THE Ô DOR|スタイリッシュに生まれ変わった、新生「テオドー」の魅力
THE Ô DOR|テオドー
トラディショナルな紅茶の世界に変革を!
スタイリッシュに生まれ変わった、新生「テオドー」の魅力(1)
ティーブレンダー ギョーム・ルール氏によって創業された、フランス発のティーメゾン「THE Ô DOR(テオドー)」。来年、創設10周年を迎える若いメゾンでありながら、こだわりぬかれた上質な茶葉の味わいや、香り高い個性的なブレンドは、世界中の紅茶ファンから注目を集めている。そんなテオドーはいま、進化を遂げつつある。ロゴや缶などのイメージから、ブランドコンセプトまで、10周年を迎えるにあたり一新。新生テオドーでは、“L`INSOLENT PARISIEN(生意気なパリジャン)”とのコンセプトのもと、トラディショナルな紅茶の世界を変える、斬新なアプローチを展開する。9月中旬、この注目のティーメゾンがECサイト「rumors」にオープンする。年4回、季節ごとにお薦めアイテムをセレクトし、紹介していく。スタートをまえに、ここではまず、メゾンの歴史や魅力について、テオドー ジャパン代表である加藤 裕氏に聞いた。
Text by OPENERSPhoto by TAKADA Midzuho
より上質な茶葉を求め、世界中を飛びまわる“旅するティーブレンダー”
──今回rumorsのために選んだ16種類のテーマは?
9月スタートということなので、一部定番品を置きながら、秋から冬、そして春先ごろまで愉しんでいただけるものを選びました。一部の種類、とくに緑茶ベースのものにかんしては水出しももちろんお薦めですが、ホットで愉しんでほしい種類をメインにセレクトしています。
──茶葉には非常にこだわられているとか。
茶葉はもちろん、フルーツや花々にかんしても、すべてオーガニックを認定されている茶園、もしくはオーガニックで作っている茶園のなかから選び抜くというのが絶対のルールです。彼はフランスの雑誌などでは、“旅するティーブレンダー”と言われているくらい、より上質な茶葉を求め、つねに世界中を飛びまわっています。紅茶の仲介業者みたいなものもあるのですが、紅茶の仲買業者は使わずに、彼は実際に茶園や工場に足を運び、庭や生産工程を見ることで、葉のつきや厚みはもちろん、どういうふうに収穫し、どれくらい愛情を込めて作っているのかをチェックしているのです。
フレーバードティーは香りをつけるものなので、茶葉としてクオリティの低いものを使う場合も珍しくはありません。香りでごまかすことができますからね。しかしテオドーではリーフカットの大きい、上質な茶葉を使用しています。天然の香料を使う理由も、せっかくのいいお茶の味わいを、ちゃんとわかってもらいたいからなんです。
ティーブレンドの時間とお茶を愉しむ時間は、自分だけのエゴの時間
天然香料はお湯の中に入っていくとふわっと表情が変わって優しくなってゆきます。しかし人工香料や合成香料は、お湯に混ざりきらず、表面に浮くようなイメージで、口のなかに残るんです。
エッセンシャルオイルを使っても、お湯の表面に脂分が浮いてくるのはおなじですが、それが天然かそうでないかによって飲んでいただいたとき、お湯と一緒に喉の奥に落ちていくのか、香りだけが口のまわりに残るのか、そこにちがいが生じてきます。
──ブレンドは全部で何種類あるのですか?
日本では現在60種類を展開していますが、パリではたしか300種類を超えています。ブレンドはすべてギョームがひとりでおこなっており、私たちにもブレンドをしているようすは見せません。ティーブレンドの時間とお茶を愉しむ時間は、自分だけのエゴな時間なんだとか。彼が言うには雨が降って、上がった日の朝にブレンドをはじめるそうです。しかしブレンドの作業よりもまえに、まず彼が考えるのが名前です。まぁ、名前を決める時点で頭のなかにイメージがあるのかもしれませんが、名前を決めてからお茶のブレンドをおこなうそうです。
ただ、たとえイメージがあったとしても、スムーズに理想のブレンドに辿りつける場合と、全然辿りつけない場合があります。スムーズだと4ヵ月くらい。できないものだと2年以上かかることもあります。名前もイメージもあるのに辿り着かない。まだまだ作りたいものはあるようですが、そういった事情で未完成のブレンドは多いみたいです。
いろんな意味で、いろんなトビラを、お茶が開けていく
──ブランドコンセプトや、イメージを一新されましたね。
2012年はテオドーの10周年の年。今年1年をかけて古いイメージとあたらしいイメージが切り替わっていくタイミングなんです。そしてすべてが切り替わった12年からは、コンセプトショップの展開など、あたらしいプロジェクトがフランスを中心に一斉にスタートしていきます。
Hが“トビラ”をあらわし、Tがお茶を意味していて、お茶がさまざまなトビラを開けていく、という意味が込められています。
たとえば初対面の方と話をするとき、お茶はコミュニケーションツールのひとつとして、相手の心のトビラを開けるきっかけになる。また、お茶は世界分布が非常に広いため、文化によって飲み方や使う茶葉が全然ちがう。そういった意味で、文化のトビラを開けていくということも言えるでしょう。そしてこのお茶という、トラディショナルな世界で、モダンであたらしいアイテムを作っていくことで普段はお茶に興味のなかった世代のトビラを開けていく。いろんな意味で、いろんなトビラを、お茶が開けるという意味が込められているのです。
──あたらしいテオドーのコンセプトとは?
