腕時計メーカーとしての意欲が見える、Gorillaの最新作|Gorilla
Gorilla|ゴリラ
ヴォーシェとの共同開発を果たした
次世代の時計ファンのためのモデル
2019年2月16日に発売されたGorillaの「[The FASTBACK GT] DRIFT」。世界限定250本で用意され、瞬く間にソールドアウトになった。現時点では入手できないのだが、今後、Gorillaというブランドが時計業界の寵児になるのは間違いない存在。ぜひ覚えておいてもらいたい。
Text by KOIZUMI Yoko
オーデマ ピゲの美学を廉価モデルで
2016年に創設された新興ブランドGorilla(ゴリラ)から、第二弾となる「[The FASTBACK GT] DRIFT」が登場した。
このモデルを見た時に連想したのが、人気を博した「俺の〇〇」シリーズだ。一流レストランで活躍してきたシェフたちが高級料理をお手頃な価格で提供するというコンセプトが、このモデルにもドはまりしていると感じたのだ。
なにしろハイスペックを廉価で提供するというコンセプトはまったく同じ。そしてコストパフォーマンスを超えたレベルを見せているのだ。
Gorillaの創設者は二人。一人はオメガ、オーデマ ピゲでキャリアを積み、2010年にはチーフ・アーティスティック・オフィサーとして、オーデマ ピゲブランド全体のクリエイティビティを統括したオクタヴィオ・ガルシア。もう一人がIWC、ラルフローレン・ウォッチ&ジュエリー、そしてオーデマ ピゲでシニアデザイナーを務めたルーカス・ゴップ。
オーデマ ピゲで出会ったふたりは、オーデマ ピゲをはじめとするトップブランドの“モノづくりの姿勢”や“スペック”を、我々の手に届かせようとする。ファーストモデルからその価格を見れば、彼らの奮闘ぶりが見て取れる。
ブランド初の複雑機構を搭載した今回の「[The FASTBACK GT] DRIFT」も同様だが、驚くべきはムーブメントをヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエと共同開発していることだ。
ヴォーシェを説明すると、ハイエンドのムーブメントの開発と製造を専門に手掛け、100年以上の歴史を有する世界の名だたるブランドを支えてきた存在だ。そんなトップメーカーが協力したのだから、面白いモデルが誕生しないはずがない。
採用されたのは、日本生まれのモータースポーツ“ドリフト”から着想を得たワンダーリング・アワー機構。これは3枚のアワーディスクが10時~2時位置にある分目盛りを指し示すことで、時刻を表示する仕組みを持つ。開発を担当したのがヴォーシェのムーブメント開発部長を務める浜口尚大さんだ。日本人である。
彼は、「難しかったのがコストを抑えることでした」と振り返る。
このモデルは汎用ムーブメントを利用して、特別モジュールを載せている。そして当初の構造から、パーツ数を減らしたり、機構を簡便化するなど、ムダを徹底的に省いたそうだ。ただし時計としての精度と堅牢さを維持しつつ、コストとのバランスを取るのは、新たに作るよりも難しかったに違いない。
完成した時計はパーツを見せるデザインとなっているのだが、浜口さんは、ヴォーシェが製造する利点を「パーツの仕上げ加工ができること」と話す。このモデルではディスクホルダーの仕上げも行なっているが、モジュール製造が得意なブランドはほかにもあるが、デザインを生かした仕上げができるのは限られるのだそうだ。
そして時計好事家にとって、見逃せないポイントがダイアルに入る「VAUCHER MANUFACTURE FLEURIER」の文字ではないだろうか。ちなみにヴォーシェの名前がダイアルに入るのは同社の歴史で初めてのことなのだとか。
「いずれ、パソコンの“インテル 入ってる(Intel Inside)”のように、時計で“ヴォーシェ 入ってる”なんてことになったら面白いですよね」
これほどのスペックを備えながら、58万円(税別)というのだから、売れないハズがない。当初の予定本数はあっという間にソールドアウトになった。ただ浜口さんの口からは「レギュラーモデル化を狙っているようだ」という情報もあった。これはぜひとも実現してもらいたい。
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