三原康裕的日本モノづくり「第2回 トモイを訪ねる」(3)
Fashion
2015年3月9日

三原康裕的日本モノづくり「第2回 トモイを訪ねる」(3)

MIHARAYASUHIRO×TOMOI
第2回 トモイを訪ねる(3)

ファッションデザイナー三原康裕さんが、日本の誇る工場や職人を訪ね、日本でしかつくれない新しいモノを生み出す画期的な連載企画「MEANING MADE IN JAPAN MIHARAYASUHIRO(MMM)」。
奈良県のボタン工場、トモイを訪ねた三原さん。話はいよいよオリジナル制作の核心へ。

写真=溝部 薫(ホークアイ ヴィジュアルワークス)写真=溝部 薫(ホークアイ ヴィジュアルワークス)協力=萩野 宏

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創造力と技術力を駆使したコラボレーション

ここで三原さんは、自らデザインのスケッチを描き出した。デザイナーとマニュファクチャーという、異なる立場の人間がアイデアを出し合い、創造力と技術力を駆使してひとつのモノをつくっていく。それは業種を越えた、コラボレーションが生まれた瞬間だった。

伴井 色の重なりを表現するなら、白と黒が二層になった黒蝶貝がありますので、それを使ってみたらどうでしょう?

三原 そうなんですか。それはいいですね。ではその黒蝶貝をベースに使い、トップになる部分にギザギザ模様を入れましょう。

伴井 なるほど。そういったデザインはいままでやったことがありませんが、やってみましょう。

こうして三原さんは、トモイに「MMM=MEANING MADE IN JAPAN MIHARAYASUHIRO」のボタンをその場でオーダー。とりあえずはサンプルを制作していただくことにした。

初めて工場を見学し、貝ボタンについての見識を深めた三原さんにとって、今回の訪問は自身のクリエイションにもプラスになっただろう。また、それは伴井さんにとっても同じことがいえるようだ。デザイナー自らが工場にまで赴ことはほとんどないそうであり、直接話し合って受けた今回のオーダーは、モノづくりの刺激となったに違いない。そんな伴井さんは、最後にこんな話しをしてくれた。

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“付属”を超えた付属品が完成

伴井 衣料にとってボタンはあくまで“付属”であり、ボタンで服を選ぶことはないかもしれません。ですが、貝ボタンは製造の過程で出る削りカスも肥料になるなど、現在問題になっている環境にもほとんど負担をかけず、なにより天然素材ならではの美しさがある。服を選ぶときに、そんなことを少しでも意識してほしいですね。

それから数日後、トモイからボタンのサンプルが届けられた。凹凸をつけて二枚を重ね合わせる精巧な構造や、トップ部分の繊細なギザギザ模様など、ほぼイメージどおりの出来映えに三原さんも大満足だった。厚みの調整を若干加え、こうして「MMM」の特製貝ボタンが完成したのだ。

トップ部分を着け換えることで、服にさまざまな表情とアクセントを加えることができる、日本が誇る工場が生んだ“付属”を超えた付属品といえるだろう。「MMM」ではこの貝ボタンを使ったウェアを現在企画中なので、その登場をぜひとも期待してほしい。

(おわり)
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ファッションデザイナー三原康裕がつくった靴下は、素材は機能性と天然素材にこだわり、吸湿性と速乾性を兼備させるためにコットンにヘンプを混紡したものをチョイス。多彩な色糸とネップが不均一に混ざった杢糸を使用し、スタイルのアクセントになるように独自のカラー調整とブランドロゴをかかとに刺繍した。そして針数60本の編み機によって、ザックリとした足馴染みのいい靴下に編み立てた。
web shopping「ルモアズ」のみで販売されるこのソックスは、三原さんとオウプナーズの意向により、売り上げの一部を東京都社会福祉協議会が運営する東京善意銀行を介し、東京都内の福祉施設に寄付される。

           
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