美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|タスマニア州 ホバート|特集

特集|美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|タスマニア州 ホバート

Restaurant Australia: Where Unique Food & Wine Experiences Await

特集|美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ

3. タスマニア州 ホバート

正真正銘、世界で一番クリーンな島

「美食大陸 オーストラリア」キャンペーンの一環で招かれた世界16カ国からの80名のインフルエンサーたちは、各自が興味のある取材先を個別にまわることになっていた。つまり、80もの異なるスケジュールの行程が組まれ、それぞれの取材先へのアポイントメント、トランスファー、アコモデーション、場合によっては通訳の手配などを完璧にセットアップするというイベントとしても非常に複雑でハードな内容だった。それをオーストラリア政府観光局、各州の観光局が共に協力しあい、私個人の取材でいえば、本当に完璧にすばらしい手配と内容だったことに大いに感心した。

今回のこのプロモーションでは80名のインフルエンサーが滞在中、およそ900のつぶやき、動画、インスタグラムなどをSNSとハッシュタグを使って発信。結果、29万の「いいね!」と6500にのぼるユーザーからのコメントを獲得。これにより、オーストラリア政府観光局はアジア地区の「PRアワード2015」でBest Use of Influencersの銀賞を受賞している。

いい意味でゆるやかでオープンなオージー気質は、ときにスケジュール通りにいかない状況を生み出すことがあるのは、シドニーで暮らしていた経験から想定していた。しかし、今回のイベントを通じて感じたのは、これほどのワールドワイドなプロモーションを完璧に仕切るパフォーマンスの高さをオーストラリアがもちはじめたこと。それは言い方を変えれば、ホスピタリティ力の高さをもっているということにほかならない。

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シドニーのカフェやレストランでは、スタッフもスマイル&ハッピー

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ヘイマン島ではグレートバリアリーフ最新のスーパーラグジュアリー・リゾートに滞在

実際、取材先で訪れたリゾートやホテル、さらにワイナリー、レストランでのサービスの質は細やかで、それでいてオージー本来のフレンドリーさは失わず、なんとも心地いい時間をともに過ごさせてもらった。もちろん招待されたジャーナリストという立場があってのもてなしということもあるかもしれない。しかし、分け隔てなく接するのがオーストラリアのフェア精神。特定の人間を特別扱いすることはオージーが一番好まないことであり、また苦手なことなのだ。

ということで、各自バラバラだった80名のインフルエンサーが一堂に集合するのが、このイベントのハイライト、「Invite the World to Dinner」。場所はオーストラリアの州で唯一、大陸から隔離された島であるタスマニア州。

その稀有な環境から優れた農産物、食材を生み出している。さらに州のおよそ3分の1は世界自然遺産も含め、肥沃な大自然に囲まれているという奇跡のような場所。その天然の美しさゆえ、「世界でもっともピュアな場所」と呼ばれ、実際それは科学的にも証明されている。正真正銘の世界で一番クリーンな島なのだ。

20代のころから数えると、私はタスマニアへ10回ほど訪問しているだろうか。州都ホバートは港周辺を中心に開拓時代の面影を残す街並みが美しい町だ。港には人気のシーフードレストランMuresや、かつてのジャムファクトリー跡を利用したデザイン系ホテル、The Henry Jones Art Hotelなどがたたずみ、その風景はいつ行っても変わらずおだやかで美しい。

毎週土曜には、農産物からホームメイドのスイーツ、アート&クラフトなど300ほどのさまざまな店が並ぶSalamanca Marketでも有名だ。なかにはタスマニアでしか採取されないレザーウッドハニーや、特産品のリンゴ、フレッシュピーナッツバターなどフレッシュで良質な食材のみを使ったドッグ用クッキーの専門店、The Dog House Bakeryといったユニークなショップもあり、愛犬へのお土産にいいだろう。

ホバート以外では、世界遺産に登録されたクレイドル・マウンテン、名前のとおりワイングラスのようなカーブが美しいワイングラスベイのある東海岸フレシネなど、大自然の見どころも感動的。タスマニアがすばらしいのは、そういった秘境とでも呼べる場所にも秀逸なリゾートがあるという点。クレイドル・マウンテンには、山岳ロッジスタイルの格式あるCradle Mountain Hotelが、そしてフレシネはインターナショナルに高く評価される“ウルトラモダン”ラグジュアリーなリゾートSaffireがある。

また、食の快楽を追求するエピキュリアンたちには、ぜひAgrarian Kitchenへ行ってほしい。シドニーの名店Tetsuya’sでシェフを務めた経験をもつ、ロドニー・ダンが手がける自家農場を拠点にするクッキングスクールだ。ベジタブルガーデン、ニワトリやアヒル、豚などを飼育する牧場をもち、収穫したばかりの野菜、フルーツ、卵などの食材を使い、手軽なものから本格的な調理までを学ぶことができる。

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ハイライトのディナーの前菜は海上のポンツーンで。豪快なロックロブスターのグリル

数年前、ここでダンに料理を習ったことがある。水道の水を流しっぱなしで掘り起こしたばかりのジャガイモの泥を落としていた私を見て、ダンはなにも言わずに優しく蛇口に手をかけて水量を調整した。すべて止めるのでなく、ほんの少しだけ水が流れる程度に。そこにダンの自然環境への配慮と、都会から来た私への心配りを感じたことをいまでも忘れられずにいる。

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期間中は州をあげて歓迎ムードを演出。路上に大胆にもこんな仕かけが

自然と寄り添い、その恵みを食べて生きる。タスマニアとはそういう場所なのだと思わずにはいられない。今回、「美食大陸 オーストラリア」のハイライトがタスマニアでおこなわれたことも、単純に美食を味わうだけでなく、食材を育む環境への感謝、優れた素材を作り上げる生産者へのリスペクトが背景にあるのかもしれない。

Mures(ミュアーズ)
http://mures.com.au

The Henry Jones Art Hotel(ヘンリー ジョーンズ アート ホテル)
http://www.thehenryjones.com

Salamanca Market(サラマンカ・マーケット)
http://www.salamanca.com.au/guide/

The Dog House Bakery(ドッグ・ハウス・ベーカリー)
http://www.doghousebakery.com.au

Cradle Mountain Hotel(クレイドル マウンテン ホテル)
http://www.cradlemountainhotel.com.au

Saffire(サファイア)
http://www.saffire-freycinet.com.au

Agrarian Kitchen(アグラリアン・キッチン)
http://www.theagrariankitchen.com

Tetsuya’s(テツヤズ)
http://tetsuyas.com

ABOUT
TERADA Naoko

トラベルジャーナリスト 東京生まれ。日本とオーストラリア・シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経てフリーランスとして独立。いままでに60ヶ国を訪れ、年間150日は国内外のホテルに宿泊。世界の極上ホテル&リゾートに精通。女性誌、旅行サイト、新聞、週刊誌などで、独自の視点とトレンドを考えた斬新な切り口の紀行文、旅情報などを執筆。近年は豊富な海外ツーリズム経験を活かし、日本の観光立国化に尽力、関連セミナーなどに多数出席するほか、山口県観光審議委員も務める。現在、幅広い海外ジャーナリスト、アーティストとの交流をベースに、メディアの視点に立った日本へのプレスツアーの発起人として活動中。 ブログ ハッピー・トラベルデイズ http://blog.excite.co.jp/naoterada 著書 『ホテルブランド物語』角川書店 共著 『ロンドンのホテル』日経BP企画社 『タイのスパ』日経BP企画社など