会場をロックした世界基準の流石なプレイ

パリからトランジットで南仏のモンペリエへ。空港から一時間ほど車を走らせるとセットというビーチリゾートの小さな街があります。そこで開催されたGilles Peterson(ジャイルス・ピーターソン)主宰の「Worldwide Festival 2016」に出演してきました。1日だけ組まれたその名も「Japan Day」では、ビーチ会場でMitsu the beatくん、松浦俊夫くん、Duzzle Drums（敬称略）と私からなる日本勢だけでDJプレイ。

Theatre de la Mer（海の劇場の意味）というメイン会場では、佐野観（ピアノ）＋熊谷和徳（タップダンス）＋Jun Inoue（ライブペインティング）というメンバー。佐野観のライブ・シーケンスを効果的に使用したソロ・ピアノ、熊谷さんのタップ・ソロ、そして3人による極めて日本的美意識に貫かれた素晴らしいパフォーマンス。

Photos by Pierre Nocca

Photos by Pierre Nocca

板橋文夫の演奏で知られる「渡良瀬」には不覚にも涙がこぼれてしまったのですが、野外円形ステージで2000人規模の会場もスタンディングオベーションの渦。主宰Gilles Peterson含め、本当に良い仲間たちとあのヴァイヴを共有できたことに感謝。拙担当のFM及びインターネットプログラム番組「夜ジャズ.net」のための収録の件で、Gilles PetersonとDayme Arocenaのインタビューもできた。

次世代のスター、Anderson .Paakは、黒いビースティ・ボーイズ。荒削りでエネルギッシュ。会場は巨大なクラブと化す。Idris Ackamoor&The Pyramidsは、ポップなサン・ラ。マルチプレイヤーの面目躍如。Kamasi Washingtonは、以前日本で観た時よりもぐぐっとファンクに寄せていてグルーヴィ。週末は福井でのDJが入っていたため3日間だけの滞在でしたが、天候にも恵まれて如何にも南仏らしい気持ちの良い空気の下、素晴らしい音楽の旅となりました。

来年も出演できるといいなぁ。

【今回の猟盤】
フランスのコンポーザー、アンドレ・オデール（Sunaga t experience名義の4thアルバム『Jazz et Jazz』は、この方の作品からタイトルを拝借しました）が、66年当時の仏の精鋭ミュージシャンを集め、フリージャズやバップ、モダンジャズを演奏。そこにジェームス・ジョイスの小説「フィネガンズ・ウェイク」の一章を時には女性ボーカルなどのコーラスを交えながら朗読するという、何ともワクワクするような意欲作。

前述した「Jazz et Jazz」ではテープの逆回転やピッチコントロールなどを用いてジャズに対峙しましたが、これも如何にも仏ジャズらしいアヴァンギャルドさに溢れています。DJ云々という作品ではありませんが、このダイナミズムはヒップホップに通じるかも。フランスでその地のエネルギーを体感するに連れあらためてそのダイナミズムが腑に落ちた次第。

日本酒とジャズをペアリングした、至極の一枚

V.A.「酒ジャズ ～ぬる燗 佐藤 × ブルーノート～」
収録曲 / アーティスト
01. Mosaic / Art Blakey & The Jazz Messengers
02. Daybreak / quasimode
03. Mr. Big Stuff / ルーベン・ウィルソン
04. YOU DON'T KNOW HOW MUCH I LOVE YOU / アルフォンズ・ムゾーン
05. I've Had a Little Talk / ホレス・シルヴァー
06. Psychedelic Sally / ホレス・シルヴァー
07. Formidable / ジャッキー・マクリーン
08. The Murphy Man / リー・モーガン
09. Always There / Ronnie Laws & Pressure
10. Judo Mambo / ジミー・スミス
11. Nuovo Cinema Paradiso / ファブリッツィオ・ボッソ

V.A.「酒ジャズ～ぬる燗 佐藤 × ブルーノート」
価格 | 2160円(税込み)
発売日 | 2016年7月6日発売
レーベル | ユニバーサルミュージック / UCCU-1523