LOEWE|ジョナサン・アンダーソンが打ち出す“あたらしいロエベ”
Fashion
2014年12月29日

LOEWE|ジョナサン・アンダーソンが打ち出す“あたらしいロエベ”

LOEWE|ロエベ

「カサ ロエベ 表参道」がグランドオープン

ジョナサン・アンダーソンが打ち出す“あたらしいロエベ”(1)

1846年、スペインのマドリードにおいて創業したラグジュアリーブランド「LOEWE(ロエベ)」。7月17日(木)、東京・表参道に、日本国内における旗艦店「カサ ロエベ 表参道」がグランドオープンした。新クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンが来日し、おこなわれたオープニングレセプションの模様とともに、2014年秋冬シーズンより生まれ変わる、“あたらしいロエベ”の姿をお伝えしよう。

Text by IWANAGA Morito(OPENERS)

あたらしいストアコンセプト「カサ ロエベ」

東京・表参道――世界に先駆け、ロエベが新クリエイティブ ディレクターのジョナサン・アンダーソンを迎え、あたらしいストアコンセプト「CASA LOEWE(カサ ロエベ)」としてデビューを飾るにふさわしいとして選ばれたのが、この場所だ。

1階

2階

日本を代表する建築家のひとり、隈研吾が手がけた「ONE表参道ビル」の一角に誕生した「カサ ロエベ 表参道」。この建物は、21世紀にロエベがモダンなアイデンティティを確立するうえで大きく貢献したビジョナリー・アーキテクト、ハビエル・カルバハルの作品にインスパイアされたものだ。

多彩な素材づかい、巧妙でありながらもオープンなレイアウト。いままでにない3フロアからなるブティックは、メゾンの卓越性、革新性、受け継がれるクラフツマンシップへのこだわりを表現し、ロエベのさまざまな世界観を反映していく。

1959年にマドリードのセラーノ店のためにデザインされたエメラルドグリーンのキャノピー(ひさし)は、めのう石を用いて現代によみがえり、通り沿いと店内に、輝きをもたらす天井装飾としてひろがる。また、グリーンの天井とブロンズのフレームが、スペインから輸入されたネロ マルキーナ(黒の大理石)と組み合わされ、印象的な十字をかたちづくる。

店内では、“宙に浮いた”石の階段や、ストラクチャードリネンを使ったダブルハイドのカーテンといった、あざやかなアクセントが、“フィラデルフィア・チーズケーキ”カラーにペイントされた日本産石灰石の壁と天井を引き立てている。

さらに、緻密に計算された照明は店内をセンシュアルに照らし、まるで個人の邸宅に招かれたような心地よさを生み出す。なかでも目を引くのは、今世紀半ばにイタリアのムラーノで制作された大きな3つのガラスのランプ。2階の窓際に吊り下げられ、夜には通りからもあたたかみのあるやわらかな光をはなつ。

窯元「濱田窯」との共演に見る、日本文化とのかかわり

このオープンを記念して、3代にわたる陶芸家名匠を擁する益子焼の窯元「濱田窯」の陶器作品も展示された。そのなかでもセンターを飾るのは、3代目である濱田友緒とのコラボレーションにより、ロエベからインスピレーションを得た特別な作品である『TIE』と『CUBE』の2点だ。

ハビエル・カルバハルがロエベのために取り入れた先進的なデザインと同様に、このあたらしいブティックのコンセプトも、スマートで意外性のあるデザインエレメントを並置した。

ブティック内の家具には、特別にデザインされた大型木製ディスプレイテーブル、アーツ アンド クラフツ運動の時代のものから選りすぐった、英国のアンティークなどが置かれる。そのなかには、ロンドンのデパート「リバティ」のために制作された作品や、アーティスト/デザイナー/作家として先駆者的存在のウィリアム・モリスがデザインした椅子などが含まれる。

現代のカルチャーを主張しながらも、メゾンの過去につながるエレメント。ロエベのあらたな世界観が、ストアコンセプト「カサ ロエベ」として、はじめてかたちとなり、表現された。

LOEWE|ロエベ

「カサ ロエベ 表参道」がグランドオープン

ジョナサン・アンダーソンが打ち出す“あたらしいロエベ”(2)

伝統と革新を同時に捉えるクリエイティブディレクション

ロエベは1846年の創業以来、職人技、革新、そして比類のないレザーに関する専門知識という メゾンの核となる価値を受け継いできた。ブランドとしての価値が、ジョナサン・ アンダーソンのクリエイティブディレクションにより、文化的な香りをまとってモダンに生まれ変わる。

リニューアルしたロエベは、レディースウェア、メンズウェア、 アクセサリーのコレクションを発表してゆく。さらに、“ファッションはいまや文化の一部である”という考えのもと、ライフスタイルを彩るホームウェアなどの展開もスタートする予定だ。

あらたな世界観を打ち出すために、マルチデザインユニット「M/M(Paris)」が、ロエベのグラフィック アイデンティティと広告キャンペーンを担当した。

メゾンのアイコンである“アナグラム”のオリジナルは、スペインの画家、ヴィンセント・ヴェラによって1970年にデザインされたもの。レザーにエンボスするための刻印だった本来の姿に近づけるべく、よりシンプルなデザインに。

