DesignerCon(デザイナーコン)開催直前インタビュー|MEDICOM TOY
MEDICOM TOY|メディコム・トイ
メディコム・トイ代表取締役社長
赤司竜彦さんに聞く(1)
世界中でカルチャー・イベントが盛り上がるなか、MEDICOM TOYがいよいよ海外に向けて積極的に発信していくことになりそうだ。2018年はまさに、その皮切りの年。本稿ではどのような経緯でイベント参加に至ったのか、どのようなイベントに参加していく予定なのかを赤司社長にうかがった。
Photographs by SUZUKI TakuyaText by SHINNO Kunihiko
2018年はMEDICOM TOYが海外イベントに多数参加
――前回「メディコム・トイ エキシビション ’18」についてうかがった際、今年の秋以降、アメリカ、中国で開催される大規模なカルチャー・イベントへの参加を示唆されていました。今回はそのお話をぜひ聞かせてください。
赤司 そもそものきっかけは今年の1月にフランス・パリで開催した「JUMBLE PARIS」というイベントに初めて参加したことでした。これはJUMBLE(ごちゃまぜ)という名前の通り、毎回テーマに即したさまざまなプロダクト商品を一堂に集めて紹介する合同展示会で、本当にたくさんのファッション関係者にMEDICOM TOY製品を見ていただくことができたんです。その手応えもあって6月の「JUMBLE PARIS」では田中秀幸さんと飯嶋久美子さんによる実験的ファッションプロジェクト「Noodle.」をローンチいたしました。
前回もお話しましたが、いま世界中でさまざまなカルチャー・イベントが盛り上がっていて、MEDICOM TOYにもお誘いをいただく機会が増えてきました。先方からの要望も「会場で販売する限定品を作ってほしい」「うちとコラボレーションできないか」など、さまざまなものがあります。
例えば、今年の10月6〜7日(現地時間)、アメリカ・ニューヨークで開催された「Hypefest(ハイプフェスト)」。
これは2005年に香港でスタートし、いまや世界で最も影響力のあるメンズファッションメディアサイトのひとつとなった「Hypebeast(ハイプビースト)」が初めて開催する大型イベントです。
日本からはGirls Don’t Cry、sacaiを筆頭に話題のブランドが参加したほか、藤原ヒロシさんと「ポケットモンスター」のコラボレーションによるTHUNDERBOLT PROJECTの発表、大友克洋さんとコラージュアーティストの河村康輔さんによる「AKIRA」のウォールアートの展示などもあって広く注目を集めるイベントになりました。
「Hypebeast」が面白いのは、どこにも日和らない姿勢というか、自分たちがいいと思ったもの以外は絶対に取り上げないんです。そしてネガティブなことも平気で書く。キュレーター自体のファッション感度が非常に高いので、ここに書かれることは非常にステータスだと思いますし、そういった意味ではかなりウェブマガジンの中でもクラスの高いサイトですね。
そういう背景もあって「Hypefest」には世界中のエッジーなブランドがこぞって参加し、弊社もNEIGHBORHOOD(ネイバーフッド)と、ファレル・ウィリアムスのBillionaire Boys Club(ビリオネア・ボーイズ・クラブ)とのトリプルネームによるBE@RBRICKなどを製作しました。これまでもメディコム・トイの製品を好意的に紹介してくださった「Hypebeast」さんにお声掛けいただいたことを光栄に思います。
ふたつ目は、11月3〜4日(現地時間)、カリフォルニア・ロングビーチでの「ComplexCon(コンプレックスコン)」です。
ファレル・ウィリアムスや村上隆さんらをキュレーターに迎え、2016年にスタートした「ポップカルチャー、音楽、芸術、食べ物、スタイル、スポーツ、革新、行動主義、教育を結びつける画期的なフェスティバル&エキシビジョン」で、昨年は2日間で3万5000人が来場し、ファレル率いるN.E.R.D.が3年ぶりのパフォーマンスを披露して話題になりました。
「ComplexCon」への参加は、今年のVIPチケット購入者にオリジナルデザインのBE@RBRICKを配布したいというお話をいただいたことから始まりました。こちらは西海岸ということもあって同じアメリカでも東海岸の「Hypefest」とは微妙に指向性が違うので、そこも面白いなと思いました。毎年ウェアやスニーカーなどのコラボモデルが注目されていますが、MEDICOM TOYも「BAIT」「Billionaire Boys Club」「X-LARGE」「J BALUIN」とのコラボレーションで「BE@RBRICK」を製作しました。
――これから開催されるイベントではどういうものがあるんでしょうか?
