ベントレー コンチネンタル GT V8に試乗|Bentley
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2014年12月15日

ベントレー コンチネンタル GT V8に試乗|Bentley

Bentley Continental GT V8|ベントレー コンチネンタル GT V8

ベントレー コンチネンタル GT V8に試乗

ベントレーモーターズはワインの街として知られるスペインはエルシエゴに建つフランク・ゲーリー設計のオテル・マルケス・デ・リスカル(Hotel Marqués de Riscal)を拠点に、新型「コンチネンタル GT V8」の国際試乗会を開催した。ナバラサーキットでの走行をふくめ、この試乗会に参加した島下泰久氏のインプレッション!

Text by SHIMASHITA Yasuhisa

圧倒的な高効率

今年1 月のデトロイトショーでの公開に先駆けて、昨年末に都内で催された新型コンチネンタルGTCのプレスプレビューにてお披露目されたコンチネンタルGT V8は、そもそも環境意識が高まりを見せるなかで、ユーザーに、より燃費コンシャスな選択肢を提供するべく開発が進められていたモデルだ。実際は、ベントレーユーザーにとって経済性は大きな問題ではないだろう。気にするのは周囲から見たイメージであり、また、自分にとっての満足度。そんな人びとにとっては、環境問題に無頓着なクルマであることは、許されないのだ。

GT V8そして同時に発表されたGTC V8に搭載されるエンジンは、V型8気筒4リッター直噴ツインターボ。排気量も気筒数もGTの6リッターW12の3分の2に過ぎないわけだが、肝心なスペックは当然、コンチネンタルGTのパワーユニットにたいする期待に十二分にこたえるものとなっている。最高出力は507ps/6,000rpm、最大トルクは660Nm/1,700-5,000rpm。W12の最高出力575ps/6,000rpm、最大トルク700Nm/1,700rpmよりは当然劣るとしても、十分以上に強力な数値を獲得しているのである。

Bentley Continental GT V8|ベントレー コンチネンタル GT V8 06

Bentley Continental GT V8|ベントレー コンチネンタル GT V8 08

しかも特筆すべきは、圧倒的な高効率性だ。EU複合モード燃費はW12の16.5ℓ/100km(約6.1km/ℓ)にたいして、10.5ℓ/100km(約9.5km/ℓ)に。CO2排出量は384g/kmから246g/kmへと、ほぼ3分の2のレベルにまで低下しているのだ。

これには、エンジン内部で直噴化のほか摩擦抵抗の低減、温度マネージメントの効率化、減速エネルギー回生などによって高効率化を図っていること、そして新採用のヴァリアブル・ディスプレイスメント、つまり気筒休止による排気量可変機構などが効果を発揮している。また、あらたに組み合わされた8段ATも大いに貢献しているのはまちがいない。

いっぽう、採用車種が広がっているアイドリングストップシステムは搭載されていないが、これについては、コンチネンタルGTのユーザー層が、いまそれを欲しているとは言い切れないからということだった。ユーザーは、やはりワガママなのである。

いずれにせよ、燃費が良くなれば当然、航続距離も長くなり、コンチネンタルGT V8はフルタンクで800km以上の走行が可能だという。環境への配慮によって、GTとしての本来の特質にも磨きがかけられたというわけだ。

Bentley Continental GT V8|ベントレー コンチネンタル GT V8

ベントレー コンチネンタル GT V8に試乗(2)

軽快なエンジンとフットワーク

とはいえ、一番の興味は、その走りっぷりだろう。まず、スタートボタンでエンジンを始動すると、室内には野太いサウンドが響く。これだけで第一関門クリアといったところだが、いざ走り出しても期待が裏切られることはない。低速域からトルクがきわめて豊かなおかげで、アクセルペダルに足を乗せた瞬間からグッと背中を押されるような力強さを味わうことができる。

その後の加速も強烈そのもの。吹け上がりはW12ほどきめ細かくはないものの、代わりに明らかに軽快で、回していくと3,000rpmを過ぎた辺りからドドドド……というV8らしいビートを明確に聴かせるようになる。ベントレーと言えばV8。そう信じるファンにとっては、これでこそ、というところだろう。しかも、8段ATはとくに下のギアがクロースしたレシオ設定となっているから、アクセル開度を大きくすれば、鋭い加速と即座のシフトアップが短い周期で繰り返されて、あっという間に速度計がとんでもないところにまで到達しているという始末だ。

Bentley Continental GT V8|ベントレー コンチネンタル GT V8 22

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この8速ATのおかげで、巡航時のエンジン回転数は低く抑えられ、100km/h巡航中の回転数はわずか1,350rpm前後に留まる。当然、室内の静粛性はますます際立つわけだが、じつはこうした低負荷時にはエンジンは気筒休止をおこない、V4モードで動作している。スウィッチャブルエンジンマウントによる振動低減も、巡航時の快適な室内環境づくりに繋がっているのである。

実際、V8からV4に、あるいはその逆に切り替えが行なわれる時に、それを気付かせることはない。ちがいを感じるとすれば、一定速での走行中に、加速を意図してアクセルを踏み込んだ瞬間のツキで、これはW12には及ばない感もある。この感触こそが贅たくと捉えるならば、このある意味で淡白な感触には、あるいは物足りなく思えるかもしれない。しかし一方で、軽快さに好感をもつ人も少なからずいるのではないだろうか。

フットワークも健康的な印象だ。前輪荷重が25kg軽くなったことで、より軽快に。ステアリング操作のとおり、きれいに曲がっていく手ごたえの良さはエンジンフィーリングとよくマッチしていると言っていいだろう。

Bentley Continental GT V8|ベントレー コンチネンタル GT V8

ベントレー コンチネンタル GT V8に試乗(3)

レッドレーベル復活

大幅な高効率化を達成し、また走りの印象も変化したGT V8は、見た目にもW12モデルとはちがった演出がなされている。ラジエーターグリルはダークメッシュタイプとされ、メタルフレームで縁取り。バンパーも、より鋭角でスポーティな形状とされている。リアビューで主張しているのは、8の字を横にした形状のエグゾーストパイプだ。

さらに前後のウイングド“B”バッヂは、ベースが赤色にされている。ファンであればお馴染み、レッドレーベルの復活というわけである。

このコンチネンタルGT V8、価格は2,166万6,000円となる。GTC V8は2,380万円。つまりW12モデルよりも低く抑えられている。2003年に先代がデビューした時には1,990万円というプライスタグが衝撃を与えたコンチネンタルGTも、いまや2,415万円と当時より随分価格が上がってしまっているだけに、よりリーズナブルな選択肢の登場は、あらたなオーナーへも訴求するだろうし、なにより買い替えを躊躇っている先代オーナーに、大いにアピールすることになるにちがいない。

Bentley Continental GT V8|ベントレー コンチネンタル GT V8 36

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ちなみにW12モデルにかんしても、今後もラインナップはつづけられる。当然である。V8を望んでいたひとも居るいっぽうで、12気筒だからこそコンチネンタルGTを選んでいるというオーナーだって少なくはないのだ。彼らの期待を裏切ることはできない。とはいえ、内容についてもずっとそのままというわけではなく、アップデートが検討されているということである。

世界的な販売増もあって、今年の導入分は台数が結構絞られてしまっているようだが、このコンチネンタルGT V8の登場が、ここ日本でもベントレーの勢いを高める絶好の起爆剤となることはまちがいない。なお、クルマは順調にいけば、初夏には上陸する模様だ。

           
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