のオートクチュールを作り上げた”っていう気持ちで毎回カットさせてもらってます。もちろん、その時々に自分のなかにブームはありますから、自分のブームとその人のブームを照らし合わせながら作っていきますが、これこそが、モードにおける本当の意味でのオートクチュールなんじゃないかと思うんです。みんなのためとひとりのためでは、意味合いの重さも違ってきますよね。

Ｑ.オーガニックへの関心が、このプロダクトにつながったんですね。

私のオーガニックに対する関心は、ロンドンで“なんだかカッコイイ”という軽い感覚で始まりました。私自身が軽いところから出発しているから、やっぱり、軽いところからの出発は、重いところに着地しないといけないんです。軽いままの浮遊がモードであるならば、それはいつか消えていくものだと思うし、地に足付いたところに落とし込むことが、私たちのやるべき提案なんだと思う……そう思ったから、ヘアケア剤をもう一度見直さなきゃいけないと考えたんです。

「Twiggy your sanctuary」のシリーズは、シャンプー、洗い流すトリートメント、洗い流さないトリートメントからなる。それぞれが髪質、地肌に合わせて選べる。香りは、すべて厳選されたオーガニックのハーブから採取。専門の研究者の指揮のもとに、アロマセラピストから得た香りのブレンドを融合させ、自然が持つ効能や香りを活かしている。植物原料をもとに安全性と有効性にこだわり、天然の健康な魚や、羊の毛から取れる動物性のたん白質であるコラーゲンやケラチンを取り入たことで、艶感、保湿力、ハリやコシをサポートする。

Ｑ.最初の商品をシャンプーとトリートメントに絞ったのは？

まだ「スタート」ですから（笑）　スタートからフルライン揃えて突っ走ったら、転びそうじゃないですか（笑）。だから、まずシャンプーとトリートメントという、安定感のあるものにしたんです。シャンプーも、本当は何種類も作れるアイテムなんですが、あれもこれもとなりそうなところをぐっと凝縮させて、4種類にしたんです。

まず「ハーバルオーガニック」……原料は100％天然植物由来です。もうひとつは「YUME(夢)ドリーミング」です。オーガニックであっても、快楽は欲しい。界面活性剤も植物由来にこだわりました。将来的には自分たちがやっている米作りなんかとリンクして”メイドbyジャパン”に出来たらうれしいですね。

Ｑ.香りはどうですか？

合成香料も合成保存料も一切使用していますん。香料は１００％オーガニックハーブから使られた精油のみで作りました。防腐剤も天然植物由来の成分のみで作られているので、消費期限が決まっています。冷暗所で保管して頂いて６〜８ヶ月です（お風呂場でも、入浴で室内の温度が上がる程度であれば問題ありません）。冷蔵庫で冷やして頂ければ、８ヶ月〜１年くらい保存できます。

Ｑ.ボトルもサスティナビリティを考えて？

商品の消費期限が短いからこそできるかな、と思ったのが、バイオマス（再生可能な生物由来の有機性資源）。「平和化学」という、バイオマスを扱っている会社に製造をお願いしています。地球を考えてバイオマスを作っている会社ですから、そういうところは応援したいじゃないですか。コスメ系の容器はツイギーが始めてなんですが、これが成功するか否かを某大手企業が注目しているそうです（笑）……つまりこのヘアケアシリーズが成功すれば、平和化学さんもうまくいくんです。

大きいところとやることも良い学びになりますが、小さいところは小さいところ同士、オーネスティに基づいて１人１人がやるべきことをやれば、「つながった時に大きくなれる」という希望や夢をリアルに抱ける楽しみがありますよね。