赤司 11月8日~来年2月10日(現地時間)ニューヨークで開催されるミッキーマウス生誕90周年イベント「Mickey: The True Original Exhibition」に参加します。
これはキュレーターがBE@RBRICKとのコラボでもお世話になっているDRx Romanelli(ドクター・ロマネリ)なので、ひと味違う面白いものになると思います。
それから12月7日~9日(現地時間)、中国・上海で開催される「INNERSECT(インナーセクト)」。
アジア圏からはこれまでものすごくいろいろなお誘いをいただいていたんですけれども、ひとつ出るとフォローしきれなくなる位にオファーの数が多いので、アジアのトイ系のイベントに関してはすべて現地のディストリビューターにお願いしていましたが、この「INNERSECT」は、エディソン・チャンがキュレーターなんです。彼との関係性は非常に長いので、信頼できるエディソンからのオファーであればということで、いま準備を進めているところです。
Page02. 「MEDICOM TOY EXHIBITION '18」をそのまま持ってきてほしい
MEDICOM TOY|メディコム・トイ
メディコム・トイ代表取締役社長
赤司竜彦さんに聞く(2)
「MEDICOM TOY EXHIBITION '18」をそのまま持ってきてほしい
赤司 最後に、開催目前になりますが「OPENERS」読者の方にもお時間あればぜひ来場していただきたいイベントがあります。それが11月16日~18日にカリフォルニアのアナハイムで開催される「DesignerCon(デザイナーコン、以下D-Con)」です。
D-Conは2006年にVinyl Toy Networkという名前で開催され、今回で開催13回目を迎えるアートイベント。年々規模が拡大して今年は700社以上の企業、300人以上のアーティストが参加予定です。このイベントにMEDICOM TOYはオフィシャルパートナーとして参加することになりました。いままでお話ししてきたイベントの中でも最も大規模な関わり方になります。
オフィシャルパートナーとしての参加を決めたのは、なんといっても「D-Con」主催者のふたりの熱意ですね。ぜひ会いたいということで、わざわざ東京の本社まで来てくださったんです。
最初に彼らから言われたのは、「MEDICOM TOY EXHIBITION '18」をそのまま「D-Con」に持ってきてほしいというオファーだったんです。自社のアーカイブ的なものを見せてほしい、と。理由を聞くと、例えばハズブロさんやマテルさんといったメジャーなトイメーカーは毎年ニューヨークのトイショーで新製品が発表されるけれども、MEDICOM TOYの製品はアメリカ人にはその全貌がまったく見えない。私は「個人的には『チャーリーとチョコレート工場』の秘密のチョコレート工場みたいなものだよ」と言って笑ったんですけど(笑)、そう言わずに一度メディコム・トイとは何なのかというものをアメリカの人たちに見せてほしいんだって。
彼らが言うにはネットショップが台頭して以降、実店舗でのマーケットは急速に減少しています。例えば、老舗のおもちゃ屋であるFAOシュワルツが閉店したり、トイザらスがチャプター11(倒産処理手続)になってしまいました。その一方でインディペンデントな作家やメーカーが数多く現れ、ネットで彼らの作品を見てほしいと思う人もたくさんいる。そうした状況がどんどん広がっている中、「そうしたおもちゃをお客さんが実際に手にして買えるイベントが作りたい」というところからのオファーでした。
とはいえ、「MEDICOM TOY EXHIBITION '18」の規模をアメリカに持っていくには非常に手間もお金もかかる。大丈夫ですか? と聞いたら、大丈夫、全部こちらが負担しますと言ってくださったので、であればやりましょうということになりました。なので表参道で開催した規模そのままというわけではありませんが、うちとしては国内も含めて過去最大規模のイベント参加になります。
