CHAUMET|ショーメ|230年の歴史を語る“ティアラリング”のコレクション
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2015年3月27日

CHAUMET|ショーメ|230年の歴史を語る“ティアラリング”のコレクション

CHAUMET|ショーメ

ショーメ230年の歴史を語る

“ティアラリング”のコレクション(1)

2010年の今年、フランスのハイジュエラーである「ショーメ」は創立230周年を迎える。この記念すべき年にショーメが発表したのは、ティアラをモチーフとしたリングコレクション「ジョゼフィーヌ」。ショーメの最初の顧客でもあるナポレオン皇妃、ジョゼフィーヌの名を冠した、ティアラモチーフのリングだ。

写真=JAMANDFIX文=野上亜紀

メゾンの生誕230周年、ヘッドジュエリーをリングで表現

「僕、全然230歳に見えないでしょう」と、そんな冗談をいいながら登場したのは、ショーメのクリエイション・マーケティング&コミュニケーションを統括する副社長、リオネル ジロー氏だ。今年の新作「ジョゼフィーヌ」を手にとりながらジロー氏は、ショーメとティアラの深いかかわりについて語ってくれた。

「今年はショーメ生誕230周年という年を迎えましたが、メゾンはこの長い歴史の中でティアラやエグレットなどのヘッドジュエリーを、2500点にわたって製作してきました。いちばん有名なのが、ナポレオンの戴冠式のために製作した王冠ですね。今回の“ティアラリング”のイメージソースでもある、ショーメ最初の顧客、ジョゼフィーヌ皇妃に贈ったティアラも伝説のひとつ。ショーメにとってティアラをはじめとするヘッドジュエリーとは、メゾンのアイデンティティそのものでもあるんです」

ティアラをリングにするというアイディアを、230周年を迎える今年のずっと以前から、ジロー氏は心のなかでずっと温めてきたという。

「現代の日常生活ではティアラを身につけないですよね。でもティアラはショーメにとってはとても大切なジュエリー。だからこそ“日常でも使えるティアラ”を、とずっと考えていたんです。その結果、ティアラを表現できるのは、やはりリングではないかという思いにいたりました。たまたま230年という記念すべき年に重なりましたが、実はアイディアを発想して実際にジュエリーの形にするまで、2年半の歳月をかけているんです」

ショーメのクリエイションはつねに“タイムレス”。時代に左右されないが、しかしほんの少しのコンテンポラリーを――そのバランスを見つけるのがことのほか大変だったとジロー氏は続ける。

「さてティアラをリングにしよう、と考えたまではよかったのですが、そこからが大変でした。ティアラのイメージというとやはり“お姫さま”ですよね。それをこの小さなリングの形にすると、まるで子どものリングみたいになってしまうんです。名門のショーメとしては“かわいい”リングはNG。よりパワフルな、そしてより表現力にあふれたデザインを求めて……。その繰り返しでした。たとえばいまお見せしているこのリングも、最終ジャッジまで25回も試作品をつくったんですよ」

CHAUMET|ショーメ 01

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CHAUMET|ショーメ

ショーメ230年の歴史を語る

“ティアラリング”のコレクション(2)

2010年の今年、フランスのハイジュエラーである「ショーメ」は創立230周年を迎える。この記念すべき年にショーメが発表したのは、ティアラをモチーフとしたリングコレクション「ジョゼフィーヌ」。ショーメの最初の顧客でもあるナポレオン皇妃、ジョゼフィーヌの名を冠した、ティアラモチーフのリングだ。

写真=JAMANDFIX文=野上亜紀

“パワー・オブ・ラブ”を意味するエンゲージリング

恋の駆け引きをイメージした「アトラップ・モワ」、恋に落ちた瞬間を描いた「ル・グラン・フリソン」、深い絆を意味する「リアン・ドゥ・ショーメ」……。いずれのジュエリーでもショーメは愛をシンボルとして表現してきた。この「ジョゼフィーヌ」もまた、大切な約束の証である“エンゲージリング”。「ソリテールなど古典的になりがちなエンゲージのデザインを進化させたかった」と、ジロー氏は自身の思いを語った。

