IWC|アイダブリューシー 2011年S.I.H.H.速報!
IWC|アイダブリューシー
シンプル&エレガントウォッチの名作コレクション
「ポートフィノ」が待望の完全リニューアル!
航空機創生期の19世紀末ごろからパイロットウォッチの製造に力を注いできたIWC。100年ものあいだ培ってきたその高度な技術を結集した今回の新作は、1984年に誕生した「ポートフィノ」コレクションのリニューアルモデルだ。IWCのベーシックなウォッチと位置づけられているモデルの21世紀仕様が、ついに登場した。
文=渋谷康人
パイロットウォッチで培った、最高の時計技術
スイス北部、ドイツと国境を接する古都でありライン河水運の要衝で、ヨーロッパ有数の瀑布「ラインの滝」で観光地としても有名なシャフハウゼンを本拠地に1868年から時計づくりをつづけているIWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)。創業者がアメリカ人であったなど、興味深い逸話には事欠かず、懐中時計の時代から時計業界の技術的なリーダーとして、時計の精度と耐久性を追求した数々の歴史的傑作を世に送り出してきた。いまも昔も、独自の哲学とスタイルで熱烈なファンをもつ時計会社だ。
時計愛好家のあいだでもっとも広く知られているのは、まだ腕時計が存在しない、その精度が十分ではなかった19世紀末から20世紀初頭に、懐中時計にブレスレットを装着した大型の腕時計を、航空機創生期の各国空軍のパイロットや高精度モデルを求めたポルトガル人の時計商に製造・販売したというエピソード。
加速する名モデルのリニューアル計画
現在もその製品のほとんどは、40mmを超える比較的大ぶりなモデルである。これは、時計の道具としての精度と耐久性を最優先すると、テンプや香箱、ムーブメントは機械的に安定した大型のほうがいいという哲学に基づいたもの。2000年以降、コンパニー・フィナンシエール・リシュモン傘下に入ってからは、現在もCEOを務めるジョージ・カーン氏の指揮のもと、未来に向かってコレクションの完全リニューアルを計画的に、着実に進めている。
今年2011年は、1984年の誕生から今日までもっともベーシックな製品コレクションとして愛されてきた「ポートフィノ」コレクションの完全リニューアルが最大のニュース。新型ムーブメントを搭載した8日巻きモデル、デュアルタイムモデル、クロノグラフモデル、デイト付き3針モデルの4モデルが発表された。レザーストラップがイタリアの名靴サントーニ製であること、ブレスレットがクラシックな雰囲気漂うミラネーゼ・メッシュブレスレットであることも、大きな魅力だ。
ポートフィノ・ハンドワインド・エイトデイズ
精度や耐久性など最新技術を惜しみなく投入したムーブメントが秀逸!
「ポートフィノ」とは、映画スターなどセレブリティに愛されるイタリアの高級リゾート地にあるフィノ港のこと。そしてこのネーミングは、風光明媚なこの場所で1960年代に展開された彼らの“甘い生活(ドルチェ ヴィータ)”に象徴される、優雅な生活にインスパイアされたコレクションであることを示している。このイメージにふさわしい、古き良き時代の超薄型懐中時計を彷彿させるエレガントな文字盤やケースのデザインももちろん魅力的だが、コレクションのフラッグシップとなるこのモデルの最大の魅力は、何と言ってもキャリバー50000シリーズに代表される新型手巻きムーブメント「キャリバー59210」である。これは、「ケースにふさわしくムーブメントは可能な限り大きく」というIWCのムーブメント設計における哲学に基づいて設計・開発された。8日間パワーリザーブ(フル巻き上げで8日間動作する)のこのムーブメントには、いまなおもっとも理想的なメカニズムであるブレゲひげゼンマイや、緩急針なしでテンプの4本の補正ネジで歩度調整をおこなう新型テンプなどを搭載。ほかにも、実際は9日間のパワーを蓄えながらも、精度を安定して確保するためにゼンマイのエネルギー伝達を8日分に制限するといった、IWCの最新技術が駆使されている。月曜日の朝にフル巻き上げ状態にしておけば、たとえ1週間着けなくても、翌週の月曜日に仕事に行くさいもきちんと正確な時間を教えてくれる。SSケースなら100万円を切るので、信頼できる日常のパートナーとして、すべてのビジネスマンにお薦めしたい。
手巻き(8日間パワーリザーブ)、直径45mmのレッドゴールドケース、サントーニ製アリゲーターストラップ、170万6250円(予価)。発売時期未定。
ポートフィノ・オートマティック
年齢、職業を超越したシンプルウォッチの絶対定番
先代のポートフィノで、時計通と呼ばれる人びとのあいだでもっとも評価が高かったモデルは、シンプルなオートマティックモデルだった。その理由は、現代的に洗練されたスタイルにある。無駄な要素を排除したシンプルモデルというと、1950年代にデザインが確立された超薄型のドレスウォッチが頭に浮かぶ。しかし、その種のドレスウォッチは繊細過ぎて、またクラシック過ぎて、日常の服にはフィットするものではない。あくまでタキシードなどフォーマルなウェアのための腕時計なのである。この点で先代、先々代のポートフィノのオートマティックはシンプルでドレッシーでありながら適度に現代的なテイスト、工業デザイナーがデザインした腕時計のように日常の服にシックに調和する絶妙なデザインだった。そしてこの新世代の「ポートフィノ・オートマティック」も、まちがいなくおなじ理由で、時計通と呼ばれる人びとから愛されることだろう。また、先代では存在しなかったミラネーゼ・メッシュブレスは、先代以上にこのモデルが愛される理由になるはずだ。50万円を切る価格も大きな魅力のひとつ。あらゆる年齢の男性に、また女性に薦めたいあたらしい定番ウォッチである。
自動巻き、直径40mmのSSケース&ブレスレット、47万7250円(予価)。発売時期未定。
IWC
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