製品のパッケージも、学術書を思わせるようなスモーキーホワイトのウーモカラーであらたにデザインするなど、すみずみにわたり、ディレクションされている。

そして注目は、写真家スティーブン・マイゼルとのあたらしい広告キャンペーン。彼がイタリアン・ヴォーグのために1997年に撮影したファッション・ストーリー、“An Interpretation”が今回のキャンペーンヴィジュアルのキーエレメントとなる。

ブランドの再構築に合わせて、メゾンの歴史を自由に解釈し、多彩な要素を取り入れるこのアプローチ。なかでもアメリカ人画家、アレックス・カッツの絵画をベースに、時代を代表するモデルたちをフィーチャーした独創性に富むこのエディトリアルが、ジョナサン・アンダーソンに大きなインスピレーションをもたらしたという。

マイゼルは、アイコニックな過去の作品群に、自身があらたに撮りおろした作品をくわえた。その結果、コンテンポラリーなビジュアル・カルチャーとして、名作が現代によみがえったのだ。

交錯し、浮かび上がる過去・現在・未来

キャンペーンビジュアルとともに並べられるのは、あたらしいロエベのプロダクトたちだ。ブランドを代表するバッグ「アマソナ」の新作は、オリジナルの台形のフォルムがもつ、不変の魅力に立ち戻るようモディファイ。柔らかな手触りと流れるようなラインをもつ「フラメンコ」の新作は、メゾンのアイデンティティ カラー「オロ」をまとい、魅惑的にクローズアップされた。キャンペーンのすべてのエレメントがヒストリカルなスピリットで連続し、ロエベのアイデンティティを多角的に表現している。

プロダクトをオブジェのように魅せるというアプローチは、“アートとビジネスとの境界線が取り除かれることで、ファッション性がカルチャーへとシフトする”という信念を反映したもの。ロエベの新作コレクションを構成するエレメントは、モダンでツイストが効いた商品でありながら、アート作品として鑑賞されるほどに美しいものでもあるのだ。

創業168年を迎えるメゾンのあらたなフェーズの幕開け。これらのすべてが、ファッションを中心としたあたらしいアプローチで過去・現在・未来をつなげ、ロエベならではのスタンスを伝えている。

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「カサ ロエベ 表参道」がグランドオープン

ジョナサン・アンダーソンが打ち出す“あたらしいロエベ”(3)

パリでのコレクションを再現したメンズ スプリング サマー 2015 プレゼンテーション

グランドオープン前日に「カサ ロエベ 表参道」でおこなわれたプレゼンテーションでは、パリのサン=ジェルマン=デ=プレにあるロエベのサン=シュルピスでおこなったプレゼンテーションを、ブティック内でそのままに再現。地下1階から地上2階までつづくフロアにモデルたちが展開し、30のルックが披露された。

プレタポルテ、バッグ、ウォレット、シューズ、シルクスカーフをなど、多彩なアイテムで構成されるコレクションには、ロエベのあたらしい世界観が込められている。そのなかで、ストライプやロエベのシグネチャーカラー「オロ」を繰り返し登場させることで、ブランドが築き上げてきた歴史をコンテクストとして受け継ぐ。

ジョナサン・アンダーソンは、2015年春夏のメンズコレクションを“ハイパー・ノーマリティなスタイル――つまり、リアリスティックで、機能的、そして、とてつもなく魅力的”と定義する。それぞれのアイテムが、じっくりと考え抜かれ、ときには意外性のあるディテーリングがほどこされ、ユニークで独創的な視点からのデザインを反映している。

モダンな装いのブロックを組み立てることで、ジャケット、ジーンズ、Tシャツといったアイテムが、ナチュラルで自信にあふれる生き方を強調。バイカージャケットやトレンチコートといった定番のデザインに、あらたな解釈をほどこし、その美しさと機能性を最大限に引き出す。

アイテム全体を通して、ロエベが築いてきた高い基準を満たすハイグレードな素材と、革新的な技法とが駆使されている。さらに、先端技術を用いた素材が、極上のソフトさを誇る伝統のナパレザーなどとミックスされ、長年のヘビーユースにも耐えられる品質をくわえた。

ラグジュアリーのあらたなスタンダードを打ち立てる

あらわれては消えるトレンドの世界で、ジョナサン・アンダーソンは、断固として“いまっぽさ”を主張しながらも、長く着られるようデザインされたファッションを提案している。ラグジュアリーのあらたなスタンダードを設定するカルチャーを意識したクロージング――それは、普遍的でありながらも決してありきたりではなく、存在感がありながらも肩肘は張らず、 クラシックであると同時にコンテンポラリーである、唯一無二のスタイルだ。

プレゼンテーションのために来日していたジョナサン・アンダーソンに、ロエベへの想いを聞いた。

「私は、ロエベを原点へと戻したかったのです。ブランド全体のイメージを、もっとリラックスし、イージーで、クールな印象に。そして、ロエベと文化の結びつきをもっと強くしたいと考えました。

たとえば、ブティックに置いている家具には世界各地からセレクトしたものや、さまざまなアーティストとコラボレーションしたものもあります。ファッションだけでなく、あらゆる視点から、160年以上も変わらず新鮮さを常に打ち出してきた、ロエベらしさを見せていきたいのです。

私個人としては大きな変化はなく、基本的にこれまで自分がデザインしてきたブランドとおなじスタンスをとっています。つまり、とてもエキサイティングしながら、クリエイションに取り組めている、ということです」

CASA LOEWE Omotesando
東京都港区北青山3-5-29
Tel. 03-5771-4811
http://www.loewe.com/jp_ja/

ジョナサン・アンダーソン

           
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