SPORTMAX|クリエイティブディレクター、グラツィア・マラゴーニが語る
SPORTMAX|スポーツマックス
クリエイティブディレクターに聞くスポーツマックスの魅力
誕生から40年余、さらにパワーアップするスポーツマックス。これまでメディアに出ることの少なかったスポーツマックスのクリエイティブディレクター、グラツィア・マラゴーニがブランドへの思いを語る。
文=田中みき
スポーツマックスとともに積んだ30年のキャリア
──これまであまり大々的に表だってインタビューに出られることが少なかったですよね。まずあなたのキャリアについておうかがいしたいのですが。
私についての話……ですか(笑)? マックスマーラに入社したのが1979年、その後、スポーツマックスのクリエイティブディレクターとなってもう30年近くになるので、ブランドと一緒に成長したような感じです。もちろんやりたいことはまだまだたくさんありますが、ブランド誕生当初からの信念である、ファッションに敏感でポジティブなブランドとして確立してきたと思うので、今までやってきたことにとても満足しています。
──スポーツマックスが誕生して約40年ですが、まず、スポーツマックスはどんなふうに生まれ、マックスマーラとはどのような評価のちがいがあるのでしょうか?
スポーツマックスのデビューは1969年、当初からあたらしいトレンドを提案する革新的なブランドとして生まれました。マックスマーラが究極のラグジュアリーを追求するのに対し、スポーツマックスはマテリアル、シルエット、コーディネーションとすべてにおいてリサーチに重点を置き、トレンドを意識しながら時代の雰囲気と共につねに革新をつづけていくブランドなのです。たとえば、マックスマーラは高品質なマテリアルをそのまま用いて、最高の仕立てをするというリュクスを追い求めますが、スポーツマックスはリサーチによって得た情報を用いてマテリアルに手をくわえ、仕立てに凝り、ディテールにこだわることにリュクスを見出すのです。
──では、あなたがクリエイティブディレクターになられたこの約40年のあいだ、スポーツマックスはどのような成長を遂げ、どう変わりましたか?
当初はあまりにも革新的な提案というのは出しにくいものでした。でも年月を経るにつれ、あたらしいコンセプトを打ち出すことがどんどん重要になってきています。これはファッション全体に言えることだとも思いますが、よりクリエイションへの要求が高くなり、素材から仕立て方までの深い研究が必要になっているのです。昔、ファッションはもっと単純でしたが、今はどんどん複雑になっていますよね。でもそのぶん、あたらしいことへ挑戦する気持ちが掻き立てられます。
──デザインのアイデアはどうやって生まれるのですか? たとえば、いま店頭に並んでいる春夏コレクションはどのように生まれましたか?
アイデアは映画からだったり、本だったり、展覧会だったり……シーズンによってさまざまです。この春夏コレクションは古い写真からはじまり、映画『ロシュフォールの恋人たち』のような60年代のイメージが流れています。シルエットは広くゆったり。そのシルエットを重視して素材選びもなされています。
──ミラノの旗艦店はすでに2011年秋冬のミラノコレクション期間中に、移転してリニューアルオープンしました。「ハイエンド ライフスタイル ショップ」というコンセプトですが、そこでなされるあらたな試みとはどんなものでしょうか?
今までのショップは10年前に建てられたもので、その当時、トレンドだったミニマルを強く意識したショップでした。あたらしいショップは、もともと住宅だった2階部分の天井や窓をそのまま残すなど、モダンななかにひとの手の入った雰囲気を調和させ、コンテンポラリーとビンテージ要素の融合とコントラストを表現しています。これは歴史のあるブランドとしてのヘリテージを重んじつつ、トレンドを探求するスポーツマックスのコンセプトにつうじているのです。360度、スポーツマックスの世界観を五感で体験できるショップと言えると思っています。
──スポーツマックスで今後やっていきたいことはありますか?
スポーツマックスをよりパワーアップしていこうというプロジェクトはすでにスタートしています。たとえばここ2年間で中国をはじめとした世界各地のショップをリニューアルしたり、あらたにオープンする予定です。またアートとのコラボレーションもより深めていきたいと思っています。
GRAZIA MALAGOLI|グラツィア・マラゴーリ
マックスマーラが本社を構える街でもある、レッジョ・エミリアの隣町生まれ。アートの学位を取得後、1979年マックスマーラグループ入社、82年より現在にいたるまでスポーツマックスのクリエイティブディレクターを務めている。
マックスマーラ ジャパン
Tel. 03-5467-3700