フランスも日本とあまり変わらなくて、若い方たちはコーヒーが好きで、お茶を進んで選ぶ方はまだまだ少ないようです。やはり紅茶はちょっと古臭いイメージがあるのかもしれません。コーヒーは数年前にスターバックスさんが出てきたりと、いろんなカタチで楽しみ方が増え、すばらしい進化を遂げている。お茶は何千年とつづいているのに、なぜそれができていないのか? それは本来ならできるはずなのに、誰も挑戦しないから。
テオドーではあらたに、“L`INSOLENT PARISIEN(生意気なパリジャン)”というひとつのテーマを掲げました。日本では“生意気なパリジャン”と柔らかく訳していますが、“L`INSOLENT PARISIEN”とは直訳すると“反骨のパリジャン”という意味なんです。“反骨のパリジャン”とはギョーム自身のことを指しています。トラディショナルなものばかりにこだわりつづけている紅茶の世界に対し、立ち向かっていくというひとつのコンセプトなんですね。
捨てられない、というのがひとつのエコ
──缶やパッケージなど、どれもモダンなデザインですね。
企業として、なるべく経費を落とすために外装は安く作ったりすることもあると思うのですが、安く作ってしまうと耐久性が低かったり、傷つきやすかったりして、結果捨てられてしまう。逆にそこはしっかりお金をかけていいものを作ることで、捨てられないのがひとつのエコである、というのが彼の考えです。
丈夫でモダンなデザインの缶は、“あのお茶、おいしかったな”という記憶があるかぎり、捨てられずに使いつづけてもらえると思うんです。
──シリーズごとに色分けがされているとか。
白でもなくグレーでもない、シックで落ち着いた缶には、厳選したノンフレーバードのさまざまな種類のお茶「プレーンティー」の缶。やはりナチュラルなお茶というのは、お茶が好きな方たちが辿り着く場所でもあるので、シックな色味をチョイスしました。
黒の缶は紅茶葉をベースにブレンド・香りづけした「フレーバードブラックティー」。本来紅茶の水色はどれもおなじような色味ですが、フレーバーによって表情が変わっていく。黒い缶にワンポイントとして巻かれた帯のカラーで、その表情を表現しました。
ワンポイントとして効いている帯のカラーでそんなイメージを表現しました。緑茶葉をベースにブレンド・香りづけした「フレーバードグリーンティー」の緑色の缶は、明るくてすっきりしているイメージを。
花々やフルーツのハーブティー、ルイボスやマテベースのフレーバードなど、ノンカフェインラインである「ハーブティー」のピンクは、あたらしさや元気で健康なイメージから選んでいます。
フランス人によくある性格15種類
──おもしろいチャート表を提案されていますね。
現在のお茶というのは日常的に飲むものであり、洗剤やトイレットペーパーと一緒で、切れてしまったから調達に行くものですよね。多くのティーメゾンは、量り売りをおこなっている。トラディショナルなお茶の世界のなかで、我われがもっとも革新が必要だと考えるのはそこなんです。カウンターのなかには大きな缶が並べられ、お客さんは店員に“こんなお茶がほしい”と伝える。ようするに、店員のリコメンドからしか選ぶことができず、そうした買い方が窮屈だと考える方もちろんいると思います。自由にお茶と出会い、買い物をしてほしい。日用品の調達から楽しいショッピングに変えていかなければと考え、このチャート表が生まれました。
これはフランス人によくある性格15種類それぞれに色を決め、それを使ってお茶を分類した表です。ちなみに反骨のパリジャンである彼は15種類の性格すべてをもっているそうです(笑)。
“ちょっとの秘密がないとおもしろくない”
まず缶の色を見ればカテゴリがわかりますし、缶の裏になにを使っているのかすべて明記されていますので、あとはそれぞれの性格をあらわした帯の色を見つつ、お客さんはこのチャートを手に、たとえば“自分がこんな気持ちだからこれにしようかな”“あのひとはこういう性格だからこれをプレゼントしようかな”とか、または“この紅茶が好きだったから、おなじカテゴリの緑茶を試してみようかな”というふうに、ご自身の捉え方で、自由にショッピングとして楽しんでもらえればと思っています。
おもしろいのは、それがお茶のもつ性格なのか、飲むひとのもつ性格なのかについては、ギョームは一切なにも言わないんです。しかしこのカテゴライズは必ず、彼がなにかをヒントにしておこなっている。彼がいつも言うのは、“ちょっとの秘密がないとおもしろくない”──すべてを伝えることが決していいわけではないと。あらゆるところに秘密が隠されていますので、これから少しずつ、みなさんにお伝えしていければと思っています。
──ありがとうございました。