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2014年12月9日
BOOK|高瀬毅『本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事』
BOOK|日本唯一のブックディレクターを長期にわたり取材したノンフィクション
高瀬毅『本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事』
36歳ながら、独自のセンスで“主張する本棚”をつくり注目を集めている日本で唯一のブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)氏。彼を長期にわたり取材した、ジャーナリストの高瀬毅氏の著書『本の声を聴け ブックディレクター幅允孝の仕事』が、文藝春秋から出版された。
Text by YANAKA TomomiPhotographs by JAMANDFIX
解き明かされるブックディレクションの極意
幅允孝氏が自らの審美眼で選んだ本を並べると、本棚が輝き、人が立ち止まり、本を手に取りはじめるという。これまでに六本木ヒルズの「TSUTAYA」や東急ハンズ銀座店の「HANDS BOOKS」など、個性的なブックストアを手がけてきた幅氏。さらにその範囲は広がり、病院や美容室、銀行、結婚式場、空港に異色のライブラリーを設置し、ユーザーがおもわず手を伸ばしたくなるようなディレクションを実現している。
そんな幅氏を、ジャーナリストの高瀬毅氏が長い時間をかけて取材。生い立ちから本棚づくりの現場、選書を依頼する企業の狙いまでもが綴られた。また、六本木ヒルズ「TSUTAYA」や千里リハビリテーション病院、東北大学など実際のケースを紹介するなかで、独自のマーケティング感覚や“効く本”の選び方など、幅氏のブックディレクションの極意も明らかにされている。
本をツールに幅広い分野で活躍する幅氏ならではの「輝く本棚の秘密」。電子書籍の台頭や、本が売れないなどといわれる時代において、本の魅力を伝える“伝道師”の情熱あふれる仕事ぶりは、私たちが豊かに生きるヒントがちりばめられている。