出し惜しみなく安全技術を実装した「S クラス」|Mercedes-Benz
CAR / NEWS
2015年4月2日

出し惜しみなく安全技術を実装した「S クラス」|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス
安全性と環境性能を中心にあらたなクルマの基準を打ち立てる

出し惜しみなく安全技術を実装した「S クラス」

メルセデス・ベンツは、つねに時代の先端を行く安全性と環境適応性、そして快適性をこのフラッグシップ「S クラス」にあたえている。ここでは新型「S クラス」に採用された最新デバイスを見ていくことにしよう。

Text by SAKURAI Kenichi


電子の目が、安全性と快適な運転をサポート

メルセデス・ベンツの企業哲学。それは誰も知る「最善か無か」というキーワードにすべて盛り込まれている。これは最善の技術でなければやらない、という意味ではない。最善の技術を開発・採用できなければ、なにもしていないのとおなじことだ、と理解するのが正しい。

今年日本でも発売を開始したメルセデス・ベンツのフラッグシップモデル、「Sクラス」は、8年ぶりのフルモデルチェンジにあたり、いったいどれほどの進化をとげ、どんな先端技術を採用してきたのか。メルセデスが自信を持って搭載する、8年分の進化を、Sクラスに採用された装備から見ていくことにしよう。

Intelligent Drive──電子の目が、安全性と快適な運転をサポート

ミリ波レーダーとステレオマルチパーパスカメラから得た情報を統合し、コンピューターが即座に最適な判断をくだす。それはまるで人間が目や耳で得た情報を脳でかんがえ、手足に指示を出して動かすのとかわらないハイテクである。最新鋭のサスペンションシステム「マジックボディコントロール」や、より進化した安全運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」など、ドライバーをさまざまな角度から支援するデバイスを組み合わせ、安全性と快適性、そして走る楽しさを世界屈指のレベルで融合。メルセデス・ベンツでは、これらの運転支援システムを総称して「インテリジェントドライブ」と呼んでいる。

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 02

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 04

今年10月、「インテリジェントドライブ」搭載のテスト車が、ドイツ・マンハイムからプフォルツハイムにいたる103kmの道のりで完全自動運転のテストにチャレンジし、みごと成功させた。このルートは、当時のベンツ社の開発者であり、自動車の発明者として今も歴史に名を刻むカール・ベンツその人の妻、ベルタ・ベンツが世界で初めての長距離ドライブを成功させたルートでもある。じつに1886年のことであった。

ポイントは、この実験車両に搭載されている技術の多くが、すでにSクラスで採用されているという点だ。言い換えるなら、完全自動運転を成功させたクルマの技術は、Sクラスの「インテリジェントドライブ」を自動化運転にチューニングし直したものだということである。そう、「インテリジェントドライブ」は、完全自動化をも可能とする最先端技術で構成されているのである。

Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス
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出し惜しみなく安全技術を実装した「S クラス」 (2)


世界初のサスペンションシステム「マジックボディコントロール」

最大15メートル前方の路面の凹凸をフロントガラス上部のステレオ マルチパーパス カメラでスキャンし、感知した路面状態におうじて、瞬時に電子制御式アクティブ サスペンションをコントロール。ボディに伝わる衝撃を最小限にしてフラットな乗り心地をたもつのが「マジックボディコントロール」。

路面の段差や継ぎ目などを発見すると、通常は乗り越えるさいに身構えるものだが、その必要は一切無い。多少何かを乗り越えたという感触(衝撃ではない)がある程度で、角の取れたマイルドな乗り心地をつねに提供してくれる。マジックボディコントロールは、「S 550 ロング」にオプション設定、「S 63 AMG ロング」、「S 65 AMG」に標準装備されている。

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 13

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 21

進化した安全運転支援システム「レーダーセーフティパッケージ」

フロントウィンドウ内側に45度の角度で配置されたステレオマルチパーパスカメラにより、前方約 50m までの路面を立体的に計測。3 次元映像として測定されたデータを高度なアルゴリズムによって分析することで、先行車両や対向車両、横切る車両、歩行者などを検出する。

自車との距離や対象物の動きでタイプ分類し、ドライバーにどんな警告を発するのか、またはブレーキをかけ車両スピードを調整するのか、追従するのか、回避するのか……などを瞬時に判断する。「レーダーセーフティパッケージ」に盛り込まれた運転支援システムは以下のとおり。

ディストロニック プラス(ステアリングアシスト付)

長距離・短距離の各レーダーセンサーによって先行車を認識し、速度におうじた車間距離を維持する。減速が必要な場合はスロットルを絞りブレーキを段階的に自動的にかけて減速し、先行車が停止した場合は自動停止する。

Sクラスに搭載する最新の「ディストロニック プラス」では、車線の曲がり具合や先行車両をモニターすることで、カーブや直進など、コースを判断。ステアリング操作のアシストを行う機能が追加されたことで、先行車両への追従がより容易なっている。

BAS プラス(飛び出し検知機能付ブレーキアシスト プラス)

短距離、長距離の2種類のレーダーセンサーとステレオマルチパーパスカメラが、先行車だけでなく前方を横切る車両や合流してくる車両、歩行者や道路上にある物体との衝突の危険性などを検知。万が一の場合は、ディスプレイと音で警告する。

ドライバーがブレーキを踏むと、BASプラスがブレーキ圧を高め、衝突を回避するためのじゅうぶんな制動力を発揮できるようサポートする。ドライバー自身の踏み込みが弱く、フルブレーキのパワーを引き出せなくても、かわりに最大の制動力をSクラスがもたらしてくれるのだ。

