メディコム・トイ インタビュー連載 第1回 藤原ヒロシさん|MEDICOM TOY
MEDICOM TOY|メディコム・トイ
メディコム・トイ インタビュー連載
第1回 藤原ヒロシさん
Text by Shinnno Kunihiko
メディコム・トイとの出合いは何だったんですか?
――藤原さんはこれまでBE@RBRICKを筆頭にメディコム・トイとは数多くのコラボレーションをされています。
「そうですね。たぶんKUBRICK(「HF KUBRICK」2000年・懸賞用非売品)がメディコムさんとの一番最初の付き合いだったと思います」
――きっかけはなんだったんですか?
「『SENSE』という雑誌の創刊号プレゼント企画で、編集長の守谷くんからメディコムを紹介してもらって」
――それまでメディコム・トイのことはご存知だったんですか?
「知らなかったです。映画のプロップみたいなものも作っていますよね。チャッキーとか」
――はい。『チャイルド・プレイ2』Good Guys プロップサイズドール(2002年発売)ですね。
「それまでああいうフィギュアはアメリカのものというイメ-ジだったので、それまでの日本のトイメーカーとは違う、新しいことをやってる会社だなと思いました」
――藤原さんも、コラボレーションでユニークなアイテムを作っていますね。
「基本的にどのコラボレーションも自分からやりたいものはほとんどないんですけど、オオサンショウウオ(「fragmentdesign オオサンショウウオ PLUSH」2012年発売)に関しては自分発信です。単に僕が好きで、個人的に作ってもらっただけなんですけれども。メディコム・トイの商品の中で一番売れないものだったんじゃないですか?(笑)」
――オオサンショウウオを抱き枕にするという発想はなかなか思いつかないです。
「メディコムは僕のわがままにいろいろ付き合ってくれているので、基本的に誘われた時は喜んでやらせてもらうようにしています。いつもこれだったらいいんじゃないかっていうものを精査して持って来てくれるのでメディコムとはすごくやりやすいし、信用して仕事ができてます」
コレクターですか? それとも、使い倒す派ですか?
――藤原さんは、ずっと手放せないモノってありますか?
「基本的にものをあまり捨てられないタイプなんです。なので断捨離とかミニマリストには憧れますね」
――貴重なセディショナリーズの服もたくさんコレクションされていますね。
「それも基本的に自分が昔着ていたものなのでコレクションと言えるかどうかわからないんですけれども。本当に大事にしてる人は、こまめにメンテナンスをするとか、きれいに使わないでとっておくとかそういう人がコレクターだとしたら僕はとにかく買ったら自分で着るし、その場で封を切って使うタイプなので」
――2個買って、1個は保存用にはしない?
「2個買っても2個使う。自分で使わないと価値がわからないので」
――トイについてはいかがですか?
「映画にもよるんですけど、プロップのレプリカモデルは割と好きです。アクチュアル・サイズなもの。ちっちゃくなったものは、それほど興味ないです」
――それはなぜでしょう?
「たぶん同じものがほしいんじゃないですか? 昔から着てるものとか持ってるものがかっこいいなと思って憧れるタイプなんです。例えば、僕はスター・ウォーズにはまったく興味ないですけど、あれに出てくる宇宙船のおもちゃをハン・ソロは持ってないと思うんです。でも、銃は持ってるじゃないですか。だったら銃のレプリカの方が面白いなと思うんです。セックス・ピストルズのフィギュアにしても、シド・ヴィシャスの人形は映画で出てくるじゃないですか?」
――『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』(80年公開)の棺桶に入ったシドの人形ですね。
「僕が昔ロンドンに遊びにいったとき、ヴィヴィアン(ウエストウッド)の部屋に実物があったんです。これ、映画のやつだと思って。それはほしいけど、ジョニー・ロットンのフィギュアはたぶん本人は持ってない。ファンが持ってるもの。そこにはあまり興味がないんです」
――なるほど、明快ですね。
「仮面ライダーベルトは欲しいけど、仮面ライダーのフィギュアには興味がない。チャッキーも実物サイズは面白いけど、小さいサイズのものがあってもあまり面白くないと思います」
――手にする時点でそういうガイドラインがあれば、将来的に手放すことも少なそうですね。ちなみにいま藤原さんがほしい映画のプロップサイズ・アイテムはありますか?
「ずいぶん昔からメディコムに言ってるんですけど、実現していないのが『007』の猫ですね」
――猫?
「敵(国際犯罪組織スペクターの首領ブロフェルド)がいつも白いペルシャ猫抱っこしてるでしょ? あの猫」
――あはは! 膝の上に乗せれば、誰でも首領気分が味わえるという(笑)。
「見た目は普通の猫だけど、『007』のロゴが付いているやつ。いろいろ問い合わせてくれてはいるんですけど、なかなか許可がおりないみたいで。いつか実現できるといいんですけど」
――それはぜひほしいです!
fragment designの新作についてうかがいます
――今回、7月22日~27日に開催されたMEDICOM TOY EXHIBITION '17開催記念商品として「BE@RBRICK カリモク fragment design 400%」「BE@RBRICK カリモクfragment design 400% carved wooden」とTシャツ2型が発売されました。今回のBE@RBRICKのポイントは?
「アンバランスなものに惹かれるんです。ポリゴンはポリゴンでいろんなところがやってるし、それに特化したアーティストもいるんですけど、今回は木なのにデジタルみたいなもの。carved woodenの方は北海道の木彫りの熊がロボットになったイメージで、ふたつが並ぶと面白いなと思って。本当はシャケを持たせたかったんですけど(笑)」
――あはは!
「以前、僕がBE@RBRICK(「WORLD WIDE TOUR BE@RBRICK hf」2004年発売)をデザインしたときも、ぬいぐるみを着せたんです。
もともとBE@RBRICKはクマのぬいぐるみをロボットっぽくプラスチックで作ったものじゃないですか? それを逆にちゃんとしたぬいぐるみにしたいなっていう感じで。
同じように今回も、もとは木なんだけどロボットっぽくさせてみたい。せっかくだから、そういうひねりをできるだけ加えたい感じがあります」
――お話をうかがうとバックストーリーが浮かんできて、さらに面白いですね。基本的にBE@RBRICKをデザインする上で「パーツを足さない」「フォルムを変えない」というルールがあるんですけれども、藤原さんが初めてらしいです。
「だったみたいですね。ルールを見てなくて。異端児ですみません(笑)」
――今度もメディコム・トイとのお付き合いは続いていきそうですか。
「はい、たぶん。メディコム次第ですね」
――近日中にまた新たなコラボレーションが控えているとのことですので、そちらも楽しみにしております。