写真家・森山大道氏が「時代」について語る。trialog vol.7 イベント開催レポート

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 blkswn publishersのコンテンツ・ディレクター若林恵とソニーが仕掛ける、次世代のクリエイティブな生き方について“三者対話”を通して考えるプラットフォーム「trialog(トライアログ)」は、第7回となるトークイベント「TIMES-時代-」を、2019年7月30日(火)、渋谷ブリッジ内のカフェスペース「No rails/No rules」にて開催。

○森山大道氏が「時代」をテーマに熱弁!trialog vol.7 イベント内容

■オープニング
 ソニーは、東急電鉄、森山大道氏と共に、次世代のクリエイターを発掘・支援するアート共創プロジェクト「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN」を開催しており、そのメインイベントとなるエキシビションの開始を直後に控えた7月30日(火)に、森山氏を「trialog」に招いた。「50年以上もの間、第一線で活躍し続けるためには、同時代性、すなわち時代に寄り過ぎないことが大切なのではないか」という若林の仮説のもと、森山氏や長澤氏とともに「移りゆく時代の中での写真の在り方」について語り合った。

- トークセッション : 「TIMES-時代-」
森山大道氏×長澤章生氏×若林恵

■都市は欲望のスタジアム。移りゆく時代の中での写真の在り方とは
 森山氏と長澤氏は、写真について、「カメラは皆等しく買えるものであるが、仮に100人が同じカメラで同じものを撮ったとしても、そこに同じ写真は何一つ存在しない。同じ被写体、同じカメラであるがゆえに、その人特有の性格や性癖、歴史、記憶など『個』の部分、全人格がその“1枚の写真”に写る。写真とは、自分の気持ちの奥底に潜んでいるような、自分が普段気付かないようなものまで表してくれるものだ」と、写真の在り方を説いた。
 また森山氏は、「写真は決定的な瞬間を狙って撮るものだと思われがちだが、全ての瞬間が非日常の連続であり、どんな瞬間でもシャッターチャンスだ」と考えている。日常的にそういう風に世界と対峙しているからこそ良い作品が生まれるのだろうと長澤氏も推察している。

 新宿の歌舞伎町、ニューヨークにおけるタイムズスクエアなど、どこかいかがわしさを孕んだものが好きだと話す森山氏に対し、「渋谷や新宿も開発が進み、街が整理され綺麗になっていく中で、昔はあった面白み、いかがわしさがどんどん減っていくのでは?」と若林が質問したところ、「カメラマンは現在しか写せない。だから、移りゆく今に面白みを感じなければ意味がない。昔は良かったなどと言っている暇はない」と回答。また、森山氏は、「人の欲望は時代が変わっても留まることを知らない。その欲望が混沌と渦巻くのが都市であり、欲望のスタジアム。それを撮らないわけにはいかない」と言う。そのため、同じ場所を歩き、記録し続けていくことに飽きることがないのであろう。

 過去の作品にすがることなく、常に新しい作品を生み出し続けている森山氏。Q&Aコーナーでは、参加者からの「スマートフォンや携帯電話で写真を撮る時代をどう思うか」という質問に対し、「自分は携帯電話を使うことはないが、様々な人が写真を気軽に撮るのはいいことだと思う。写真は作家のためものではないから。1枚でも多く、写真がこの世に増えていくのがいい。それは、“世界の記録”だから。みなさんもどんどん撮ってください」とメッセージを伝えた。

写真左:左から若林恵、森山大道氏、長澤章生氏
写真右:machìna氏

 また、2019年9 月15日(日)には、「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2019」へコンテンツ提供という形でtrialog vol.8を渋谷ヒカリエにて開催することが決定しました。今回は「Alt.Rules オルタナティブなルール/ルールのオルタナティブ」をテーマに、多彩な登壇者が議論を交わします。チケットは8月中旬から販売予定。詳細な情報は随時更新。

 今後もtrialogは、次世代を見据えたクリエイティブプラットフォームとして実験的な試みを重ねながら、定期的に展開。

○ trialogとは

trialog(トライアログ)は、次世代に向けた“対話”のプラットフォームです。trialogでは、世の中を分断する「二項対立」ではなく、異なる立場の三者が意見を交わす「三者対話」の空間をつくり、「本当に欲しい未来は何か」について議論を深めながら、次世代に向けた自由でクリエイティブな生き方と、その未来のあり方について考えるトークイベントを実施しています。イベントの様子は、trialog公式Twitterアカウントでライブ配信を行うとともに、視聴者はネット上からリアルタイムにコメントを投稿することで対話の場に参加できます。イベント後は公式WEBサイトでアーカイブ映像を公開。

■ trialog WEBサイト       : https://trialog-project.com/
■ trialog コンセプトムービー   : https://youtu.be/HCCtF9JQJP4
■ trialog 過去のイベント記事    :https://trialog-project.com/article/

問い合わせ先

trialog PR事務局(㈱プラチナム内) 斉藤・鈴木・新村・大庭

TEL: 03-5572-7351 FAX: 03-5572-6075

https://trialog-project.com/

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