Vacheron Constantin|2011年S.I.H.H.速報!
Vacheron Constantin|ヴァシュロン・コンスタンタン
最注目は画期的な機能を実現したワールドタイムモデル。
複雑モデルやドレスウォッチでも本領を発揮。
今回の目玉は、世界時計で名品を生み出しつづけてきたヴァシュロン・コンスタンタンの歴史に、あらたな1ページをくわえるワールドタイムモデル。そのほか完璧なカレンダー機能を搭載したモデル、アーカイブからインスパイアされて企画される「ヒストリーク」コレクションと、250年以上の歴史をもつブランドの重みを感じさせる逸品が目白押しだ。
文=渋谷康人
1755年、近代人権思想の祖と言われる哲学者ジャン・ジャック・ルソーが名著『人間不平等起源論』を著したまさにその年、24歳の若き時計師ジャン・マルク・バセロンがジュネーブ市内に開設した時計工房がヴァシュロン・コンスタンタンの起源。以来現在まで250年以上ものあいだ、一度も時計づくりを休むことなく、国際都市ジュネーブに集う王侯貴族などヨーロッパのセレブリティたちを主な顧客に、優雅さでもメカニズムでも最高峰の機械式時計を作りつづけてきた。昨年は、ケース厚わずか4.1mmという世界最薄の手巻きドレスウォッチ「ヒストリーク・エクストラフラット 1955」を発表し、時計関係者、なかでも目の肥えた時計愛好家から圧倒的な支持を集めた。
そして今年、スイス時計界でももっとも長い歴史を誇るこの老舗メゾンは、画期的で実用的な新機能を備えたワールドタイマー(世界時計)機能をもつ新作「パトリモニー・トラディショナル・ワールドタイム」で、ふたたび世界中から集まった時計関係者の絶賛を浴びた。
そのほかの新作も目の肥えた時計愛好家、本当のモノの価値を知る大人の男性にとって、食指を動かさずにはいられない魅力的なものばかりだ。
現在製造されている永久カレンダーモデルで“これ以上に完璧な文字盤デザインはない”といえる究極のハンサムフェイスを実現した「パトリモニー・コンテンポラリー・パーペチュアルカレンダー」、スイス機械式時計の黄金期である1954年に製造されたエレガントな角型モデルをデザインモチーフにした「ヒストリーク・アロンデ 1954」の2モデルは必見である。
パトリモニー・トラディショナル・ワールドタイム
時差15分をふくむ、37のタイムゾーンの現在時刻を一望できる!
現在実用化されている、ワールドタイムを表示するもっとも優れたメカニズムは、1932年に開発された。「世界時間」のシステムは、グリニッジ天文台にある子午線を経度ゼロとし、ここを基準に経度15度ごとに世界を24のタイムゾーンに分けたもの。それを、世界地図と世界24の時間帯にある主要都市を記した2枚のディスクを使って表現したのが、そのメカニズムの基本だ。ヴァシュロン・コンスタンタンもこれを基本にして、置き時計では1936 年に31都市の現在時刻がわかる製品を、腕時計では1957年から世界24都市の現在時刻がわかる腕時計を発売。以来、この分野で数々の歴史的な名品を世に送り出してきた。
今回発表された新作「パトリモニー・トラディショナル・ワールドタイム」は、同社が開発し特許を取得した新メカニズムを搭載し、画期的なワールドタイムモデルとなっている。世界24のタイムゾーン・24の主要都市の現在時刻にくわえて、これまでのワールドタイムウォッチでは表示できなかった15分、30分単位の時差がある13のタイムゾーン・13都市の現在時刻を、つまり世界37タイムゾーン・37主要都市の表示を実現。しかもグレーのグラデーションのディスクで世界地図を覆うことで、その場所が昼なのか夜なのかまで、ひと目でわかる。
世界を舞台に活躍するひとにふさわしい最高のワールドタイムウォッチだ。
自動巻き、直径42.5mmのピンクゴールドケース、アリゲーターストラップ、シースルーバック。346万5000円(予価)。今秋発売予定。
パトリモニー・コンテンポラリー・パーペチュアルカレンダー
伝説のパーペチュアルカレンダー・メカニズムが優雅な「衣」をまとった
時・分・秒の表示にくわえて月・日付・曜日・ムーンフェイズを表示するカレンダー機構を、それも4年ごとにやってくる閏年までを織り込んでプログラムしてあり、100年に1度程度のカレンダー修正しか必要としない永久カレンダー機構を搭載した複雑時計は、最高レベルの設計・製造技術がつまった「腕に着ける芸術品」。
ヴァシュロン・コンスタンタンの現行モデルでは「パトリモニー・コンテンポラリー」コレクションのスケルトンモデルが名品として知られている。1967年にヴァシュロンが自社で開発した厚さ2.45mmという超薄型自動巻きムーブメントの傑作「キャリバー1120」。そして、このメカニズムに永久カレンダー機構をくわえながらムーブメントの厚さわずか4.05mmという超薄型サイズを実現したのが「キャリバー1120SQ」。同モデルはこの永久カレンダー機構付きのムーブメントを手作業でスケルトン加工、そのすべてを表裏シースルーのケースから鑑賞できるようにした逸品だ。
新作「パトリモニー・コンテンポラリー・パーペチュアルカレンダー」は、このスケルトンモデルとおなじ「キャリバー1120SQ」を、スケルトンではなくシースルーバックの仕様のケースに搭載した、超薄型永久カレンダーモデル。伝説のメカニズムももちろんだが、このモデルの最大の魅力は、もはやこれ以上手をくわえようのない「完璧なバランス」を達成した美しい文字盤のデザインだ。
自動巻き、直径41mmのピンクゴールドケース、アリゲーターストラップ、シースルーバック。594万3000円(予価)。今秋発売予定。
ヒストリーク・アロンデ 1954
50余年の時を超えて甦った優雅なレクタンギュラー・スタイル
懐中時計から置き時計、宝飾時計まで、ヴァシュロン・コンスタンタンがこれまで世に送り出した名品は数知れない。なかでも魅力的なのは腕時計、それも最高レベルの職人の手で同社のシンプル&ミニマムなデザイン哲学が忠実に反映された1920年代から60年代にかけての製品である。かつて「コメモレーション」という名称で呼ばれていた「ヒストリーク」コレクションは、この時代の伝説的な名品を現代的な視点で再解釈して、その精神とノウハウを未来に引き継ぐために誕生した。毎年1モデルが、過去の名品の魅力を継承して登場する。
今年の「ヒストリーク・アロンデ 1954」は、その名称が示すとおり1954年に製造されたモデルがデザインのモチーフ。モデル名のなかの「アロンデ」とは、「カモメの翼」を意味する古いフランス語。まるで鳥の翼のように見える、2つの丸い山で構成されるケースサイドのデザインからこの名称が付けられた。優雅なケースのデザインと同様にすばらしいのが、職人の手作業によるギョーシェ彫りがほどこされ、オパールを彷彿させる繊細で美しい輝きをもつ、クラシックで美しいシルバー製の文字盤。
現存する、世界でもっとも歴史のある時計マニュファクチュールならではの、紳士のための特別なドレスウォッチである。
手巻き、縦44.5×横31.2mmのピンクゴールドケース、アリゲーターストラップ。226万8000円。4月発売予定。