特集|中村孝則氏特別寄稿、「アジアベストレストラン50」にアジアの美食トレンドを読み解く

特集|「アジアベストレストラン50」にアジアの美食トレンドを読み解く

ASIA’S 50 BEST RESTAURANTS 2015

コラムニスト、中村孝則氏特別寄稿

注目の「アジアベストレストラン50」

2015年の最新ランキングに、アジアの美食トレンドを読み解く(1)

日本でも知名度をあげてきた「世界ベストレストラン50(以下、ワールズ50)」。そのアジア版が2013年にスタートした「アジアベストレストラン50(以下、アジア50)」である。守備範囲こそちがえど、アワードが目指す方向性はおなじ。いまアジアでもっともおいしい店を選び出すことだ。特に3回目を迎えた今年は、ルールや体制を一新して、さらにワールズ50のクオリティに近づけてきた。当然、例年以上の盛り上がりを見せたそうだ。授賞式がおこなわれたシンガポールに飛び、その熱気を間近に感じてきたのは、ワールズ50評議委員の日本代表を務める中村孝則さん。さっそく中村さんとともに、アジアの最新食事情を見ていくことにしよう。

Text by NAKAMURA TakanoriEdited by TANAKA Junko (OPENERS)

アジアの住人によるアジアのランキング

2015年のアジアのNO.1のレストランを競うランキングが、去る3月9日にシンガポールのカペラホテルで発表された。

「サンペレグリノ&アクアパンナ」がメインスポンサーを務めるアジア50は、今年で早くも3回目を迎える。回を重ねるにつれ、注目度がアップしているこのランキング。今回も、100を超えるメディアと、500余名の関係者が会場に詰めかけた。今回の注目ポイントのひとつは、もちろん首位の座である。昨年1位のバンコクの「ナーム」が連続首位を守るのか、あるいは東京の「ナリサワ(NARISAWA)」が、2位から返り咲くのか。まさかの伏兵の登場なのか。下馬評もばらばらであった。というのも、今回の3回目からは、審査方法と審査員を大きく変更したからである。

アジアベストレストラン50

授賞式に参加した日本人シェフたちと筆者(中央)

アジアベストレストラン50

「アジアベストレストラン50」会場の様子

アジア50がスタートしたのは、2013年のこと。初回と昨年の2回目までは、世界各国900余名のワールズ50の審査員たちが投票した票数の内、アジア圏にあるレストラン票だけを抽出して、アジアのトップ50が決められていた。ところが、今回の2015年のランキングからは、アジア圏内の住人であることを条件に、あらたに審査員300人を任命し直したのである。

言い換えれば、アジアの住人によるアジアのランキングになった、ということである。ルール変更の真の狙いは、アジア内に眠る潜在的なレストランの発掘と、ランキングの精度と信頼度のアップにある。そのためには、アジアの住人に絞って審査する方が適しているのであろう。審査員とその活動エリアを絞ることで、ローカル色や食文化の多様性を反映しやすくなる、という利点も期待されていた。

そのなかで注目の1位を獲得したのは、バンコクの「ガガン(Gaggan)」だった。昨年の3位からのジャンプアップだ。シェフを務めるガガン・アナンドはカルカッタ出身のインド人。「バンコクにある、インド人が経営するインド料理店が、2015年のアジアNO.1」というニュースは、多くの人びとを驚かせた。