スタッフともよく話してるんですが、なかなかウインドウショッピングをしなくなったねって。ふらっとどっかに行って何かを買うということがまずないんです。私が男性だからかな? とも思ったんですけれども、女性も割と最近そちら側じゃないのかなという気がしていて。
それこそ「東京ガールズコレクション」で目の前で見たものをこれ欲しい! ってスマートフォンで購入できる。あれは上手に作ってるなと思いますよね。常日頃から情報量が多すぎて処理しきれないこともあるんでしょうけど、何月何日に出るこれって計画的に決めて買うか、でなければこの場ですぐ買わないとなくなっちゃうから、という二者択一がメインで、その真ん中がなくなるというか、なかなかお財布の口を開かなくなっちゃったなって感じがします。そういう意味でも特に「D-Con」はいまの時代の空気をものすごく集約したイベントだったりもするのかなという感じがしています。
同時に「D-Con」がMEDICOM TOYが信頼している日本のアーティストの紹介の場にもなるといいなと思っています。現状、北米マーケットにおけるアジアアーティストの知名度は、例えばイタリア人アーティストのtokidokiなどと比べてもそれほど高いわけではないんです。その温度差を感じたので、だったら私自身がいいと思う日本のアーティストたちを連れていって、向こうで彼らの作品をお披露目したり販売しようと思っています。
――MEDICOM TOYが推薦する日本のアーティストがアナハイムに集結して、北米マーケットに発信するわけですね。
赤司 「D-con」の話をお伝えすると、皆さん「じゃあ、新作用意しますよ」と喜んでくださる方が多くて、よかったなと思っています。実際、「D-Con」での取り組みがどういったシナジーを生み出せるかはやってみないと分かりませんが、アメリカのトイ・ファンの方に日本にはこんなに素晴らしいアーティストがたくさんいるのか! と驚いてもらえるような機会になればいいですね。今年1回ではなく来年以降も継続してやってほしいという話もあるので、これから先「D-Con」という新しいコンテンツを作れるかもしれないなという期待はあります。
ちなみに、これまでMEDICOM TOYがご一緒させていただいた中で、ああ、みんなハッピーだったなと印象的だったのは、昨年11月にラフォーレ原宿で開催された「超くっきーランド」を皮切りに全国各地で開催されている野性爆弾のくっきーさんのイベントです。
――くっきーさんとは、2015年1月のスーパーフェスティバルVol.67会場限定商品としてオリジナルのソフビ人形「人類」をMEDICOM TOYさんで作られたのが最初でしたね。
赤司 もう4年近く前になりますか。あれも実に不思議なご縁があって実現した企画なんです。いつかご本人から直接お話いただく機会があるといいですね。「超くっきーランド」でイベント限定商品の製作のご相談があってご協力させていただいた中でも非常に面白いシナジーを生み出せましたし、いまや渡辺直美さんと並ぶ人気のファッションアイコンですよね。たぶんそれに「D-Con」は近いような気がしてるんです。
――イベントの成功、そしてそこから生まれる新しい流れを楽しみにしています。
赤司 期待していてください。今年の「D-Con」はMEDICOM TOYがオフィシャルパートナーとして参加し、ブースでは様々なソフビアーティストのone-offアイテムや限定品、先行販売品などを販売するほか、会場内で行なわれるスペシャルライブや他ブースでもコラボレーションアイテムを展開予定ですので、ぜひいらしてください!
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