日本では25台が導入予定

1967年の創業以来、モータースポーツでつちかった技術をベースに高性能エンジンを搭載したチューニングカーの開発をおこなってきたAMG。1990年にメルセデス・ベンツと提携して以降、同社のハイパフォーマンスモデルを手掛ける特別部門として活躍してきたのはご存知の通り。“ワンマン、ワンエンジン”の哲学は今日も受け継がれ、ひとりのマイスターが一基のエンジンを手作業によって組み立てるという、そのクラフツマンシップに魅せられたファンも少なくない。

今回発表された「メルセデス・ベンツ SLS AMG ブラックシリーズ」は、AMGのブランドスローガン“ドライビングパフォーマンス”を体現した特別限定モデル。サーキット走行など本格的スポーツドライビングに対応したチューンナップがほどこされたほか、レーシングカー譲りの圧倒的なスタイリングがその最大の特徴だ。日本市場でのブラックシリーズの導入は、2008年の「SL 65 AMG ブラックシリーズ」、2011年の「C 63 AMG クーペブラックシリーズ」につづく第3弾となる。

搭載されるパワートレインは、ベースモデルである「メルセデス・ベンツ SLS AMG GT」とおなじAMG 6.3リッターV型8気筒エンジンながら、改良型カムシャフトと新設計のバルブトレイン、クランクシャフト、オイルポンプ、冷却システムなどを最適化したことで、最高回転数は一気に8,000rpmへと引き上げられ（ベースモデルは7,200rpm）、最高出力631ps（ベースモデル比＋60ps）、最大トルク635Nmをマーク。0-100km/h加速は3.6秒と、圧倒的な動力性能を取得した。

またAMG独自のデュアルクラッチトランスミッションである「AMGスピードシフトDCT」にもさらなる改良がくわえられ、シフト操作にたいするレスポンスもよりクイックに。搭載位置も10mm低くされ、車両重心が下がったことで、運動性能がいっそう高まった。シャーシ面ではトレッドを前20mm、後24mmそれぞれ拡大し、サスペンションには、こちらも専用チューニングがほどこされた「AMG RIDE CONTROLパフォーマンスサスペンション」を装着。高速コーナリング時のロール低減や、グリップ力向上が図られた。

このように、さまざまな専用チューニングがおこなわれたSLS AMG ブラックシリーズだが、その最大のハイライトは「AMG ライトウェイトパフォーマンスストラテジー」に基づく徹底した軽量化だ。ボンネットをはじめ、バケットシートのバックパネル、アンダーボディ補強パネル、さらにはエンジンとトランスミッション間のトルクチューブにまでカーボンファイバーを採用。車両重量は1,550kgと、ベースモデルのSLS AMGとの比較でマイナス70kgものダイエットに成功した。これによってパワーウェイトレシオはこれまで導入したAMG ブラックシリーズのなかでは最高となる2.45kg/psを達成している。

いっぽう、機能的かつスポーティなレーシングカーの雰囲気に満ちたインテリアは、ブラックレザーとアルカンターラが組みあわされ、専用のフルバケットシートを採用。こちらも標準のAMGスポーツシートに比べ15kgの軽量化を達成するなど、ブラックシリーズならではの拘りを随所にみせる。

なお、日本での販売価格は3,250万円、25台のみの限定となる。納車は2013年8月下旬より順次開始を予定している。

Mercedes-Benz SLS AMG Black Series｜
メルセデス・ベンツ SLS AMG ブラックシリーズ
ボディサイズ｜全長4,646×全幅1,977×全高1,264mm
ホイールベース｜2,680 mm
トレッド 前/後｜1,700 / 1,674 mm
重量｜1,550 kg
エンジン｜6,208cc V型8気筒 DOHC
ボア×ストローク｜102.2 × 94.6
最高出力｜ 464 kW（631ps）/ 7,400 rpm
最大トルク｜635Nm（64.8kgm）/ 5,500 rpm
トランスミッション｜7段AT
駆動方式｜FR
サスペンション｜ダブルウィッシュボーン式
ブレーキ｜AMGカーボンセラミックブレーキ
タイヤ 前/後｜275/35 ZR19 / 325/30 ZR20
0-100km/h加速｜3.6 秒
価格｜3,250万円
※車両重量はドイツ本国での標準仕様車用[DIN70020準拠]（90パーセント分の燃料を入れたタンクを備えた乗員なしの車両重量）の数値