240年の時を経て、現代に甦った「トゥールビヨン・クロノメーターNo.36」|ARNOLD & SON
ARNOLD & SON|アーノルド&サン
アーノルド&サンの歴史を振り返る
記念碑的モデルが、ついに定番化
アーノルド&サンの創設者、ジョン・アーノルドが創り出した伝説のクロノメーター「No.36」。その誕生から240年というアニバーサリーイヤーを迎え「トゥールビヨン・クロノメーターNo.36」が、ついにレギュラーモデルとなった。
Text by KOIZUMI Yoko
英国の伝統的な時計づくりを踏襲
1778年、アーノルド&サンの創始者であるジョン・アーノルドが懐中時計ポケットクロノメーター「No.36」を作り出してから240年。この傑作と名高いモデルにインスピレーションを得て誕生したのがCOSC認定「トゥールビヨン・クロノメーターNo.36」だ。
ジョン・アーノルドが製作した懐中時計「No.36」は別名“アーノルド36”として愛好家の間で知られる存在。Tバランス付きの大型ムーブメントを使用した、ジョン・アーノルドが手掛けた初の懐中時計であり、当時としては驚くべく精度を持つ「クロノメーター」として初めて認められたモデルでもある。
「トゥールビヨン・クロノメーターNo.36」は“アーノルド36”の高精度クロノメーターをそのままに、現代的なアレンジを加え、昨年限定モデルとして登場。そして今年、ムーブメントをブラックで統一したモデルを発表した。
完全自社製造のA&S8600キャリバーは、英国のクロノメータームーブメントの古典的な手法に則り、ホイール、香箱、トゥールビヨン、そのほか主な回転部品はそれぞれのブリッジに取り付けられている。ただしスタイルは伝統的だが、三角形のブリッジの仕上げをスケルトンとして、現代的な印象を与えている。
パーツの仕上げもケースに合わせて変更、レッドゴールドモデルではブリッジをパラジウム仕上げ、メインプレートをNAC仕上げとし、SSモデルではブリッジをNAC仕上げ、メインプレートをブラックDLC仕上げとすることで、それぞれ違った表情を見せる。
搭載するワンミニッツトゥールビヨンは、アーノルド&サンの3本スポークデザインを特徴としており、1グラム未満というトゥールビヨンケージは58以上もの部品で作られている。トゥールビヨン搭載の時計でCOSC認定を取得することは珍しく、ここにこのモデルのオマージュとしてのこだわりが垣間見える。
輪列のシンメトリーな配置とスケルトンデザインは、アーノルド&サンを代表する特徴であり、2時位置と11時位置は香箱をふたつ並べることで、その特徴を表現すると同時に、約90時間ものパワーリザーブを実現している。