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プレセーフ ブレーキ(歩行者検知機能付)

BAS プラス(飛び出し検知機能付ブレーキアシスト プラス)の警告にドライバーが反応しない場合、軽いブレーキングでドライバーに警告を発し、衝突回避をサポートする。同時に衝突時に乗員の最適な姿勢を可能な限り確保する PRE-SAFE機能(電動シートベルトテンショナー作動や助手席シート角度の自動調整、スライディングルーフの自動閉扉)も作動。

それでもドライバーが反応しない場合、最大のブレーキ力で自動緊急ブレーキが作動する。Sクラスに搭載する最新の「プレセーフ ブレーキ」では、先行車両にくわえ、歩行者の検知機能も付加され、安全性がいっそう向上した。

リア CPA(被害軽減ブレーキ付後方衝突警告システム)

自車停車中、リアバンパーに設置されたマルチモード ミリ波レーダーが後方の車両位置や間隔をモニタリング。後続車の車間距離と接近速度から自車への衝突の危険があると判断すると、リアコンビネーションランプを素早く点滅させて後続車のドライバーに衝突の可能性を警告。

それでもまだ後続車がじゅうぶんに減速しないさいには自動的に自車にブレーキをかけてクルマが動かないようにブレーキング、玉突き衝突の回避など二次被害の軽減をおこなう。渋滞時など自車が止まっているのに、後続車から追突され、その勢いで前方車両に追突するような事故で、ダメージを最小限に食い止める働きをする。

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 17

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 22

アクティブブラインドスポットアシスト

車両の斜め後ろのドアミラーの死角となる範囲を、左右の短距離レーダーセンサーでモニター。死角内に車両がいる場合は、ドアミラー内蔵のインジケーターが赤く点灯して警告を行う。警告の最中に車線変更などを意図してドライバーがウインカーを作動させると、警告音とともにインジケーターが点滅。さらに側面衝突の危険を検知すると、片側車輪に対して補正ブレーキが作動し、コース修正を試みる。ポイントは、他社で採用されているような警告だけにとどまらず、Sクラス自身がコース修正を行うためにブレーキを作動させるという、これまでの機能から一歩進んだ運転サポートを行うという点だ。

アクティブレーンキーピングアシスト

ステレオマルチパーパスカメラが車線を検出し、フロントホイールが走行車線を踏み越えたと判断するした場合、ステアリングを断続的に振動させてドライバーに警告を発する。それでもドライバーが反応しない場合は、自動補正ブレーキによって車両を車線内に復帰させるシステム。

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出し惜しみなく安全技術を実装した「S クラス」 (4)


ドライバー支援を行うそのほかのシステム

ナイトビューアシストプラス

夜間走行時、照明のない前方路上に歩行者や動物を赤外線技術を利用した「ナイトビューアシストプラス」が検出すると、インストゥルメントパネル中央の表示をナイトビュー映像に自動的に切り替え、対象を赤く強調表示。ドライバーに前方障害物への注意を促す。さらに、検出した歩行者に対してはヘッドライトをフラッシングさせてドライバーと歩行者の双方に注意を促す。「ナイトビューアシストプラス」は、S 550 ロングにオプション設定、AMGモデルに標準装備される。

クロスウインドアシスト

ESPセンサーからの情報をもとに横風の影響を検知し、必要に応じて車両片側のブレーキ制御を行い、安定した直進をサポート。強い横風での、車両のふらつきを防止する。

プレセーフ インパルス(前面衝突被害軽減機能)

前面衝突時に陥る前の段階で、運転席と助手席のシートベルトを巻き上げて前席乗員をホールド。シートベルトを確実に締め込み、乗員の負傷の程度を軽減する。乗員にかかる減速力が増大する前、つまり衝突の起こる前の早い段階で作動し、体の前方移動を減少させてくれる。

アダプティブハイビームアシスト・プラス

ステレオマルチパーパスカメラが前方の状況をモニターし、対向車や先行車など他の車両にハイビームが当たらないように自動的に照射範囲を制御。常に最大限の視界を確保できるように、ライトを調整してくれる。ドライバーは、市街地や郊外で、ヘッドライトのハイ/ロー切り替えから開放されるとともに、対向車にも必要以上の眩しさを与えずに済むので、双方にとって安全面でのメリットは大きい。

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 9

 Mercedes-Benz S Class|メルセデス・ベンツ S クラス 7

アクティブパーキングアシスト

パークトロニック(駐車速度域で、前後の障害物を検知し警告するシステム)の超音波センサーを用いた拡張機能で、縦列駐車および並列駐車の際に、自車が駐車可能なスペースを検知。駐車を開始するとステアリングおよびブレーキを自動制御し、ドライバーはアクセルとシフト操作のみで駐車が可能となる、いわゆる自動縦列および並列駐車システム。駐車スペースから出る際も、ステアリングとブレーキ操作がアシストされ、スムーズにスペースから脱出できる。

360度カメラシステム

フロントグリル、左右ドアミラー、リアエンドに備えられた4 つの広角・高解像度カメラによる映像を合成処理し、車両の周囲全体をバードビューでディスプレイに表示。真上から自車を見ているような状態を擬似的に映し出し、車両の前後約3mの範囲をモニターできる。S 400ハイブリッドにオプション設定、S 400ハイブリッドエクスクルーシブ、S 550ロング /右ハンドルモデル、AMGモデルに標準装備される。

           
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