GT6用のバーチャルから現実に姿を現したコンセプトカー|Toyota
TOYOTA FT-1|トヨタ FT-1
GT6用のバーチャルから現実に姿を現したコンセプトカー
トヨタのあたらしいスポーツカーコンセプト「FT-1」がデトロイト モーターショーで公開された。もともとはプレイステーション用ゲームソフト「グランツーリスモ6(GT6)」の中でレースをおこなうために開発されたバーチャルマシンだが、先のLAモーターショーで発表されたメルセデスの「AMG ビジョン グランツーリスモ」同様、現実に3D化され、コンセプトカーとして登場した。
Text by SAKURAI Kenichi
北米デザイン部門40周年の記念モデル
トヨタの「FT-1」は、プレイステーション用ドライビングシミュレーションゲーム、「グランツーリスモ6(GT6)」でダウンロード可能な車両として、カリフォルニアのニューポートビーチにあるトヨタの北米デザイン部門「キャルティ デザイン リサーチ」が開発。1月14日から同ゲームのアップデート版で使用できるようになっている。
今回デトロイト モーターショーで発表されたコンセプトカーは、そのバーチャルマシンをリアルに3Dで再現するとともに、トヨタ「セリカ」やレクサス「SC400」を生み出してきた、「キャルティ デザイン リサーチ」の誕生40周年を記念するデザインスタディでもある。開発にあたっては、GT6でスポーツカーの頂点をきわめるパフォーマンスを発揮できるデザインを施すと同時に、トヨタ「2000GT」にまでさかのぼるトヨタスポーツカーの歴史をひもとき、あらたなスポーツカーへの情熱を注ぎ込んでいるという。
車名の「FT-1」は、“Future Toyota”をしめし、その頂点を意味する“1”がくわえられている。発表の場に立ったキャルティ デザイン リサーチの社長ケビン・ハンター氏は、「本日からグランツーリスモ6の中のトラックで、超高性能マシン『FT-1』のドライビングを、誰でも手軽にたのしむことができるようになりました。しかし、このエキサイティングなコンセプトモデルは、たんなるバーチャルマシンではなく、トヨタの将来を築くための精神的なペースカーでもあるのです」と、未来のトヨタスポーツカーデザインの方向を表現している可能性も示唆した。
車両のくわしいディメンションやスペックは未公表だが、ボンネットから覗くフロントミッドに搭載されたエンジンや、ロングノーズ ショートデッキのFRスポーツカー然とした流麗なフォルム、四隅に配置された大口径のタイヤ、そして名車トヨタ「2000GT」をほうふつとさせるウィンドスクリーンの形状や可変リアウィングなど、スポーツカーとしての魅力はつきない。
大胆に盛り上がったフロントフェンダーや、ウィング形状のフロントスポイラーが、WECを戦うプロトタイプレーシングマシン「TS030ハイブリッド」をもほうふつとさせ、いっぽうインテリアではF1マシンをモチーフとしたステアリングホイールデザインや、三角形をキーにデザインされたメーターがスポーティな印象をもたらす。
フロントウィンドウが緩やかに湾曲し、Aピラーが後方に位置するのは、コーナリング時の視界を確保するためだという。また、ドライビング中の主要情報は、すべてステアリングホイール真上に表示。運転中のドライバーの視線移動を最小限におさえる設計もおこなわれている。
現在はスバルと共同開発した「86」しかスポーツカーのラインナップがないトヨタだが、本格的なスポーツモデル復活のトリガーとなることを、この「FT-1」には期待したい。