
《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》 ゴールド、アメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド 1969年頃 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション
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2025年9月2日
ブルガリが築いた「色彩の革命」を味わう
BVLGARI|ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧
ブルガリは、「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」展を国立新美術館にて、開催する。日本におけるブルガリの展覧会としては10年ぶり、過去最大規模となる。2025年9月17日(水)から12月15日(月)まで。
Text by WASEDA Kosaku
約350点のジュエリーが集結。万華鏡のような色彩世界を表現
展覧会タイトルの「カレイドス」は、「美しい(カロス)」「形態(エイドス)」を意味するギリシャ語に由来し、美と創造性が調和したダイナミックで変化し続ける色彩世界の旅を象徴している。
ブルガリ・ヘリテージ・コレクションと貴重な個人コレクションから厳選された約350点のジュエリーを通じて、まさに万華鏡のような鮮やかな色彩世界を体験できる構成となっている。
ブルガリは20世紀にハイジュエリー界で「色彩の革命」を起こしたメゾンとして知られるようになった。創業者ソティリオ・ブルガリによる初期の銀細工は既に色彩への強い関心を示していたが、真の革命は20世紀に起こった。1900年代初頭、伝統的なハイジュエリーは色味を限定した因習的な配色で、プラチナを用いた単色のデザインが主流だった。
しかし第二次世界大戦後、イタリアが色彩変革の中心地となる中で、ブルガリは1950年代にイエローゴールドにサファイア、ルビー、エメラルドを組み合わせ、ダイヤモンドと調和させる大胆なスタイルを確立した。
さらに革新的だったのは、従来は半貴石とされていたアメシスト、シトリン、ターコイズなども積極的に採用し、ジュエリーが持つ美の可能性が拡がった。
ブルガリのシグネチャーであるカボションカットによって宝石の深み、輝き、色の強度を最大限に引き出すこの手法は、メゾンを「色石の魔術師」として確固たる地位に押し上げた。色彩に対するこの大胆不敵なアプローチは、現代においてもブルガリの最も重要なインスピレーションの源だ。
本展は3つの章で構成される。第1章「色彩の科学」では、色彩の効果に科学的にアプローチし、厳選されたアイコニックなジュエリーを通して色彩の相互作用を解明する。なかでも注目したいのは、イタリア国外では一度も展示されたことのない1940年頃制作のシトリンブレスレットで、宝石が放つ豊かなオレンジ色のスペクトルがローマの夕焼けの温かみを彷彿とさせる。
また、1954-55年制作のプラチナにカボションカットのサファイア、ルビー、ダイヤモンドをあしらった印象的なバングルは、ブルガリのシグネチャーである赤と青のコントラストを体現している。この章では、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンドを大胆に組み合わせたネックレスとイヤリングのセットも紹介され、ブルガリの色使いの大胆さと独創的な宝石の組み合わせを堪能できる。
第2章「色彩の象徴性」では、色が持つ文化的・象徴的意味を深く掘り下げ、色彩の選択を通じて意味や感情がどのように伝えられるかを考察する。イタリアの女優モニカ・ヴィッティやジーナ・ロロブリジーダに愛用された伝説的なエメラルドネックレス「セブン・ワンダーズ」(1961年)に着目したい。
プラチナにダイヤモンドと7つの壮麗なエメラルドをあしらったこの特別なジュエリーは、かつてインヴェルニッツィ・コレクションに属し、10年前に東京で展示されたが、現在はブルガリ・ヘリテージ・コレクションに収蔵されているものだ。
第3章「光のパワー」では、私たちが色を感知する際の光の役割に焦点を当て、特にシルバーやゴールドといった反射する素材において光がどのように作用するかを見ることができる。
この章のハイライトは、1969年頃制作の唯一無二の傑作「コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット」。ソートワールにもブレスレットにもなる本作は、イエローゴールドにアメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンドがあしらわれ、万華鏡のような本展覧会のスピリットを見事に映し出している。
さらに、スリートーンカラーのゴールドにシルクコードとダイヤモンドをあしらった優美な「セルペンティ」イブニングバッグ(1978年頃)も展示される。ブルガリの「メローネ」バッグの伝説的な成功を物語るこの貴重なバッグは、ホワイト、レッド、そして「アクア・ディ・マーレ」と呼ばれる希少なブルーグリーンの色調がゴールドに織り交ぜられ、メゾンの卓越した金細工技量を体現している。
本展覧会では、ジュエリーだけでなく、現代アートとの対話も重要な要素だ。3名の女性アーティストは、それぞれ独自の視点で色彩について考察した新作を制作した。
ララ・ファヴァレット氏のサイトスペシフィック・インスタレーション「レベル5」は、回転する色とりどりの洗車ブラシで構成される。工業的な文脈から切り離されたブラシは柔らかい彫刻のような存在となり、動き、リズム、色彩のエネルギーを融合させた催眠的な視覚的瞑想を通して、機械的なものと有機的なものの境界を探求する。
森万里子氏の「Onogoro Stone Ⅲ」は、古事記に着想を得て神聖な創造神話を喚起し、未来的な素材とスピリチュアルなミニマリズムを融合させながら、宇宙の均衡を象徴する瞑想的な空間を創出する。色彩と形態の象徴的な力を通じて、個人的でありながら普遍的でもある起源への体験を提供する。
中山晃子氏のダイナミックなインスタレーション「Echo」では、水、音、鉱物顔料が混ざり合いながら移ろいゆく流動的なフォルムを空間全体に投影する。アート、自然、物理学が変化し続ける光の中で交錯する「Alive Painting」として、ブルガリ・ヘリテージ・コレクションの「コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット」と対話を交わしながら、絶えず変容する色彩の儚い美しさを表現する。
本展は、ハイジュエリー、ヘリテージ・コレクション、現代アート、ヒストリカル・アーカイブからの貴重な資料、没入型インスタレーションが融合した展覧会となる。メゾンの創業から現在までの140年以上の歴史を辿りながら、イタリアと日本の深い文化的つながりを浮き彫りにする。
ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧
会期|2025年9月17日(水) ~12月15日(月)
休館日|毎週火曜日 ただし 9月23日(火・祝)は開館、9月24日(水)は休館
開館時間|10:00~18:00 (毎週金・土曜日は20:00まで 入場は閉館の30分前まで)
会場|国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木 7-22-2
観覧料|一般2300円 大学生1000円 高校生500円 (全て税込)
※中学生以下は入場無料
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料
※本展は日時指定券を導入します。詳細は後日ホームページ等でお知らせします
会期|2025年9月17日(水) ~12月15日(月)
休館日|毎週火曜日 ただし 9月23日(火・祝)は開館、9月24日(水)は休館
開館時間|10:00~18:00 (毎週金・土曜日は20:00まで 入場は閉館の30分前まで)
会場|国立新美術館 企画展示室2E
東京都港区六本木 7-22-2
観覧料|一般2300円 大学生1000円 高校生500円 (全て税込)
※中学生以下は入場無料
※障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料
※本展は日時指定券を導入します。詳細は後日ホームページ等でお知らせします
問い合わせ先
ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧
Tel.050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.bulgari.com/ja-jp/stories/kaleidos-exhibition