「ジュエリーにとってはそれが秘める意味もとても大切。今回『ジョゼフィーヌ』に掲げたテーマは“パワー・オブ・ラブ”です。『ジョゼフィーヌ』はティアラばかりではなくエグレットやバンドーなどをモチーフとした30点のコレクションですが、ヘッドジュエリーは神に近い存在なので、どれも指にはめたときに高貴な印象をもたらすデザインでなくてはなりません。かつエンゲージリングとして、永遠に身に着けたいと思えるようなデザインを目指しました。この2連のリングもまるで重ねづけをしているみたいでしょう。クラシカルだけれどもほんの少し新しい発想を取り入れています。ショーメの考えるコンテンポラリーなタッチを上手に表現できたのではないかと思っています」

そしてジロー氏は、このリングをぜひ心から楽しんで身につけてほしいと語る。
「ティアラを自分から上に向けたときは“私には決まったひとがいる”。つまり結婚の証を意味します。反対につけたときは、“私だけの王子さまを探しています”。つまりまだエンゲージを結んでいない、ということですね。ショーメは愛をテーマに製作を続けてきたジュエラー。このティアラリングにも愛に関するアイディアをたくさん盛り込んでいます」

CHAUMET|ショーメ 03

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CHAUMET|ショーメ

ショーメ230年の歴史を語る

“ティアラリング”のコレクション(3)

2010年の今年、フランスのハイジュエラーである「ショーメ」は創立230周年を迎える。この記念すべき年にショーメが発表したのは、ティアラをモチーフとしたリングコレクション「ジョゼフィーヌ」。ショーメの最初の顧客でもあるナポレオン皇妃、ジョゼフィーヌの名を冠した、ティアラモチーフのリングだ。

写真=JAMANDFIX文=野上亜紀

高度なセンスが必要なデザイン、エンドレスなクリエイション

この「ジョゼフィーヌ」コレクションには、ハイエンドとベーシック、2種のラインがある。実はこの手に取りやすいベーシックラインをつくるのがいちばん頭を悩ませた、とジロー氏は微笑む。しかし生みの苦労があったからこそ、このアクセシブルなラインがことのほかお気に入りでもあるそうだ。

「石が小さくなると、どちらかというと愛らしいスタイルになってしまいます。しかし愛らしいだけでは、ショーメの気品やアイデンティティは語れません。手に取りやすいラインになればなるほど、高度なデザインセンスが必要とされるんです。私がショーメで大切にしてきたことは3つ。ひとつは名門メゾンとしての歴史を正確に伝えるということ。ふたつめが、億単位から100万円以下まで、石の大きさで主張するのではなく、すべてのジュエリーで緻密な技術を表現するということ。そして3つめが、どのテーマにおいてもいちばん高価なハイエンドから手に取りやすいベーシックラインまでをきちんとつくる、ということです。ハイエンドを先に製作してから数年後にベーシックを発表する方法もありますが、ショーメはそれを行っていません。ショーメらしさを追求するためにも、共通のテーマでハイエンドからアクセシブルまでを一気に製作する――それが自分の役目だと思っています」

そんなジロー氏は、実は次の製作にもう夢中だという。

「ひとつのコレクションをつくってしまったら、また次のコレクションへと目が行ってしまうんです。子どもと一緒ですぐにあたらしいおもちゃがほしくなるんでしょうね。あるいは銀器を生業としていた父親の、ジュエラーとしての血筋かも。次の作品は“恋が終わったとき”? あるいは“未亡人のジュエリー”? ジュエリーのクリエイションは、つねにエンドレス。なんとも魅力的な世界ではありませんか」

CHAUMET|ショーメ 05

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