美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ|特集

特集|美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ

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Restaurant Australia: Where Unique Food & Wine Experiences Await

特集|新鮮な食材と自由な発想から生み出される豊かな食文化

美食大陸オーストラリア、美食とワインをめぐる旅へ

オーストラリアはいま、世界標準の観光プロモーションに取り組んでいる。それが、「美食大陸オーストラリア」だ。独立した大陸というワンアンドオンリーの自然環境を抱えるオーストラリアはまさに食材の宝庫。広大な土地ごとに美食があり、また優れたニューワールドワインの生産国として知られる秀逸なプレミアムワインが存在する。そんなオーストラリアをめぐる美食とワインの旅を、トラベルジャーナリストの寺田直子氏が体験。実用性をもたせたリアルガイドとして全容を紹介する。

Text & Photographs by TERADA Naoko / SAEGUSA Norie (Hayman Island)Special Thanks to Tourism Australia, Tourism Western Australia, Destination New South Wales, Tourism and Events Queensland, Singapore Airline, Virgin Australia

オーストラリアの料理はおいしいのか?

「美食大陸オーストラリアの取材に行っていただけませんか?」

オーストラリア政府観光局のK嬢から話がきたのは、2014年7月だった。時期は11月中旬。フードジャーナリスト、シェフ、メディア、セレブリティなど世界80名のインフルエンサーたちを招待するイベントに、日本からも5名の代表を招くと言う。その中のひとりとしてオーストラリアに行ってほしいというものだった。

「久しぶりに里帰りはどうです?」

そう笑うK嬢。そう、かつて20代のころ、シドニーの旅行会社で働いていた私にとってオーストラリアは慣れ親しんだ愛着のある場所。トラベルジャーナリストとして日本を拠点に仕事をはじめてからも、おそらく60回以上、公私にわたりオーストラリアには通ってきた。その私から見てもオーストラリアの食文化の成熟度はますます高まってきたと思っていただけに、今回はそれを体験できる貴重な機会に。喜んで取材に応じたのだった。

「美食大陸オーストラリア」のキャンペーンの背景には、オーストラリア政府観光局がおこなったオーストラリアに関しての調査結果がある。

まず「旅行先を決める際のキーとなる要素は?」という質問に対して。

1位 安心・安全な旅先であること 47%
2位 金額に見合った旅先であること 39%
3位 おいしい食事、ワイン、郷土料理、食材があること 38%
※オーストラリア政府観光局独自調査による

また、オーストラリアへの渡豪経験のある人とない人に対し、「オーストラリアでおいしい食とワインが連想できるか?」と聞いたところ。

渡豪経験なしの場合 26%
渡豪経験ありの場合 60%

つまり、オーストラリアに行く前はおいしい食事やワインを味わえるとはあまり期待していないが、訪問後は「おいしい国」という印象が強くなっている。つまり、それだけおいしい料理やワインをオーストラリア滞在中に満喫したことの裏付けといっていいだろう。実際、オーストラリアの食事は文句なくおいしい。私が暮らしていた時代には考えられないほど、すばらしく成熟し、優秀なシェフ、レストラン、ガストロノミー文化が育まれている。

その理由はいくつかあると分析している。

ひとつは、次世代のシェフたちの台頭がある。英国、あるいはヨーロッパのクラシックな料理を基本としたそれまでのシェフたちと異なり、若く意欲的なシェフが続々と登場。もともとオーストラリアは多様な文化を内包したマルチカルチャーな国だ。日本も含め中国、韓国、ベトナム、イタリア、ギリシャ系など多彩な人たちのライフスタイルと触れ合うのは日常のことで、各国の食生活にしても違和感をもたない。さらに世界中を旅行し、SNSを駆使する彼らはネットワークと情報量を活用してあらゆる食材、レシピ、スタイルに垣根をもたず、そこから独自のフードコンセプトを確立しはじめたといえる。

次にオーストラリア固有の環境が生み出す、類まれなクオリティの高い食材が挙げられる。日本のおよそ20倍という大きさのオーストラリア大陸は、北部は赤道に近い熱帯、南部に位置する島、タスマニアは南極からの風を受ける冷涼な気候。さらにインド洋、南太平洋、南極海という海域に囲まれ、シーフード、精肉、乳製品などの良質さは認知済み。くわえてオーストラリア固有の植物、ハーブといった特異な食材も豊富。そこに若手の優秀なシェフが現われたのだから、すばらしい料理が生み出されるのには必然性がある。

もうひとつ、オーストラリアの食文化を育てたのが活気のある経済だ。2000年のシドニー・オリンピック以降、資源大国のオーストラリアはかつての日本のバブルを思わせるほどに好景気がつづいてきた。当然、さまざまな開発もおこなわれ、オーストラリア各地に魅力的なレストラン、リゾート&ホテルなどが誕生してきた。そんな背景があるため、現在、オーストラリアの物価は決して安くはない。ただ、確実にすばらしいレストラン、料理、ワインにめぐり合えることになる。そういう意味ではニューヨークやロンドン、パリといった美食の都市と肩を並べたと言っても過言ではないだろう。

この旅で私が訪れたのは西オーストラリア州マーガレット・リバーニューサウスウェールズ州シドニークイーンズランド州グレートバリアリーフのヘイマン島、それにワールドディナーの会場となったタスマニア州ホバート

現地に旅立つまでのおよそ4ヶ月間、それまでの私のオーストラリアでの経験と、K嬢を通して観光局のヘッドオフィスの担当者と何十回とメールでのやりとりを重ね、今回の取材先を厳選した。もちろん、ほかにも魅力的なレストランやワイナリーはあるが、オーストラリアの美食ぶりをうかがうには申し分ないラインナップになったと思っている。なお、ガイドとして活用してもらうため可能な限り料金も入れているが、2014年11月の取材時のデータであること、季節によって内容・価格も変わる可能性があることを付けくわえておく。

あくまでも客観的に、しかしオーストラリアへの愛情を込めて。美食大陸オーストラリアへ、みなさんをお招きしよう。

ABOUT
TERADA Naoko

トラベルジャーナリスト 東京生まれ。日本とオーストラリア・シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経てフ […]